ハナコラボSDGsレポート 〈アルマーニ / リストランテ〉の若きスターシェフ。情熱が生む美食のコース「LOSS FOOD MENU」から学ぶフードロス問題

SUSTAINABLE 2021.05.28

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第29回は、ナチュラルビューティーハンターとして活躍するシナダユイさんが、〈アルマーニ / リストランテ〉のフードロス食材を使用したコース「LOSS FOOD MENU」を取材。エグゼクティブシェフ・CARMINE AMARANTE(カルミネ・アマランテ)さんに話を伺いました。

社会問題×ラグジュアリーブランドの掛け合わせがおもしろい!いざ実食

SDGs 品田さん

誰もが知る一流ブランド〈アルマーニ〉が銀座に構えるコンセプトストアの10、11階にある〈アルマーニ / リストランテ〉で、今春より〈FOOD LOSS BANK〉の協力を経てフードロス食材を取り入れたコースメニュー「LOSS FOOD MENU」の提供がスタート。グローバル企業がフードロス(食品ロス)問題に取り組んだことに強く関心を持ちましたが、普通に考えたら銀座のレストランというのはご褒美。初めての訪問に身なりを整え、お腹を空かせ、万全の状態で足を運びました。

美しさとおいしさに、素直に感動!そして意識の変わる一皿が続く…

まずは愛らしくて鮮やかな彩りの「アミューズ」から。減農薬や無農薬により形が不揃い、見た目がよくない、または摘果と言われる間引かれた柑橘類を使用。手で直接お口に運びいただきます。ビーツを練りこんだビスコッティに豆乳マヨネーズが軽やかな口当たりで、一皿目からヘルシー志向な女性のハート、射抜かれました。キュンです。

飲食店の時短営業(現在でいえば営業自粛)が重なり、出荷ができなくなった滋賀県産〈Farm Kei〉のトマトを丸ごと食べ尽くす「トマトのヴァリエーション」。一つの食材に対して、調理方法を変えることで旨みや食感に変化を与え、温かなトマトのコンソメやジェラートに再構築。それぞれ色の異なるトマトの味の違いも楽しめます。

「ホワイトアスパラ サフランベアルネーズソース」
「ホワイトアスパラ サフランベアルネーズソース」

お次は、「ホワイトアスパラ サフランベアルネーズソース」。海ぶどうのアクセントに、日本の食材も研究されているんだなぁと感心しました。サフランのソースや下に敷かれた黒オリーブのクランブル、全て塩味がちょうどいい!文化が交差したシェフの創作意欲を感じられる、ガストロノミーな一皿です。そして、この新潟県産〈飯塚農園〉のアスパラが規格外だということを知り、いかにもったいなく廃棄される野菜があることかを考えさせられました。

「スパゲット 海の香り」
「スパゲット 海の香り」

「スパゲット 海の香り」。テーブルに運ばれた瞬間、香り漂う磯の香り!スモークされた鹿児島県垂水市産のカンパチに昆布やワカメなどの藻類のプランクトンパウダーがかかります。敷かれたソースは普段は使用しない部分を利用したルッコラのグリーンソース。和えていただくと相性抜群です。

「真鯛 グリンピース ハーブソース」
「真鯛 グリンピース ハーブソース」

メインは「真鯛 グリンピース ハーブソース」。皮のパリパリに脱帽でした...(家で再現120%不可能のおいしさ)。見た目も芸術的です。コロナ禍により海外輸出ができなくなったなど理由を抱えた愛媛県産の真鯛を丁寧に手間をかけ調理。また真鯛から出汁をとり、エストラゴンというハーブとソースにしてかけます。いのちをおいしくいただきました!

「シトラス」
「シトラス」

お口直しは「シトラス」でさっぱりと。神奈川県産〈あきさわ園〉の柑橘は白い綿の部分までピューレ状にして乾燥させたチップにするなど、捨てる部分ゼロな上に魅了を昇華させた一皿。ピールの香りがお口に残るのがオトナの味。銀座を感じました。

ここからデザートのオンパレード。チョコレートを作る過程で廃棄されていた部分を活かし、発酵させてカカオのシロップを作ったり、クリームやゼリー状にして変化を楽しむ、実験的で新しい発見があるメインデザートです。おいしいコーヒーとともにプティフールをつまんで口福でした。

CARMINE AMARANTEさんにインタビュー!

一皿一皿、魔法にかかったような食材に感動し、舌鼓しながら、シェフが一体どんな想いで「LOSS FOOD MENU」を創作し、フードロスという問題に向き合ったのか。いくつか質問をさせていただきました。

SDGs 品田さん

ーーおいしかったです!Buono Buono!早速ですが質問です。フードロス(食品ロス)と言うとマイナスイメージを持つ消費者の方もいると思いますが、どのような工夫をすることで価値を持たせましたか?

「このプロジェクトの案は1年ほど前に日本から本国へ提案する形で始まりました。本国のオフィスではペットボトルを使用禁止にする程、ジョルジオ・アルマーニの環境問題に対する意識は高く、この案に非常に賛同してくれて実現することができました。元々ファインダイニングは、見た目が非常に重要なポイントでロス(廃棄)の部分が多かったのですが、近年はコロナ禍という緊急事態も重なり、農家が出荷も流通も出来ないまま廃棄が増えることがプラスして問題視されました。そこで、アイディアとクリエイティビティで素晴らしい料理にすることができれば、プラスのイメージに変えられると思いました」。

ーー私達が普段見ることのない部分が見えたことも、新しい試みだと思いました。

「今回は、レストランのメニューで食材の写真と生産地の詳細をお見せしています。柑橘類やホワイトアスパラガスは完璧な形じゃないと普通のスーパーでは売れません。ですが、味も香りもクオリティはとても高いのです。日本は食品の規格が非常に厳しいので、流通にのる前で廃棄される農作物は非常に多いんですよ」。

ーーちなみにフードロスの食材という制約は、通常のコースメニューに比べて作るのは大変でしたか?

「もちろん、ロスフードメニューの方が難しかったです。旬のものを使うという点や調理時間は通常のメニューと変わりませんが、どういった食材があるかを生産者と〈FOOD LOSS BANK〉さんから教えていただいてから非常にたくさんのアイディアを出しました」。

ーー日本の食材も結構組み合わせられていておいしかったです。日本食はお好きですか?

「プライベートではよく和食を食べています。日本の食材や料理が好きなこともありますが、やはり勉強ですね。私たちが作るイタリアの料理は日本人のお客様に喜んでいただくため、メニューも日本の旨みや出汁を研究して作っています。素材を活かすところはイタリア料理でも同じですが、もっと塩気が強かったり胡椒が多かったりしますので、そこは日本人のお客様のために調節しています」。

ーー研究熱心ですね!食べていてそう感じました。みなさん難しい問題と真剣に向き合いながら楽しんでいるなと思います。

「良い経験になりましたね。他のスタッフともアイディアを出し合って食材丸ごと余すことなく使うなど、クリエイティビティで問題の解決に挑みました」。

ーーいいですね!すごくおいしく調理されていたので、私たちが家庭でフードロスをしないために何かアドバイスがあれば...教えてください!

「普段何気なく捨てている部分も、 例えばオレンジならジュースを絞って皮はジャムにするとか野菜の皮もベジブロス(出汁スープ)にしたり 、鶏肉であれば骨は出汁をとることができます。 お魚も同じで、頭や骨、すべてを使ってソースが作れます。細かい部分も注意深く見て使ったり、工夫を楽しんでみてください。そして、それを私の故郷・南イタリアでおばあちゃんから伝えてもらったように、誰かに伝えてください」。

ーーおいしく食べて学んで、最高の体験でした !ありがとうございました。

SDGs 品田さん

〈アルマーニ / リストランテ〉

https://www.armani.com/restaurant/jp/restaurant/armani-ristorante-ginza/

6月下旬からは夏の「LOSS FOOD MENU」メニューが登場!お楽しみに。

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