喫茶店も、ごはんは京都。 人気店マスターが教える、喫茶店のこと。「喫茶店」と「純喫茶」って どう違うの?…etc.
日本ならではの文化として進化してきた喫茶店。おなじみのメニューや店での作法など、押さえておきたい基礎知識を人気マスター&専門家に聞きました。改めて総復習!Hanako特別編集『喫茶店に恋して。[改訂版] 』よりお届けします。
Q.1「まず注文すべきはブレンド?」
よくメニューの最初に書かれている「ブレンド」。値段もお安いし、余った豆を混ぜてるだけでは?なんて侮るなかれ。「ブレンドすることで、単一のコーヒー豆では味わえないオリジナルの香味を作り出せます。オリジナルゆえ、そのお店の顔。私も初めて行くお店では注文することが多いです。ブレンドを軸に喫茶店巡りをするお客様もいますよ」(〈ぐすたふ珈琲〉茅根和司さん)。ブレンドとは店の名刺的存在なのだ。
Q.2「「喫茶店」と「純喫茶」って どう違うの?」
そもそもは昭和初期、ウェイトレスがお酒を提供する業態が増えたため、それらを特殊喫茶店とし、「お酒類を扱わずコーヒーや軽食を出す店を純喫茶と呼び区別したそうです」(〈ロッジ赤石〉小沢康純さん)。今ではレトロ喫茶全般を指すことも。
Q.3「カップの持ち手は 右?左?」
出されたときの持ち手の向き。取材撮影時も迷います。「特に決まりはないんです。一般に、砂糖を入れるならカップを左手で持って混ぜるので持ち手は左側、ブラックは逆でお出しする場合が多いようです」(茅根さん)
Q.4「マスターに話しかけてもいいの?」
「もちろんです。ランチタイムのような混雑時はちょっと困りますが、それ以外でしたら快く応じます」(小沢さん)。コーヒーについて聞きたいけど話しかけられない…という人、すいてる時間帯がチャンスですぞ。
Q.5「浅煎りと深煎りの違いって?」
焙煎は火を入れる時間によって超浅煎り(ライト)から超深煎り(イタリアン)まで、8段階に分けられる。浅煎りはフレーバー(香り)や酸味が、深煎りは苦味や香ばしさ、コクが特徴。「シングルオリジンはフレーバーと酸味の特性を生かすため浅煎りにすることが多いです」(茅根さん)。かたや、ネルドリップやミルクで割るカフェオレはコクを楽しむため深煎りを使うのが一般的。焙煎に注目してメニューを選んでみよう。
Q.6「「レイコー1つ」って 隣の人が言ってました…。」
今では死語となりつつある喫茶用語、レイコー。「主に関西で使われた言葉ですが、アイスコーヒーのこと。ほかにアイミティー(アイスミルクティー)とか、温かいブレンドをホットと呼ぶのはうちでは現役ですよ」(小沢さん)。喫茶マニアを目指すなら、勇気を出して使ってみる?
Q.7「ナポリタンは1.7mmが鉄則?」
喫茶店の代名詞、ナポリタン。麺は1.6~1.7mmが一般的といわれ、なかには極太の2.2mm、あえて焼きそば感覚の細麺で、と店のこだわりは多種多様。「うちではずーっとイタリア〈バリラ社〉製の1.9mm麺。硬めに茹でた後に炒める“茹で置き”には、この麺が合ってるんです」(小沢さん)。麺の太さで好みの一皿を見つけるのも、ナポ道の醍醐味だ。
Q.8「レモンティーは日本生まれ?」
ルーツは大英帝国時代、ヴィクトリア女王がロシア帝国訪問の際にレモンティーを出されたという説も。「日本へは戦後、カリフォルニアの農家のレモン販売促進策のために米国から紹介されました。それを機に1950~70年代頃、紅茶にレモンの輪切りと角砂糖を入れる飲み方が大流行したのです」(「日本紅茶協会」専務理事 米川榮さん)。以来、米国と日本で定着した飲み方に。
Q.9「ネルドリップとサイフォン、水出しの違いは?」
布フィルターが特徴のネルドリップ、蒸気圧で抽出する実験器具のようなサイフォン、水滴を落とし、7~8時間かけて抽出する水出しコーヒー。いずれも1960~80年代の喫茶店全盛期に普及したスタイルだ。「ネルドリップは保水性や保温性に優れているので濃い目に抽出され、まろやかで甘みのある味わいです。サイフォンは高温短時間抽出なのですっきりと香ばしく、水出しは時間をかけて低温で抽出するため、透明感のある丸く柔らかな味わいになります」(茅根さん)。見た目の優美さもあり、人気再燃中の御三家。味わいの違いを体験してみては?
Q.10「「おかわりは◯◯円引き」が意味することは?」
コーヒー一杯で長居するのは無粋というもの。では、いつ頃おかわりを頼むべき?「基本はお客様のタイミングでよいと思っていますが、一般的には1時間を過ぎた頃が目安でしょうか。私としては、おかわりは“お店への評価”と考えています。割引には“1杯目と違うものにもトライしてみて”という思いも隠れてるんですよ」(茅根さん)。「おかわり割引」を活用して、スマートなお客を目指したいものだ。
Navigator
江古田にある、ノスタルジックなインテリアが素敵な喫茶店。ネルドリップで抽出するロアブレンド(中浅煎り)とケアブレンド(中深煎り)が看板商品。
ロッジ赤石
ホテルの料理人を経験した店主が作るザ・喫茶店な食事メニューが人気。合わせるのは、サイフォン抽出のまろやかなコーヒーだ。店内は山小屋風。
日本紅茶協会
1939年に設立した、国内唯一の紅茶関連業者団体。ホームページでは基礎知識や紅茶のレシピを紹介。オンラインレッスンも行っている。