小池栄子のお悩み相談室 第19回:「人が自分に対してどう思っているのかが気になって仕方ないし、他人から言われたことをネガティブに捉えてしまいます」 (29歳・メーカー勤務)
仕事、プライベート、家庭生活含め、日々頑張っている人ほど悩みは尽きず、誰かに聞いてもらいたい、いいアドバイスが欲しい…そう思っている女性たちの声がHanako編集部に寄せられています。そこで、女優としてひときわ存在感を放ち、かついつもスパッと気持ちのいい発言をされている小池栄子さんに、人生の先輩としてアドバイスをしていただくこととなりました!隔週更新でお届けします。
――他人の目や意見に過敏になりすぎてしまい、ネガティブ思考のループにハマって自分をどんどん押さえ込んでしまっている…今回は、そんなお悩みです。
本日のお悩み
メールやLINEを送って返事が来ないと、「自分の書き方が悪かったからだろうか」とクヨクヨしたり、「○○さんがあなたと知り合いだと言っていたよ」と聞くと、自分について何を言われたのか気になって気になって仕方なくなり、その人に次に会ったときにうまく話せなくなってしまうこともあります。先日も、ぽろっと言われた「Aちゃんって細やかなイメージだね」という一言に、「どういう意味…?私が口うるさすぎるの…?」と問いただしたい気持ちを抑えるのに必死で、一日中そのことが気になってしまう始末。また、他人にどう思われるかを考えすぎてしまうあまり、無難な服を選んだり、目立つ行動はしないようにしよう…とも思ってしまったりも。世間的には「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」なのかもしれないのですが、仕事をしたり、友人関係を築いたり、恋愛をしたりと、他人と関わっていたいとも思うのに、なぜ他人の目が気になるのでしょうか。小池さんは堂々としているように(勝手ながら)見えますが、他人のあれこれを少しでも気にしないでいられるようになるには、どうしたらいいと思われますか。(29歳・メーカー勤務)
――これはまた、簡単ではない悩みですね。
実は私にもこういう友達がいて、その子には「誰かのことを気にするほど、みんなそんなに暇じゃないよ」って、励ます意味で言いましたけど、このように考えてしまう人にはなかなか届かないのかもしれませんね。友達は誰かに誘われた日、誘われてない日までチェックして覚えているぐらい気にしちゃう子だったんですが、そういう生き方だと、自ら友達と離れてしまう気がします。自己肯定感が低くて、誰かに愛されたいのかな…?
――自己肯定感が高い人って、あまり周りや人目を気にしないですもんね。もし気にしたところで、落ち込んだりしないし。
そうそう。そもそも、申し訳ないけど、この相談者の方って全部自分の中での悩みですよね。メールの返事が来ないのも、相手の体調が悪かったのかな? と考えるのではなく、自分がいけなかったのかな、と自分本位になってしまっている。忙しくて返事ができないだけかもしれないとか、本当に体調が悪くて寝込んでいるかもしれないとか、相手を気使うことができなくて、それよりもまず自分が優先のように見えてしまいます。
――「細やかなイメージだね」というのもそうですよね。
私なら「気使いのできる人だね」とか「繊細な部分を持っているね」って、褒め言葉に受け止められるけど。
――真っ先に、ネガティブに捉えるところがあるのでしょうか。
もしそうだった場合、自分に自信をつけていかないと、変われない気がします。お仕事をされているようですし、自分は頑張ってるから大丈夫という気持ちを積み重ねていって、ちゃんと軸が出来上がっていったら、もしかしたら今気にしてしまうようなことが気にならなくなるかもしれません。
――具体的には、日々、どうやって積み重ねていけばいいでしょうか。
例えば毎日寝る前に、今日自分が頑張ったことを褒めてあげるとか。誰でも人は生きていくうえで、他人と関わっていかなければいけないので、人のことを考えてしまうのは当たり前です。でもせめて、今まで他人を気にしていた時間の1〜2割でも自分のことを考えたり、褒めたり、ご褒美をあげる時間にしてほしい。
――言われてみると、この方は、自分のことを考えている時間はすごく少なそうですね。
そうなんですよ。毎日少しずつ自分のことを考える時間を増やしていけば、そのうち他人のことを気にすることは減っていくのでしょうし。まずは、視点を変える時間を作る訓練を少しずつしていくといいのかも。
「そんなに人はあなたのこと気にしていないよ」 って言われて、ショックだったけど楽になった。
――「小池さんは(勝手ながら)いつも堂々としてるように見えます」とのことですが、そう感じる人は割と多いような気がします。パブリックイメージかもしれませんが。
そうですね、確かに堂々としているかも。全く世間の目や意見を気にしない性格ではないけど、もともと、正解がないことに時間を使うのがもったいないと思うタイプで。人間は、ポジティブに展開していくのが得意じゃないって言うじゃないですか。わからないことを、ああじゃないかこうじゃないか…って考えていると、ネガティブなものばかり拾ってしまうのが人間だとしたら、余計に、相手に確認してみないと本当のところはわからないよなって思うんです。悩む時間は無駄だって。
――そう思い始めて、変わったことはありますか?
人とのちょっとした会話の中で、あれ? 傷つけること言っちゃったかな?と思う程度のことでは、落ち込まなくなりました。だって相手がもし本当に傷ついて嫌だったら指摘してくるとか、もしくは離れていくだろうし、もし自分が気にしているなら、次会ったら聞いてみようとかフォローしようって思うだけ。
――小池さんのお仕事的に、他人の目からは逃れられないとは思いますが、そことの付き合い方はいかがでしょう?
昔ほど気にしなくなりましたね。やはり、経験と年齢を積み重ねたことが大きいかもしれません。
――そう思えるようになったきっかけの出来事はありますか?
それこそ、この相談者の方のように思ったこともありました。例えば舞台をやっていてセリフを噛んじゃった時に「どうしよう…お客様も役者さんもどう思っているんだろう」って落ち込んだり、出来がよくなかったと反省したり悩んだり。でもその時に先輩から「噛んでた?そうだっけ?そんなにみんな、あなたのことを見てないよ(笑)」って言われたんです。ちょっとショックだったけど、楽になりました。
――それまで考えてもみなかった方向からのアドバイスだったんですね。
そうですね。みんなが自分のことばかり見てると思ってたから気にしていた。なんで自分のことをすごいやつだと思っていたんだろう、と恥ずかしくなって。だから、この相談者の方にも言いたいんです。「他人はあなたのこと、そんなに気にしてないよ」って。
――決して冷たい意見ではなく、ご自身も楽になった意見ですもんね。
あとは、どうしても気になるなら、思い切ってその本人に聞いてみてもいいのかも。「この前言われた、Aちゃんって細やかなイメージだね、ってどう言う意味?」って。それも自分の視点を変える第一歩だから。「○○さんがあなたと知り合いだと言っていたよ、って言ってたけど、なんて言ってたの?」って聞いてもいいし。
――わからないことを考え続けているより、行動して答えを自分で出したほうが早いですね。
万が一そこでネガティブなことを言われても、傷つくことにも慣れていかないと、とも思うんです。だって、傷つかないように生きるなんて無理だし、経営者の人も「失敗はいっぱいしなさい」ってよく言うけど、失敗したり傷つかないと見えない景色がありますから。年をとるほどそれは怖くなるものの、進んで自らそれを受け入れていく人の方が、将来伸びる気がします。
――それは職業関係なく、そうなんでしょうね。
はい。役者だって、怒られることから逃げている人は何年も変わらない気がします。例えば単身で海外に出るとか、いろんなチャレンジをしている人の方が、怖さと戦って傷つきながらも、人として大きくなっていますから。
――今の状態や自分が嫌だと思うなら、自分で一歩踏み出して視点や環境を変えていかないと、何も変わらないということですね。
そうです。殻に閉じこもって、自分の可能性を狭めていくなんて時間の無駄だしもったいない。「私って人見知りだから、気弱だから、気にしいだから」…って、そんな“自分可愛い症候群”から早く脱出してみましょう。だってみんな日々のことに夢中で、あなたのことは見ていませんから。自分自身が見てあげないと!