家づくりのプロが選んだのは壁付け? 対面式? オシャレで機能的なキッチンの作り方

LEARN 2024.06.11

兵庫県内で築2年の一軒家にお住いの〈DEN PLUS EGG〉代表の富田太洙さん。自ら施工したというこだわりのLDKなど、ため息が出るほど素敵なご自宅を紹介します。

何人も作業できる、L字型キッチンが自慢の家

1950 年代のフランス製デスクを作業台に。ディナー時はエリック・ホグランやUMANOHANAMUKEのキャンドルホルダーをテーブルに置き、キャンドルに火を灯す。
1950 年代のフランス製デスクを作業台に。ディナー時はエリック・ホグランやUMANOHANAMUKEのキャンドルホルダーをテーブルに置き、キャンドルに火を灯す。

天井が高く、キッチンとリビングが一体となった広々とした空間。こちらは、兵庫・東京・京都にオフィスを構える設計・施工会社〈DEN PLUS EGG〉代表、富田太洙さんが友人のシェフを招いてホームパーティをすることをイメージして自ら施工したLDKだ。ちなみにその友人たちの店、〈エスキーナ〉〈ビストロ コンカ〉などの店舗設計を手掛けたのも富田さん。

アンティークのアイアンフレームに古材を合わせた別注ダイニングテーブルに、ヴィンテージラグを合わせて。壁の色をピンクにすることで重くなりすぎないバランスに。
アンティークのアイアンフレームに古材を合わせた別注ダイニングテーブルに、ヴィンテージラグを合わせて。壁の色をピンクにすることで重くなりすぎないバランスに。

自身が重要視するもののひとつは、キッチン。ずっといたくなる〝エイトデイズキッチン〞をテーマに、2年前に自邸を設計した。

シンクは〈KOHLER〉。シンク下の収納棚はイギリスで見つけた古材を加工して作ったもの。
シンクは〈KOHLER〉。シンク下の収納棚はイギリスで見つけた古材を加工して作ったもの。

「キッチンを壁付けのL字型にすることは最初から決めていました。空間を広く使えて、複数人で作業しても動きやすい。作業台も備え付けにせず、アンティークデスクを置いて、移動できるようにしました。その方がいろんなシチュエーションに対応できて便利です」

そんな機能性抜群のキッチンだが、L字の中央にはあえて飾り棚を配し、オーナメントやカップ&ソーサーなどのコレクションを並べる。料理の時間を楽しく過ごす工夫も忘れていない。

キッチンに配された飾り棚には、スティーブ・ハリソンやアスティエ ド ヴィラットなどコレクションする器が。「お客さんに好きなカップを選んでもらうのも楽しい」。
キッチンに配された飾り棚には、スティーブ・ハリソンやアスティエ ド ヴィラットなどコレクションする器が。「お客さんに好きなカップを選んでもらうのも楽しい」。

「キッチンのワークトップには模様が印象的な大理石を選んでいます。白や無地を選ぶと、飾っているものや、置いてある調理器具など雑多なものが目立ちすぎるんです。壁の色はイギリスのメーカー〈ファロー&ボール〉のペンキから、ダークカラーなアンティークに合う明るめのピンクを選びました。部屋の印象は、引いて全体を見た時のバランスを意識しています」

こだわりはキッチンダイニングにとどまらず、家の随所に。例えば3階の、屋上につながる書斎にもサニタリーコーナーが。

3階の書斎にあるサニタリーコーナー。ピンクのグラデーションが美しいアルチザンタイルに、イギリス製アンティークのシンクと大理石のテーブルトップを合わせた。
3階の書斎にあるサニタリーコーナー。ピンクのグラデーションが美しいアルチザンタイルに、イギリス製アンティークのシンクと大理石のテーブルトップを合わせた。

「仕事の合間にお茶を楽しんだり、屋上で食事をしたり、いろんなことを想定して水回りを備え付けました。特に壁面のアルチザンタイルが気に入っています。職人が一つひとつ手焼きするので微妙な色差がいい」

アンティークに知見の深い富田さんが、今回唯一、探し回ったのがソファだ。「色合いと状態、どちらも良好なものってアンティークではなかなか貴重。これはフランスで見つけた1950年代のもの。独特のモスグリーンが気に入っています」

福岡の〈ノート〉で購入したスピーカーは1950年代イギリス〈グッドマン〉製。
福岡の〈ノート〉で購入したスピーカーは1950年代イギリス〈グッドマン〉製。

アンティーク以外に、リトアニア〈リネンミー〉のカーテンや、アメリカ〈KOHLER〉のシンクなどの現行品も組み合わせる。こだわりのインテリアや好きなモノで埋め尽くしても、配色、サイズ、トーンなどのバランスが考えられているから、居心地がいい。広々としたLDKは、料理をする人もくつろぐ人も楽しめる理想の空間だ。

photo_Yoshiko Watanabe text_Midori Nagase

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