ワインを飲む醍醐味はグラス?それともボトル?
ワイン界のレジェンド対談
LEARN 2023.11.15
「ワインは、ボトルで頼むもの!」と熱く語るのは澁谷将之さん。続けて「グラスで飲む楽しみ方を日本に普及させたのは〈アヒルストア〉でしょ?」と言うので、齊藤輝彦さんを呼び出して、二人でそれぞれの良さについて話してもらうことにした。
ワインを飲む醍醐味はグラスかボトルかで熱く対談した2人はコチラ
ワインを飲む醍醐味は、グラス? それともボトル?
ぶっちゃけ言うと、その人が好きなように飲めばいいんですけどね。ただ僕個人の意見としては、絶対にボトルで頼むのがいいと思うねん!
言い切るねぇ(笑)。そう、実際はどちらでもいいし、お店のスタイルによっても楽しみ方が違うよね。それもわかっていながら、どうして澁谷くんはあえて「ボトルで飲め」って言うの?
グラスで飲むのには、「色々な味を楽しみたい」とか「ワインについて勉強したい」とか様々な理由があると思うけれど、結局そのときに何を飲んだかって大して覚えてないと思うんですよね。覚えているのは最初の一杯くらいであとは写真撮って、後で「これ飲んだことある」って言いたいだけじゃない? 覚えたいんだったら、ボトルを1本頼んで、気に入っても気に入らなくても、エチケットを眺めながらその1本を飲み切る。その方が印象に残ると思うねん。それに、例えばナチュラルワインだったら、味が変化していくのも楽しみの一つ。最初は「いまいち……」と思っても、最後の方には好きな味になっているかもしれない。グラスだと、それもわからないでしょ。フランスではあまりグラスで色々出す文化はなくて、このスタイルを日本で流行らせたのは〈アヒルストア〉やないかと僕は思うんですけど?(笑)
いやいや、僕は「グラス一杯から色々なワインが飲める」という文化は、〈uguisu〉の紺野(真)さんが始めたんじゃないかと思うんだよね。日本でナチュラルワインが飲めるようになって間もない黎明期に10種近くもグラスワインを用意していてめちゃくちゃ驚きました。まだナチュラルワインという言葉が浸透する前だったから、まずは色々な人に知ってもらって、好きになってもらわないといけない時期だったのは間違いない。
なるほどねぇ……。フランスだともっと安く、カジュアルに飲めたからまた事情が違うんですかね。ただ食事をしているときに、テーブルの上にグラスだけっていうのも味気ないでしょう? ボトルが置いてある景色が、僕は好きなんですよ。
確かに、カウンターかテーブルかによっても、似合うものが何か変わってくるよね。
僕は、ナチュラルワインの生産者って、素材への向き合い方や挑戦の仕方が料理人と似てると思うんですよ。だから1本頼んで、その日飲み切れなくてもいいから、敬意を持って向き合ってほしいんです。
そうだね!
あとは、ワインを楽しむのに重要なのは、何のワインをいつ抜栓してどのタイミングで提供すればいいか、読み解けるサービスマンです。開けてすぐに飲み切った方がいいものと、少し時間が経っておいしくなるものがあるからね。例えば〈HIBANA〉の永島農さんや、〈Meguro UnJour〉の宮内亮太郎さんなんかは、お客さんの状況や食事の進行具合と、ワインの状態を読み解いて提供してくれるプロフェッショナル。そうして出会って気になったワインは、ぜひ生産者の名前を覚えて帰ってほしいな。そうしたらもっとワインが楽しくなると思うから。
なるほどな! と言いつつもボトルで向き合ってほしい気持ちは変わりませんよ(笑)。
向き合い方の違いだよね。グラスは〝デート〞、ボトルは〝結婚〞ってところかな。
TU DÉCONNES(チュデコンヌ)
住所:東京都渋谷区上原1-24-13
TEL:03-5761-6315
営業時間:18:00(土16:00)~24:00
定休日:日休
席数:30席
2023年春にオープンした、〈Sans Déconner〉の姉妹店。柿澤孝光シェフによるフレンチタパスをカジュアルに楽しめる。※予約は電話、Instagram(@tu_deconnes_)のDMから