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娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 『伊藤家の晩酌』~第二十一夜2本目/気さくに味わえるデイリー酒「きりんざん グリーンボトル 純米」~
弱冠23歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第二十一夜の2本目は、旨みたっぷりの純米酒。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
第二十一夜2本目は、毎日飲みたい、お手軽デイリー酒「きりんざん グリーンボトル 純米」。
父・徹也(以下、テツヤ)「『きりんざん』って名前、渋いねぇ。もしかして新潟?」
娘・ひいな(以下、ひいな)「そう」
テツヤ「なぜわかったかというと『麒麟山特別』っていうレースがあってね……」
ひいな「また競馬ね(笑)。今回は『きりんざん』のグリーンラベル、純米です!」
テツヤ「ってことは、他の色もあるの?」
ひいな「そう。ブルー、ブラウン、ブラック、ピンク、ホワイトってあって、ブルーは純米大吟醸、ブラウンは純米吟醸、ブラックは吟醸、ピンクは吟醸華やかめ、ホワイトが吟醸生なんだって」
テツヤ「グリーンは純米なんだね」
ひいな「そう。さっそく、まずは飲んでみてもらおうかな」
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テツヤ&ひいな「いただきます!」
テツヤ「これは、ザ・酒だね」
ひいな「そりゃそうだ(笑)。うん、酒だよね」
テツヤ「俺がイメージするカップ酒ってこんな感じがする。昔のカップ酒の感じがよみがえってくるというか。お祭り感もあるね」
ひいな「(笑)」
ひいな「ね。燗酒もぜひ合わせてみて。45度です」
テツヤ「っていうことは?」
ひいな「上燗かな」
テツヤ「おぅ、いいね。お? お酒が急に甘くなったし、なめらかになった」
ひいな「うん、確かに常温より燗酒がいいね」
テツヤ「人間だってさ、お風呂に入ったらやわらかくなるし、お酒だっておいしくもなるよね」
「きりんざん グリーンボトル 純米」に合わせるのは、新潟特産の「蕗味噌」。
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ひいな「さっそく、おつまみ登場させていいかな?」
テツヤ「いいよ。今回は何を合わせるんだろ?」
ひいな「新潟県産の蕗味噌です!」
テツヤ「間違いない! うん、うまい!」
ひいな「食べてないのに(笑)。食べる前からわかるでしょ? 新潟の物産館で買いました!」
テツヤ「新潟つながりだろう。合うに決まってるよ! 味噌を口に含んでから、日本酒を飲んだら、もう最高だね」
ひいな「そう。先に口に入れてから飲むのがいいって私もメモしてあった」
テツヤ「蕗味噌が、春を連れてきてくれるね」
ひいな「ポエム(笑)」
テツヤ「この組み合わせ、いいねぇ。最高に合うわ。なんならお酒に蕗味噌を溶かして飲みたいぐらい」
ひいな「(笑)」
テツヤ「蕗味噌ってさ、普通は何に合わせるの?」
ひいな「あったかいごはんに合わせたりするよね」
テツヤ「ごはんよりさ、日本酒のほうが合うよね。つまみかと思っちゃった」
ひいな「ここまで合うと、日本酒のお供だよね」
テツヤ「新潟の人はきっと合わせてんじゃない? 燗酒に蕗味噌って、もはやあったかいごはんに合わせるみたいなもんだよね」
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ひいな「確かに(笑)」
テツヤ「うん、こりゃ絶対、燗酒ののほうがいい。蕗味噌の苦味と合うねぇ」
ひいな「うん、この苦味がたまらなくおいしいねぇ」
日本酒は、甘口なのか、辛口なのか、旨口なのか。それが問題だ。
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ひいな「『きりんざん』って昔ながらのイメージがあって、実はとっつきにくいイメージがあったの」
テツヤ「昔から有名なお酒なんだね」
ひいな「そう。『いつもの』って言ったら真っ先に出されるお酒みたいな、メジャーどころって感じがあって」
テツヤ「なるほど、そうなんだ」
ひいな「でもね、去年の新酒で『ぽたりぽたりきりんざん』っていうお酒があってね」
テツヤ「何それ。かわいい名前」
ひいな「五百万石で造られてるんだけど、冬限定発売の新酒だったの。それを飲んだ時に、デイリー酒として『きりんざん』って安心して飲めるいいお酒だなって感じたの。それに、こんなにもいろいろな種類があることを知らなかったんだよね。漢字で『麒麟山』って書くのは知ってたんだけど、ひらがなの『きりんざん』シリーズがこんなに色がたくさんあることを知って、ぜひ紹介したいなと思ったんだよね」
テツヤ「なるほどねぇ」
ひいな「グリーンの『きりんざん』は、純粋な米のおいしさと、ふくらみのある味わい、キレのあるのどごしが特徴的で、辛口のしっかりとしたうまみを堪能できるお酒なんだって」
テツヤ「なるほど。これは辛口なのか。旨口かと思った」
ひいな「『きりんざん』の3つのこだわりっていうのがあって、人の輪と、奥阿賀の米、酒造内にアグリ事業部を設立したりして、米づくりにもこだわってるんだって。“辛口一途”で飲み飽きしないもの、酒とは辛いものの信念を持ってるんだって」
テツヤ「なるほど。ザ・新潟な淡麗辛口をいくわけだ」
ひいな「でも、私と相反するでしょ? 私は、お米なんだから日本酒は甘いっていう考え方なんだけど」
テツヤ「そうだね。どう? ひいなの感想は」
ひいな「甘いと思う」
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テツヤ「そうだよね。そんな辛口な感じはしないかな。キレが辛口ってことなのかな? 冷酒で飲んだ方がいいのかな」
ひいな「これは辛口って言っていいものなのか……」
テツヤ「たまにはそういう投げかけもいいんじゃないの? ひいなが思った感じがそうなんだったらさ」
ひいな「しかもさ、四合瓶で1050円ってすばらしくない? デイリー酒にぴったりだね。気さくに味わえる価格」
テツヤ「いいね。日常で飲むなら、おいしいお酒だよ。実家に帰ると飲むお酒っぽいというか」
ひいな「書いてあるよ! “新年会、忘年会など、寒い時期にいただくお酒です”って」
テツヤ「まさに(笑)。燗酒で飲むにもぴったりだ。新潟がご実家の方、ぜひ帰省の際はこちらを飲んでいただければ」
ひいな「新潟の方じゃなくても、ぜひ(笑)」
次回:2月21日(日)更新予定
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【ひいなのつぶやき】
みなさんの辛口の定義は何ですか? ぜひ、このお酒を飲んで考えてみてください!
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【告知】
2月5日発売の雑誌『dancyu』の「日本酒 2021」特集に、テイスターとして参加させていただきました!この雑誌の毎年恒例の日本酒特集に出られることは、とてもうれしいことです!ぜひお手に取ってご覧ください。