コロナ禍が、豊かな暮らしの本質に気づかせてくれたこと |モデル asacoの4回目の育児 – fourth time around MAMA 2020.04.28

この連載は……
モデルとして雑誌やCMに出演するいっぽう、夫婦で手がけるケータリング業「マフィオ」として、最近はママキャンパーとしても活躍中の asacoさんの連載。2018年5月に4人目のお子さんを出産して、ますますにぎやかになった家族との毎日。4児の母ってどう?家事やお仕事は?などなど、なにげない日常から感じたことをつづります。

vol.42 「コロナ禍が、豊かな暮らしの本質に気づかせてくれたこと」

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1ヶ月前、縮小だったけれど卒業式が開催できたことが奇跡のように思える今日この頃。長女と次女の入学式はもちろん延期となり、ついには今週から保育園までが休園となって、しばらくかぞく6人で過ごすことが大決定しました。
とは言え、それは決してわが家に限ったことではなく、SNSを覗けばもれなく周りのみんなも同じような状況だと一目瞭然。そして、業種こそ違えど、個人で仕事をする多くの友人が仕事激減を嘆いております。もちろん私と夫もご多分に漏れずなのですが…。

ただ、ふとこの状況になって懐かしく思い出すことがあります。それは10年前、2人目が生まれてしばらく経ったときのこと。
某有名私大の法学部を卒業しているにも関わらず、出会った頃からずっとフリーターだった夫の政治くんが、長女が生まれるタイミングで人生で初めての会社勤めを始めて、2年ほど経過したある日のことでした。
やっと生活の安定を手にしたはずが、今まで当たり前にそこにあったかぞくとの時間が激減して、知らず知らずのうちに心のバランスを崩していった彼。
私は私で、まだ子育ての右も左も分からない中で孤独にわが子たちと向き合い続ける毎日に心底疲れてしまって、今思うと、当時は夫婦ともに気持ちがとっても病んでいたのでした。

突然お昼頃に政治くんから電話をもらって、渋谷に呼び出された私は待ち合わせの場所に向かうと、そこにはひさしぶりに見る清々しい表情の夫がいました。
理由はすぐに判明。「仕事辞めてきちゃった!」と言うのでした。その時はさすがに「うそでしょー?!」と叫びましたが、今思うと、あの日こそが今の私たちの原点。
夫婦で一番大切にしたいことを共有できた瞬間でした。結局、夫は安定よりもかぞくとの時間を選んだ。その暮らしは今もなお、わが家の当たり前となって続いています。

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なぜこのエピソードが浮かんだかと言えば、最近かぞくと過ごす時間が増えたことを嬉しそうにつづる、友人たちの投稿をよく目にするようになったから。
コロナという有事の事態はもちろん誰もが初めて経験することでその戸惑いは計り知れないけれど、見方を変えれば、忙しく働き続ける人たちに、突然かぞくとの時間をもたらしてくれたのも事実なのです。

だからなのか、こんな状況でもっと殺伐とした空気が漂いそうなものなのに、むしろ気分転換に公園なんかに出向けば、そこにいる子連れのお父さんお母さんたちこそ、とてもやわらかな表情をしているように感じるのでした。それがまさに、あの日渋谷で見た夫のおだやかさと重なって、ひとりハッとしたのは言うまでもなく。

わが家に関して言えば、先述の通りすでにかぞく時間は十分すぎるほど確保されていますが、それでも上と下で10歳も差のあるきょうだい4人が、こんなに密に毎日一緒に過ごすのはすごく貴重な機会なのかもしれません。
長女はこの春で中学一年生。これからかぞくとの時間も減る一方だと思うけれど、今回学校が休校になって、1歳の弟の保育園の送り迎えを自ら買って出てくれたのはすごくうれしかったことでした。
ちいさな弟をベビーカーに乗せて笑顔で出かけていく娘の姿には、思わずグッとくるものが…。今私たちは、そんな想像もしていなかったことの数々に直面しているのだと思います。

もちろん、この先を思うと少なからず不安も募るのだけど(特に収入の面で)、生きること、暮らすことに於いてそれよりも断然大事なことが今たくさん見え隠れしている。
その一つ一つを余すことなく全てすくい上げられるよう、今こそ感度を高めた暮らしを心がけたいなぁと思います。あの頃、かぞくでたくさん一緒にいられてなんか楽しかったよね。そんなふうに、懐かしく今を思い返すことができるように。

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