第4回 写真家・田尾沙織の『Step and a Step』500gで生まれた赤ちゃん 【田尾沙織のStep and a Step・4】トイトレの日々 MAMA 2020.12.25

写真家・田尾沙織さんに、500gで生まれて、軽度の知的障害とADHDだと言われている息子、奏ちゃんの子育てと日常について綴っていただくこの連載。
2人の日常を、田尾さんによる色鮮やかな写真と共にお届けします。

まわりのお母さんたちが「うちの子3歳になるのにまだおむつが取れなくて…」なんて話をしているのを耳にすると、「え!? トイトレって3歳からじゃないの?」と正直思っていました。

私の息子奏ちゃんは、成長の遅れがある精神運動発達遅滞なのもあり、3歳過ぎまで言葉も出ていなかったので、おむつが取れるなんて想像すらできませんでした。それでも、周囲に合わせて一足遅くなんとなくトイレに誘ってみたりしたものの、嫌がるだけで全く成果は上がらずでした。

3歳と4歳で2回に渡って尿道下裂という尿道の疾患の手術もする予定があり、泌尿器科の先生にも「おむつが取れていても手術前後おむつになってしまうので、トイトレは手術後でもいいですよ。早くおむつ取れでも別に良い事ないですよ。就学までに取れればいいんですよ」と言われて、安心していました。

そして、無事手術を終えて、4歳にもなり、本気でトイトレを初めましたが、これが全くできない。漏らしたら不快なはずなのに、それを教えてもくれない。私もしばらく気がつかないくらい、いつも通り。通常営業な感じ。膀胱の形も少し良くないと泌尿器科で言われたりもしていたので、感覚が鈍くてわからないのかもとも考えました。

保育園では、みんながトイレに行くのについて行って座っては見るものの出ない。そのうちに保育園ではちょろっと1回出たとかで先生方が泣きそうになるくらい喜んでくれたものの、毎回は出ない。

多動症だとも言われている奏ちゃんは、じっとトイレに座ってのも嫌みたいで、座ると早口で、「12345678910! でない!」と言ってすぐ立ってしまう。しようとする気持ちが見えない。いくら励ましても、シール作戦を使っても、「でない」と言われてしまう。「もう小学1年生でもおむつかな… 」と思う日々が続いていました。

そして「今年の目標はおむつを取ること」と思っていました。それでも、相変わらずな感じで迎えた今年の9月。

4歳9ヶ月になった奏ちゃんを朝トイレに誘って座らせて、「でない!」と言われるのを「でるよ!」と言ったら、奏ちゃんが大きな目で天井を見つめて、しばらくじっとしていたかと思うと、初めてチョロチョロっとではなくちゃんとした量が出ました。

そして、「ママがでるよって いったから でた」と奏ちゃんが言いました。それからは急に日中はオムツを取って過ごせる時間が伸びてきました。

5歳を迎えた今でも、大きい方はトイレで出来なくて、「おむつがほしい!」と言われてしまうのでおむつでしています。あとは、寝る時と、遠出する時はまだおむつです。それでも、今年の目標は達成したなと思っています。

奏ちゃんは今年もとっても頑張ったと思っています。

ちょっとお兄さんになった奏ちゃんは、トイレができた時や、ひとりでポニーに乗れた時、今まで登れなかった高い遊具に登れた時にとても誇らしげな顔を見せてくれるようなりました。

ひとりでポニーに乗って誇らしげな顔をしている
ひとりでポニーに乗って誇らしげな顔をしている

その顔がもう絵に描いたようなドヤ顔で、私はいつも笑ってしまいます。こうやって人は成長していくんだな、と感じました。

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来年の目標は就学までに完全におむつを取ること。いつかは達成できるから、焦らずいこうと思っています。

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