家づくりのプロが選んだのは壁付け? 対面式? オシャレで機能的なキッチンの作り方
兵庫県内で築2年の一軒家にお住いの〈DEN PLUS EGG〉代表の富田太洙さん。自ら施工したというこだわりのLDKなど、ため息が出るほど素敵なご自宅を紹介します。
何人も作業できる、L字型キッチンが自慢の家
天井が高く、キッチンとリビングが一体となった広々とした空間。こちらは、兵庫・東京・京都にオフィスを構える設計・施工会社〈DEN PLUS EGG〉代表、富田太洙さんが友人のシェフを招いてホームパーティをすることをイメージして自ら施工したLDKだ。ちなみにその友人たちの店、〈エスキーナ〉〈ビストロ コンカ〉などの店舗設計を手掛けたのも富田さん。
自身が重要視するもののひとつは、キッチン。ずっといたくなる〝エイトデイズキッチン〞をテーマに、2年前に自邸を設計した。
「キッチンを壁付けのL字型にすることは最初から決めていました。空間を広く使えて、複数人で作業しても動きやすい。作業台も備え付けにせず、アンティークデスクを置いて、移動できるようにしました。その方がいろんなシチュエーションに対応できて便利です」
そんな機能性抜群のキッチンだが、L字の中央にはあえて飾り棚を配し、オーナメントやカップ&ソーサーなどのコレクションを並べる。料理の時間を楽しく過ごす工夫も忘れていない。
「キッチンのワークトップには模様が印象的な大理石を選んでいます。白や無地を選ぶと、飾っているものや、置いてある調理器具など雑多なものが目立ちすぎるんです。壁の色はイギリスのメーカー〈ファロー&ボール〉のペンキから、ダークカラーなアンティークに合う明るめのピンクを選びました。部屋の印象は、引いて全体を見た時のバランスを意識しています」
こだわりはキッチンダイニングにとどまらず、家の随所に。例えば3階の、屋上につながる書斎にもサニタリーコーナーが。
「仕事の合間にお茶を楽しんだり、屋上で食事をしたり、いろんなことを想定して水回りを備え付けました。特に壁面のアルチザンタイルが気に入っています。職人が一つひとつ手焼きするので微妙な色差がいい」
アンティークに知見の深い富田さんが、今回唯一、探し回ったのがソファだ。「色合いと状態、どちらも良好なものってアンティークではなかなか貴重。これはフランスで見つけた1950年代のもの。独特のモスグリーンが気に入っています」
アンティーク以外に、リトアニア〈リネンミー〉のカーテンや、アメリカ〈KOHLER〉のシンクなどの現行品も組み合わせる。こだわりのインテリアや好きなモノで埋め尽くしても、配色、サイズ、トーンなどのバランスが考えられているから、居心地がいい。広々としたLDKは、料理をする人もくつろぐ人も楽しめる理想の空間だ。