言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第33回~
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。今回は、すっかり定着した感のあるワークスタイルについて。
「テレワークスタイル」
いま、私は月に3本の連載をさせていただいている。このHanako.tokyoに月2本、あと雑誌『ダ・ヴィンチ』に月1本。あまりそう思われないが、心配性というかビビりなところがあって、大体締め切りの1週間前には、担当の方に原稿を送るようにしている。早めに準備するようにしているのでたいてい遅れないのだが、本業の収録やら、色んな仕事が立て込んだりすると、休日返上で一日中パソコンに向かってひたすら原稿を書いているなんて日もある。
昔は、仕事終わりなどの空いた時間に、会社のデスクで適当な音楽(クラシックのことが多い)をヘッドフォンで流して、周りの音をシャットアウトしながら書くことが多かった。テレ朝のアナウンス部はフリーアドレスで、自分のデスクがあるわけではなく、空いている席にどこでも座っていいことになっている。けれども、それぞれ自分の番組のスタッフルームで作業をしていたり、収録や取材に出ている人が多いので、そんなに混むことはない。いつも4、5人いるかいないかだ。静かで安全で快適。ときどき電話がかかってくるが、年次の低い=若い子が取次ぎをすることになっているので、もう8年目の私は電話をとる必要もなく、集中するには何の問題もない環境だった。
しかし昨今のご時世で、私たちにも「時短」の風潮が訪れている。仕事が終わったらすぐに帰る、部に用がないときはスタジオ直行直帰、ノートパソコンを渡すので家で出来ることは家でやってください、という方針が言い渡された。密を避けるための策、だそうだ。必要かつ、効果的な対策だとは思うのだが、原稿を書かなければいけない私にとっては、「どこで作業を進めるか」という問題が出てくる。昔からそうだったのだけれど、私は外で集中することが出来ない。学生時代は、スターバックスやファミレスでテスト勉強をする友人たちが信じられなかった。BGMが大きかったり、周りの人の会話が聞こえたりする場所だと、どうしても気が散ってしまって勉強することが出来ない。だから、いつも家の自室もしくは図書館で勉強していた。これに関してはいまも変わらず、お洒落なカフェでカタカタとキーボードを叩いてデキる人を演出したい気持ちはあるものの、力及ばず叶わない。
というわけで、原稿を書けるのは自宅しかない。といっても、都内独り暮らし会社員の部屋に書斎なんてものがあるはずもなく、かといってパソコン用のデスクを置いているわけでもない。机といえば、リビングにあるダイニングテーブルとも呼べないくらいの小さなテーブルだけだ。しかも、可動式で高さが変えられるというのが気に入って借りたのに(家具はシェアサービスを利用中)、組み立てが悪かったのか、低めの位置で固定されてしまっている。でも、この机でやるしかない。
と、ここでとっても重宝しているのが、友達にもらったヨギボーの「トレイボー」というもの。木のトレイの下に、ヨギボーのクッションがついている。本来は膝の上にこれを置いて、パソコン台にしたりテーブルにしたりするのだ。私はそれをダイニングの上に置いて、その上にパソコンを置く。するとちょうどいい高さになって、ずいぶんとやりやすくなる。2月の誕生日にもらったときは、正直どこで使おうかな~と思っていたのだけれど、ここに来て大活躍している(本来の使い方じゃなくてごめんね、トレイボー)。
ただ、自宅での作業はオンとオフの切り替えが難しい。ついさっきも、ちょっと一本書き終わったから、と思って録画した番組を見たら、あっという間に日が暮れてしまった。1時間前はソファの配置が気になって、模様替えをしてしまった。作業の進みは会社でやるよりも遅い。
テレワークで慣れない環境に戸惑っている皆さま、ここにも同志がいますよ。
次回:9月11日更新予定