言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第30回~
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。2月に訪れたインド旅の記録もいよいよラスト。インドから帰ってきた感想とは?
「インドに行ってきた」(その9)
こんな風にインドに行ってきたことを方々で言っていると、「ふ~ん、で、人生変わった?」なんて聞いてくる人がいる。多くの人がイメージするように、ガンジス河に行って、色々なモノが流れている(らしい)カオスな環境の中、決死の覚悟で沐浴して死生観が変わりました、とか、自分探しができた、とか、そんな答えを期待しているのかもしれない。まあ、普通そう思う。私も行く前は、というか今回の旅行が決まってインドについて詳しく調べるまでは、大半の人が人生を変えるために行くボーナスステージだと思っていた。
ところが、帰国してふと私の中の何かが変わったか、と考えてみても、さっぱり思いつかない。本人でさえも、いささか肩透かし感がある。いや、もちろん見たもの触れたものすべてが新鮮で、私の何らかに刺激を与えていることは間違いない。初めて足を踏み入れたことで、インドに対して持つ印象は大きく変わったし、抱いていたイメージとの違いに驚くことも多かった。今はまだ何も変わっていないように見えるけれど、それが私の中でいつか芽を出すだろう。これからどんな風に私の生き方に作用するのかは、お楽しみ、という感じだ。
ということで、人生観や性格は全然変わらなかったのだけれど、勇気を出して行って良かった!と声を大にして言える。まあ、正確には、勇気を出してというか、流れに身を任せてホイホイと付いて行って良かった。快くいいよ!と迎えてくれたインドマスターの皆さんがいなかったら、一生行かなかったと思うし、こんなに良い思い出ばかりの旅行にはならなかったと思う。見知らぬ小娘を受け入れてくれたことに、本当に感謝!いつも同じメンバーでつるみがち、いつも同じ場所に行きがち、変化を好まない私にとって、素敵なスパイスになりました。
この時代に生きる私たちは、どんな知らないところでも、遠くでも、数えきれないほどの写真でその場所を見ることができる。ネットで検索するだけでおびただしい情報に触れることができる。まるでそこに行ったみたいな動画だってすぐに見ることができる。色んな情報を、端的に、時間をかけずに、スムーズに吸収することに慣れてきた。だから、度々それだけですべてを知ってしまった気になってしまう。
けれどもやっぱり、どんなに時間がかかろうと、その場所に赴いて、自分の体、感覚でその場所を感じ取ることは格別。移動することができない今の状況だからこそ、その価値が骨身に沁みるようだ。
これをもって、図らずも長編になってしまったインド旅シリーズはひとまず終わり。次はいつどこのシリーズをやろうかな。
次回:7月24日更新予定