SDGs17項目フルコミット! 循環型屋上ファーム。 俳優の小林涼子さんが手がける〈AGRIKO FARM (アグリコファーム) 〉が、桜新町に開園。
「婚姻届に判を捺しただけですが」や「花嫁未満エスケープ」ほか、多くのドラマに出演する俳優の小林涼子さん。かねてから農業に関心があり、生まれ育った世田谷で農業をやりたいと決心。日本国内でははじめて「アクアポニックス栽培」の屋外型施設を、〈OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町〉の屋上に開園しました。
国内初「アクアポニックス栽培」の屋外型施設。
「以前から、俳優業のかたわら、リフレッシュもかねて知人の農業をお手伝いしていたんです。でも、家族が体調を崩したことでお手伝いができなくなって。その経験から、いくら続けたい気持ちはあっても、体を壊すと離農せざるを得なくなってしまうことを実感しました」(小林涼子さん)
かつて農業は、その家の子どもが継ぐものでしたが、近年後継者不足で辞めざるを得ない農家があとを絶ちません。そこで「農業にも“バリアフリー”を!」と、立ち上がった小林さん。生まれ育った世田谷の地でAGRIKO FARMをスタートさせました。
農地を確保することが難しい世田谷で、どう農業をはじめよう?
そんなときに出合ったのが、「アクアポニックス」でした。
魚の泳ぐ水槽の上で野菜が育っていくという、不思議な栽培方法です。
「魚の食べたエサの残りや排泄物は、バクテリアが分解すると、野菜の栄養になるんです。水槽から組み上げた栄養満点の水を野菜たちが吸収すると、その水は浄化されて、キレイになった水がまた水槽に戻るというシステムです」(小林さん)
通常の水耕と比べて、80%の水を節約できるのだそう。世界的な水不足が謳われるなか、今後ますます注目されそうな方法ですよね。
魚が元気に育つために、野菜には農薬・化学肥料などはまったく使用していません。
野菜のためにも魚に抗生物質などは与えず、自然に近い環境をつくり出しています。
魚、バクテリア、野菜、それぞれが元気に過ごすことのできる環境は、まるで小さな地球を再現しているようです。
SDGs17項目に、フルコミット!
「今回、起業するなら可能な限りSDGsにフルコミットしよう!と思って、取り組みについては熟考しました。アクアポニックスの設備に使用している竹は、竹害に悩む地域から譲り受け、設計は明治大学 川島範久先生をはじめ3つの研究室の皆さんに協力してもらいました」と、小林さん。
「社会に出ると失敗は許されないから、この経験が少しでも学びの機会になってくれたらうれしい」と、ゼミ活動の一環となっている点も魅力です。
また、ファームの点検や手入れは障がいのある方が携わることで、農福連携農園を目指しています。
「誰でも簡単に管理できる、バリアフリーな農業を目指しているので、アプリでファームの様子を確認できるオペレーションに。農園で働いてくれているプレミアムウォーターホールディングスグループのGifted(障がい者)の方々とは、Google Meetで朝礼をしています。出勤できない雨の日は、みんな『野菜が心配』と、とても優しいんです」(小林さん)
FARM TO TABLEを、世田谷で味わう。
栽培した野菜は、1階〈OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町〉で、ランチコース(3,300円)の一部として実際に使用されています。
朝、シェフが屋上に上がって、食べごろの野菜を収穫しているそうです!
ランチコースは、仕入れ状況によって日々内容が変更になるとのこと。
アクアポニックスから収穫された野菜、「今日はどのメニューに入ってるかな?」と、発見する楽しみもありますよね。
この日のメニューでは、前菜に「カラシ水菜」と「アカ水菜」が添えられていました。
白ワインソースでいただく花ズッキーニのベニエは、もったりとしていて、少し辛味のある水菜と相性抜群!
「この水菜、あのアクアポニックスで育ったんだなあ」と思うと、とってもありがたくておいしくて、胸がジーンとします。
今後、増設に伴い、障がい者雇用をお考えの会社も募集しているとのこと。さらに、屋上のファームを地域の方にも開放していくそうです。
子どもたちの学びの場としても、地域の方の憩いの場としても、アクアポニックスが活躍しているところを想像すると、なんだかうれしくなりますよね。
農家の子どもじゃなくても、自分が農業を継ぐ「子」になればいいと話す小林さん。
農業(アグリカルチャー)+「子」で、AGRIKO。
地球のことを真剣に考えた、地域や福祉とつながる取り組み。
みんながひとつになれるような、新しい農業のかたちがここにありました。