憧れは、バレリーナのような美しさ。 金子仁美2回目の振付作品が上演!舞台裏をレポート。【バレリーナ金子仁美のきれいなカラダのつくり方】
バレリーナ金子仁美さんが、ベールに包まれたバレリーナの生活と、日常でできる簡単ストレッチやトレーニングをご紹介します。第24回は、前回に引き続き特別編!先日、無事に公演が終了した金子さん振付作品の裏側をリポートします。(記事トップ画像:©︎Kiyonori Hasegawa)
バレエダンサーが振付に挑戦する企画「The Tokyo Ballet Choreographic project」
私の所属する〈東京バレエ団〉では「The Tokyo Ballet Choreographic project」という、現役バレエダンサーが振付に挑戦する企画を継続して行っています。ダンサーがダンサーのために振付、演出をすることで、双方の芸術性を高めてもらいたいという芸術監督・友佳理さんの想いから始まったこのプロジェクトは、今年で5年目を迎えました。
これまではバレエ団のスタジオにセットを組み、スタジオパフォーマンスとして上演していましたが、なんと今年は本プロジェクト初!〈東京文化会館〉での上演が実現しました。この大舞台で踊れることだけでもすごいのに、自分が創った作品だなんて…夢のようでした。
今回、私が創ったのは男女のパ・ド・ドゥです。2年ほど前、大切な人のお腹に宿った命が誕生することなく、天使になりました。とても悲しい思いをしたと同時に、当たり前のように自分の命があるのではないし、平等に命が生まれてくるわけではないことを実感しました。
このことをきっかけに、2015年に放送されたテレビドラマ『コウノドリ』を思い出し、Amazon Prime Videoで観始めることに(涙もろい私は、医療系などの命に触れた作品を観ると泣きすぎて次の日に影響が出るほど目が腫れてしまうため、普段はあまり観ないようにしています)。
作中でピアノのシーンがとても重要なのですが、そこで流れてきたのが、清塚信也さんの曲『Baby, God Bless You』。なんとも切なく、でもどこか優しく心を包んでくれるような音色に一気に惹かれ、毎日、毎日この曲ばかり聞いて、気づいたら頭の中でパ・ド・ドゥを創っていました!この頭の中にあるものを現実にしたいという思いと、このプロジェクトにチャレンジすることを決め、頼りになる2人のダンサー、樋口祐輝くんと工桃子ちゃんにお願いして踊ってもらうことに。私の思い描いていた通りにマッチして、最高!
リハーサルは充実して、とても楽しい時間でした。2人はすぐに私の意見を受け入れてくれるし、反応してくれる。時には自分たちの意見も言ってくれるし、パ・ド・ドゥなので、祐輝くんにはたくさんアドバイスをもらいました。
ピアノの音楽には、ものすごく感情を入れやすかったので、感じるままに振付をしていきましたし、ダンサーの2人も自然な表現をしてくれました。最初は切なく始まり、どうにもできない苦しみや寂しさ、孤独…。1番盛り上がる終盤はガラッと雰囲気が変わって感動的になるので、希望とか、明るい未来とか、奇跡のようなものをイメージして作りました。
全て振付ができたとき、作品名は『The sun rises』と決めました。“どんなに悲しいことがあっても、未来に希望が持てるように”。そんな想いを込めて。少しでも私の想いが、観てくださった方々に伝わっていたらうれしいです。
〈東京文化会館〉での上演は急遽決まったので、「大きな舞台に2人だけで!?」「照明はどうしよう…」など、色々な不安がありましたが、プロフェッショナルなダンサー、スタッフのみなさんのおかげで『The sun rises』を上演出来たこと、本当に幸せです。観に来てくださったたくさんのお客様には心から感謝いたします。この経験を活かして、今後も頑張って参ります!
以上、金子仁美でした。次回は4月に初演する『ロミオとジュリエット』のリハーサルレポートをお贈りする予定です。よければプロモーション映像もご覧くださいね。どうぞお楽しみに!