五感に響く、山の力。 河合優実、長野・戸隠へ。
聖地に向き合ったとき、人は何を想うのか。俳優・河合優実さんは、長野県の戸隠へ。聖地に赴き、その土地のパワーや“気”を存分に浴びて、生まれてきたものとは。12月26日発売 1217号「開運聖地」特集からお届け。
「山の神々に祈りを捧げた2,000年分の人々の想いを感じる」
どこまでも青く透明な空。樹齢400年超の杉並木。朝露に濡れて輝く苔。山から流れ落ちる小川の音。美しい風景を映す鏡池。戸隠は祈りの場所なんだなって思いました。本当に神様がいるかどうかはわからない。でも、人々はこの山に神様がいると信じてやってくる。祈りを捧げ、願いを込め、一歩一歩踏みしめて参道を上る。何千年にもわたって、人々の「想い」が積みかさねられた場所。
東京の代々木上原にあるモスク(東京ジャーミイ)に行ったことがあるんです。散歩の途中で偶然前を通りかかって。誰でも自由に見学できると聞いて、入ってみたんです。空気感がまったく違いました。原宿や新宿に近いエリアにあって、モスクの前の通りは車も多い。だけど、中は「しん」としていて、空気がピンと張りつめている。不思議と心が落ち着いたんです。私の中にはないはずの神を信じる人たちの祈りの場。でも確実に受け入れてくれていて。そのときの感じと、戸隠で感じるものはすごく似ています。信じる心がぎゅっと集まる場所。だからこそ「聖地」と呼ばれるんだろうなって。
最近、ひとり暮らしを始めたんです。仕事に集中するために。楽しい半面、仕事中心の生活になってしまい、それで頭がいっぱいになることもあるんです。気晴らしにひたすら散歩をしたり、公園で緑を感じてみたりもするけれど、たまには、今日みたいに思いっきり遠出をして、五感を解放するのはすごく大事なことだなって。戸隠に来たら、身も心も解き放たれ、どんどん余白ができていく、そんな感じもしました。
大学の演劇学科に通っていたとき、「シンクロ」という演技メソッドの授業があったんです。人とペアになって背中を合わせ相手の息を感じるレッスン。その中で、「木と会話する」という項目があったのを思い出しました。木に直接触って声を聴きましょうと。今日、杉の大木のひんやりと濡れた幹に手を当ててみて、ふだん表現をするときに自然が肌を通して与えてくれる感覚の偉大さに改めて想いを馳せました。
1. 戸隠神社 隋神門
日本神話に登場する「天岩戸(あまのいわと)」が飛来してできたといわれる戸隠山。その麓の戸隠神社は2,000年以上の歴史を持ち、奥社、中社、宝光社、九頭龍(くずりゅう)社、火之御子(ひのみこ)社の五社からなる。
住所:長野県長野市戸隠 │ 地図
2. 戸隠神社 奥社
奥社の神は天手力雄命。「太陽神の天照大神(あまてらすおおみかみ)が岩屋に隠れたため世界は闇に覆われた。困った神々が岩屋の外で歌や踊りの祭を開催、岩戸を少し開けて顔をのぞかせたところで天手力雄命が押し開いて外へ連れ出し、世界に明るさを取り戻した」という伝説。
住所:長野県長野市戸隠3506 │ 地図
電話番号:026-254-2001
3. 鏡池
奥社から3キロほど離れた標高1,200メートルにあるため池で、その名の通り戸隠の風景を鏡のように水面に映し出す。
住所:長野県長野市戸隠 │ 地図