小池栄子のお悩み相談室 /第2回「前の恋人と別れて以来、パートナーができない。好きになりかけた人とも、長く続きません」 (29歳・コピーライター) LEARN 2023.01.04

仕事、プライベート、家庭生活含め、日々頑張っている人ほど悩みは尽きず、誰かに聞いてもらいたい、いいアドバイスが欲しい…そう思っている女性たちの声がHanako編集部に寄せられています。そこで、女優としてひときわ存在感を放ち、かついつもスパッと気持ちのいい発言をされている小池栄子さんに、人生の先輩としてアドバイスをしていただくこととなりました! 隔週更新でお届けします。

――前回は、お仕事の悩みについてお答えいただきました。ご自身の経験談を交えながら、親身に考えていただき、とてもわかりやすいアドバイスをありがとうございました。さて今回は、恋愛の相談です。

本日のお悩み

「長く(学生時代から5年)付き合っていた人と別れて以来、パートナーができず、趣味が合う人を好きになりかけても続きません。最近、映画などの趣味の合う方と付き合ったのですが、“なんとなく合わない”と感じて3か月でお別れしてしまいました。最近は、好きなものが合う人より、心の底にある許せないことや怒りの原因が合う人だと話していても安心するなと思うのですが、まだ結論には至っていません。小池さんはご結婚されていますが、小池さんが、恋人なり夫婦なりの関係で“長く共にいられる条件”は何だと思われますか」(29歳・コピーライター)

――29歳というと、やはりこのような悩みを抱える人も多いですよね…まず小池さんの、パートナーと長く共にいられる条件とは何ですか?

この場合の条件とは少し違うかもしれませんが、私がパートナーとの関係において心がけていることは、“相手に期待しない”ことです。

――お互いにですか?

夫はもしかしたら期待しているのかもしれないけど(笑)。例えば日常生活の中で、「あれやっておいてね」ってお願いしたとして、どうせやらないだろうな、ぐらいに思っておくことかな。そうすれば、やってなかった時にイライラしないじゃないですか。

――それでも、爆発的な怒りにはならないだろうけど、はぁ〜ガッカリ、みたいなのが残る気がして。

私の場合は、怒りや悲しみを“ポイント制”にして貯めているんです。それで、貯まったポイントをお芝居の時にエネルギーに変えてぶつけちゃえ、って。まあ、この仕事をしているからできるのですが。

――なるほど〜。ポイントを貯めるって、なんか楽しそうです(笑)。

そうそう。最近だと、大河ドラマで結構重めの役を1年半くらいずっと演じていたんですね。いろんな感情表現でエネルギーをかなり使うので、それまでに貯めておいた“あいつムカつく”ポイントが役立ちましたね(笑)。これを次のあのシーンで爆発させてやる、って。

――あははは(笑)。ものすごく効率的なエネルギーサイクルですね。いいですね。

イライラや悔しさはどうしても貯まってしまうから、“消化すること”がすごく大事だと思うんです。だから私の場合は、仕事で。そういう自分なりの消化方法を見つけるといいと思うし、ポイント制はおすすめですよ。お願いしたことをやってくれなかったら、どんどんポイントが貯まっていくし、もしやってくれていたら、やってくれたんだ! ってプラスポイントが貯まるわけですから。

――どちらに転んでも、ポイントが貯まりますね。

そうです。それに、そうやって相手と向き合っていくのって、なかなか楽しいものだし、この先長く人生を共にするうえで、楽しめるかどうかも条件のひとつなのかな、って。そもそも、相手も自分に対して不満に思っていることはあるかもしれない。男性って優しいから、いちいち口にしないんですよね。

――わかります。イライラしているのは自分だけじゃないと知ることで、相手に優しくなれるかもしれない。

そもそもそ私は、自分は完璧な人間じゃないと思って夫と接しているんです。完璧じゃないから期待しないで、私も期待しないから、って。そうやって付き合っているうちに、相手のことを愛おしいなとか、面白いなって思えることが増えていく気がします。

恋愛の形はひとそれぞれ。パターンにはめて落ち込む必要はない。

――この相談者は、パートナー関係を望んでいるようですね。でもそこに焦りを感じているというか…。

う〜ん、でも無理に誰かを好きにならなくてもいいんじゃない? 私は結婚したからこそ、“結婚しなくてもよかったな”とも思うんです。自分の時間軸で働いて、好きな時に旅行して、友達と遊んで…という道も歩んでみたかったかも、って。もっといろんな人と恋愛もしてみたかったし、そんな自分も見てみたかったな。

――隣の芝生は青い、じゃないですけどね。逆に、結婚してよかったと思うのはどんな時ですか?

一緒にいるとホッとするし、自分の味方がいてくれると思えること。結婚前に夫が、「栄子を楽しませることができる人は、この先にいっぱい出てくるだろうけど、辛い時に離れずにそばにいるのは自分だけだ」って言ってくれたんです。なんの保証もないけど、その言葉がすごく嬉しくて。確かにな、絶対的な味方でいてくれて、私の手を離さないでいてくれるのは、彼かもって。それが結婚の決め手にもなっていて。

――めちゃくちゃ素敵〜! 小池さんは、夫に対して絶対にやらないようにしていることはありますか?

う〜ん、プライドを折らないことかな。例えば夫は、2〜3回しか行ったことがない店でも、「あそこの肉はどうのこうの」ってまるで常連のように言うようなところがあるんですが、その場に他の人がいる場合は、心の中ではククク…って笑っていても「へぇ〜すごいじゃん」って言うようにしています。人前ではあまり恥をかかせたくないから。それで裏で「こんな人でごめんなさいね、でもこれが可愛いところなのよ」ってフォローしたり(笑)。夫は恥ずかしがり屋だから、余計に虚勢を張りがちなタイプで。

――素晴らしい思いやりです。

いやいや…。でも私、男性が女性の前でカッコつけたり、プライドを見せることは可愛いなって思っていて。逆に、見栄を張らない男性はあまり好きじゃない。だから夫の見栄も、もしかしたらそれが彼を支えているものだとしたら、人前でズバズバ指摘することで心折れちゃうんじゃないかって思うから。

――でも、それをずっと続ける忍耐力も必要ですよね。

結婚前から同棲していたので、もう20年ぐらい一緒にいるんですが、そうなるともうお互いの成長を見守ってきた感じ。だから夫は今、大学生ぐらいの精神年齢になったと思っています(笑)。

――0歳から育てていたんですね(笑)。

そうですよ。言うこと聞かないし、泣かされたこともあったし、“怪獣期”みたいな時もありましたよ。でも、反抗期でも、息子を家から追い出さない母親と一緒。そもそも私は、結婚とか家族を作ることにずっとワクワクしていたから、成長を見るのは楽しいですよ。それに、そうやって楽しみながら付き合わないと、時間がもったいないですから。

――本当に何事も楽しめちゃうんですね。

そうかもしれませんね。とはいえ、知人たちにパートナーの話をすると、「ひどくない?」って引かれることもあります(笑)。でも、他人に何を言われようが、最終的に自分が納得できていたり、“そこは自分の中では許容範囲だな”と思えたりすれば良いと思うんです。恋愛にありがちなよくないパターンって、ネットのアドバイスや、友達はこうだった…なんていう型にはめこんで、それと違ったら落ち込むことだと思うんですよね。

――なるほど! 確かに、この場合はこれが正解、みたいなアドバイスをよく目にしたり聞いたりしますね。

でしょ? 恋愛なんて人と違って当たり前なのに、みんなと違うから不安になるって、よくないと思うんです。誕生日に素敵なレストランに連れて行ってくれる彼がいい彼だ、とか。もちろんそれはそれで嬉しいけど、そうじゃなくても、自分たちの形をつくっていけばいいと思うな。

――この相談者も、もう29歳だから早くパートナーを探さなきゃ…という“適齢期”のパターンにとらわれているのかもしれませんね。

29歳って、そういう時期でもありますしね。でも、周りと足並みを揃えるよりも、まずは自分に足りない部分、必要なことを客観的に見ること。それをどう捉えて、どう補えるかで、一人にせよ、パートナーがいるにせよ、人生の楽しみ方が変わってくるはずです。

Photo : Syu Yamamoto text : Aya Wakayama

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