花井悠希の朝パン日誌 vol.33 恋の始まり?…〈boulangerie coron〉

LEARN 2018.11.05

一足先に冬の凛とした空気が冴える晩秋の札幌に上陸!紅葉も美しく、食欲も高まる涼しさです(本当に留まることを知らない食欲でした…)。仕事の合間に札幌の中心地にある〈boulangerie coron〉へ。そこは私以上に私を知っているパン屋さんでした(意味深)。

北海道小麦100%で味わう…〈boulangerie coron〉

“美味しい”の確信を一歩足を踏み入れた瞬間に持ってしまいました。店内も、パン一つ一つ個性溢れるラインナップも、見渡す限り全てのものにピンポイントでハートを突かれます。好みすぎて武者震いが。(落ち着け)どこかで会ったことありましたっけ?そんな恋愛ドラマみたいなセリフが頭をよぎります。調べるとこちら〈シニフィアンシニフィエ〉の志賀シェフがグランシェフを務めていらっしゃるとのこと。なるほど私、志賀さんの作るものにめっぽう弱いみたいです。

キョロキョロキョロキョロ、食べたいものだらけで立ち尽くしてしまいそう。でも、これは食べたいとまず決めたのは、〈boulangerie coron〉の中で赤レンガテラス店だけのインショップのサンドイッチ屋さん〈Sucré:Salé〉の「バゲットサンドイッチ」。

〈Sucré:Salé〉の「 ハム&チーズ」
〈Sucré:Salé〉の「 ハム&チーズ」

注文してからその場で作ってくれました。細く細く焼かれたミニバゲットは、パン屋さんの籠に立てられているバゲットとは全く違う生き物のよう(そもそも食べ物だ)。片手の指先で摘み上げられるようなこの軽快なサイズ感、おやつにも朝ごはんにも色んな場面でフィットしてくれるはず。バゲットの表面はパリリとして歯切れよく。間髪あけずに広がる小麦の香りが実に雄弁で、口内を大らかに泳いでいきます。そこにチーズの香ばしい芳香と、ハムの豊かな味わいに肉感の強さと油の旨みが混ざり合う。

ハムが口内の温度でトロリと脂を滲ませるとチーズも寄り添うようにとろけ出す。あぁもう読んでいるだけで生唾を飲んでしまいませんか!?(書いているだけで生唾こらえられません)仕上げに振られたブラックペッパーで全ての香り、味わいの統括を。これがあるとないとでは全然印象が違う。最後の一振りで完成されるテイスト。均整のとれたサンドイッチです。

〈kobore〉の「コーンパン バター醤油」
〈kobore〉の「コーンパン バター醤油」

コーン好きの私に、〈kobore〉を主張されたら食べずにはいられません。モチっと引きのある生地が守るのはたわわに詰まった道産の焼きとうもろこし。どれほどたわわかと言うと、スプーンですくって食べてねと書かれているほどです。

ついついとうもろこしの方ばかりに注目しちゃいそうですがこの生地、口内から消える瞬間まで絶えずしとっと水分を抱えてもっちりしています。そしてそうありつづける理由がちゃんとあるのがえらい!(何様)

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醤油を効かせ粒のたったとうもろこしの主張ある味わいを、口内を生地がバウンドしながら小麦のふくよかな味わいで和ませ続けているのです。北海道小麦ってみんなこんなにふくよかで大らかなの!?この安心感いっぱいな包容力、女子はみんなトキめいちゃうんじゃなかろうか。

「道産とうきびのリュスティック」
「道産とうきびのリュスティック」

〈boulangerie coron〉の人気No.1さん。リュスティックだから更にもちもちした生地。みんなタイプで困っちゃう。その弾力を楽しんでいるとあちらこちらで弾けるとうもろこしの粒たちが、まぁ甘いこと!想像した甘さの3倍上をいってました。こちらをおちょくるように愉快にはじけます。お主、自分が甘いこと知ってるでしょ!って言いたくもなります。でも甘いからしょうがないよねぇと目尻を下げた私は最初からこの子には敵いません。

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そうしている瞬間にも鼻腔を小麦の香りが走り抜けていきます。しかもこちらは生地にまでトウモロコシの香りと甘みがうつって小麦にプラスして噛みしめる度溢れ出てきます。密度は高くないから、ずっしりしていなくて重くないのもマル!

「かぼちゃとチーズのリュスティック」
「かぼちゃとチーズのリュスティック」

その場を染め上げるほど力強いチーズの香りがリュスティックのモチモチ食感と相まって、ポンデケージョのよう。スナック感覚でも食べられる感じです。

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大きめに入ったかぼちゃは、ちゃんとしっとりとした本来もっている質感が引き出されていて、チーズの華やかさの中にもしっかり向き合ってあげればここにいるよと顔を出してくれます。子供も大人も好きな味。

「じゃがバターパン」
「じゃがバターパン」

塩茹でされた角切りのじゃがいもがドカンと中央に5、6個鎮座。そのどーんとした姿だけでも惚れ惚れします。北海道を感じるよ(単純?)。そこだけを食べるとじゃがバターそのもの。具材として入っているから塩気はしっかりとつけられています。さてさて、パンと一緒にがぶりといきましょう。

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と、およよよー!出ましたクリティカルヒット!!いつか来るかなと密かに期待していたバターポイントが出て来ましたよ。温めたので溶けたバターが溜まっている所が現れて、口内がさらにじゃがバター祭りに。バターが入っているタイプのパンって案外温めちゃうと生地が吸収しちゃってジュルリとしたバター感を得られないことも多いのですが、こちらはバターを思いっきり感じられます。焼き上がりにたっぷりバターをのせているからかな?大らかな小麦がそよぎ、もう混じりっけなくどこからどこまでも北海道を感じられるパン!

お土産に買いたくなるパンが勢揃いな〈boulangerie coron〉さん。北海道産の調味料や乳製品などもセレクトされていてこのお店だけで心満たされちゃいました。札幌駅からも近いので、行ってみてくださいね。

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