言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第88回~
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。
(photo : Yasutomo Sampei styling : Chie Hosonuma hair&make : Aya Murakami)
「老婆心の膨らみ」
最近、自分の中の「老婆心」が大きくなりすぎている気がする。生まれ持った性格なのか、若い頃からその片鱗はあった。何かと本で読んだり人から聞いた話を、さも自分が経験したかのように知ったかぶりして話してしまうのだ。「こういうのは良くないと聞いた」「それは違う」「経験上は」「こうなってこうなっちゃうんだって」「だから、こうした方がいいと思う」。何か相談をされようものなら、意見を聞かれる前から自分の考えをとうとうと話し始めてしまう。そんな話を素直に聞いてくれるような優しい心の持ち主ならいいのだけれど、だいたいは相談する側も結局は自分の話を聞いてもらいたいだけ。答えなんて、ましてや説教なんて求めていない。「うんうん」と聞いてあげるのが一番なのだ。必要なのは、共感と励まし。それだけ。頭ではもちろん分かっているのだけれど、夢中になって話してしまう。一通り終わった後にいつも、またやってしまった…と思うのだ。
そう、私は基本的にお節介なところがある。とはいっても、誰かれ構わず世話を焼いてしまうという無償の愛系お節介さんではなく、自分が大切に思っている人、友達や同僚、後輩たちに対してだけ、そのスイッチが入ってしまう。人を選ぶ系お節介さんという、善人なんだか鬱陶しいだけの人なんだか、非常にややこしい分類に属していると思う。特に年下の困っている子、悩んでいる子には教えてあげたい、何かヒントをあげたい。文字にするとかなり「おこがましく」映ってしまうけれども、ただ単純に年を重ねたせいなのか、そういう立ち位置に年次とともになってきたのか、気概を持って頑張っている子の背中を押したくなる。もっと成長してほしいから。期待しているから。もっと出来ると思っているから。あれだけ「期待は身勝手」「期待になんて応えなくていい」って言っていた本人が、誰かに期待をする方に回る日が来るとは。
Mという後輩がいる。良いものを持っているのだけれど、今一つ表に出てこない。なんだか今一歩弾けきれていないところがある。個人的にはもっと輝ける気がしている。彼女に自分の行っている美容院を教えて、髪型はポニーテールが良いとオンエアを見て指示し、刺激をもらえるように色んな人に会わせ、立ち居振る舞いで気が付いたことがあったら指摘し、しまいには生活力をつけさせるために一人暮らしを始めることを勧めている(精神的に自立するのと、貪欲になるから)。彼女に夜な夜な不動産紹介サイトのURLを送り付けたこともあった。面倒くさい先輩と思われていないといいけど。多少思われているに違いないけど。この老婆心の膨らみ、どこまで行くのかしら。
【弘中のひとりごと】
新宿近くのスタジオだったので、このあと伊勢丹ショッピングしましたー!