台湾の不妊治療について。 台湾人にとって欠かせない『中医学』とは?台湾の不妊治療の最前線を取材してみた。
日本と同様、不妊治療の受診が多い台湾。コロナ前にはわざわざ日本から治療を受けに行く人も少なくなかったという。日本との差はどこに?台湾の不妊治療の最前線を取材してみた。今回は〈愛群産婦人科中西医クリニック〉へ。西洋医学と東洋医学を併用し、中医学で体を整えて治療にあたる。年齢が高い患者さんには、積極的に卵子を育てるための漢方を処方する。
患者の体質を改善し、良好な卵子を育てる。
〈愛群産婦人科中西医クリニック〉の陳曉萱院長は、中医学と西洋医学を合わせた不妊治療を行う。台湾人にとって中医師は、体調不良からガン治療までなくてはならない存在。愛群中西医クリニックの来院者には、37歳以上の人や、体外受精法を1〜2回試して成功しなかった人も多い。早発卵巣不全、多嚢胞性卵巣症候群といった難病の場合もある。
「不妊の原因は複雑に絡み合いますが、妊娠は腎の機能が関わり、肝の健康は順調な生理につながっています。漢方薬で子宮を温めたり、気の巡りをよくしたり、血流をよくすることが重要です」とチェン院長。クリニックでは患者一人ひとりの状況を把握し、適切な「弁証論治」で治療にあたる。
まずは陰陽・気血などの体質を整えて、問題点に対しそれぞれの生薬を配合する。体の酸化に対抗する力もつけられるようにする。日本とは異なり、既製品の漢方薬に特定の生薬を加え、治療効果を強化することができるのが特徴だ。「台湾では不妊治療とは『養卵(卵子を育てる)』という考え方があり、ここでは自家配合の養卵漢方薬を使います。年齢の高い患者さんの場合、西洋医学の科学的研究方法を借りつつ、養卵漢方薬を服用するのとしないのとでは、成功率に差があるという臨床での報告もあります。中医学は不妊治療において大役を担っています」
気になる費用は、台湾の国民健康保険がない場合は、毎週2000〜3000元の自己負担が目安だ。日本人の患者さんも来院する。「日本人は食生活が淡白だからでしょうか、漢方との相性がいいことが多いです」とも教えていただいた。
〈愛群産婦人科中西医クリニック〉
中医、西洋医の両方も、西洋医学のみの受診も可能。
■台北市大安區信義路三段 178號 6F
■02-5599-8333
Profile…陳曉萱(チェン・シャオスアン)
中國医薬大学学士後中医学科、台湾中医家庭医学会会員、台北市立連合病院陽明院区中医科チーフレジデント等を経て現職。