モデル・小谷実由さんが体験! 夢中になれる趣味を見つけよう!チャレンジしたい習い事をモデル・小谷実由さんが体験。
ファッションモデルから執筆活動まで、分野を超えて軽やかに行き来する小谷実由さん。意外にも、趣味らしい趣味がないのだとか。夢中になれる、一生モノの趣味と出会うべくしてはじまった連載「小谷実由の『趣味がなかなか見つからなくて。』」より、夢中になれるようなおすすめの趣味・習い事をご紹介します。
【華道】華道をたしなんで、花のようにたおやかな人になりたい。
今回は、いけばなに挑戦すべく〈池坊東京会館〉を訪ねました。まずは座学から学びました。
深山「準備が整ったら、まずは葉物からいけてみましょうか。それぞれの特徴を生かしたいですよね。このまま真っ直ぐいけてもいいですが、少し高さを変えたり、前後に広げて立体感をつけたりしてあげることがポイントです」
おみゆ「ガーベラはどんなふうにいけるのがいいですか?」
深山「お花は必ずお日様の方に向かって育ちますよね、なので、おみゆさんがお日様になったつもりでお花をいけてみてください」
深山「スターチスは、一番最後にバランスを見ながら水際に入れていくと全体が引き締まってきますよ」
おみゆ「それぞれの姿を見極めつつ、全体の形も考えなきゃいけないから、ただ花瓶にいけるのとは全然違う。難しい…」
深山「こうやって集中する時間がリフレッシュになるという方も多いんですよ。私自身もそうですね。余計なことは何もかも忘れてお花のことだけを考える、そこがいけばなの楽しさだと思うんですね。お疲れさまでした。とても伸びやかな印象ですね。おみゆさんのお仕事への情熱や向上心が現れているような気がします」
おみゆ「なんだか占いみたい!(笑)」
最後に、作品をより美しく完成させるため、先生に手直ししてもらいます。
深山「少し距離を離して、それぞれのお花がしっかり見えるようにしてあげましょうか。そうして空いた空間にスターチスを持ってきてあげる。そして茎や葉の動きを生かして空間に丸みを出してあげるといいですね」
おみゆ「お花を飾るということから、空間に風景や物語を作り出すことができると知って、ますますいけばなに興味が湧きました。お家では、大好きなチューリップをいけてみたいと思います!どんな物語が生まれるかなぁ」
(photo : Natsumi Kakuto, text : Renna Hata)
【包丁研ぎ】砥石を使って包丁を研ごう。
ひとくちに包丁と言っても、和包丁と洋包丁、鋼製とステンレス製など種類はさまざま。総合刃物メーカー〈貝印〉で「包丁研ぎ講習会」の講師を務める林泰彦さんを先生に、まずは包丁の基礎知識を教わりました。
林「包丁の種類は大きく分けて「洋包丁」と「和包丁」の2種類に分けられます。両刃の洋包丁は比較的多用途に使えるのが特徴で、片刃の和包丁はそれぞれに目的がはっきりしているのが特徴です。ご自宅用でしたら、マルチに使える洋包丁がいいでしょう。中でもこの「三徳包丁」は使いやすいですよ」
林「次は素材についてですが、包丁の刃はほとんどは「ステンレス」でその他に「鋼(はがね)」が一般的です。今日、小谷さんがご自宅からお持ちいただいた包丁は、ステンレス製のものでしたね」
小谷「はい。ちなみに鋼とステンレスで素材の優越はあるのでしょうか?」
林「よく「鋼はいいけど、ステンレスはだめだ」と言う方がおられるのですが、そんな事はありません。鋼よりも性能の高いステンレスはたくさんあります」
いよいよ本題の「研ぎ」体験へ。カンナで木材を削るようにガシガシとした力が必要なイメージの包丁砥ぎですが、実際は果たして?
林「包丁全体を包み込むように持ち、軸から遠いところを指2本で抑えるのが、ブレにくい持ち方です。包丁を握っている手の人差し指を「峰」と呼ばれる包丁の背の部分に、親指を「アゴ」と呼ばれる柄側の刃先の近いところに置いてください。反対側の手は指二本ぐらいを刃先近くに軽く添えてください。男性に多いのが、がっちりと押さえて、力任せに研ごうとされるパターンなのですが、これだと包丁がブレてしまって、刃先が鋭くなりません」
小谷「私もてっきり、包丁は力を込めて砥ぐものだと思っていました」
林「硬い包丁を削る訳ですから、ガシガシといきたい気持ちは分かるのですが。砥ぎにおいては力を入れるより、正確に動かすことの方が重要です。砥石に対する刃の角度をブレさせない。これは包丁を砥ぐ上で最も重要なポイントとなりますね」
小谷「いま砥いでいる部分がちゃんと砥げているかは、どのように見極めるのでしょうか?」
林「刃の先端までを削りきると、そこにあった金属が刃の反対側にまくれ上がる現象が起こるのですね。この"まくれ"をチェックします。背中から刃先に向けて指で触って、髪の毛1本分程度の引っかかりを感じる"まくれ"を確認できたら、刃がついた目印となります」
林「また、刃先の"まくれ"は、新聞紙を使って取っていきます。砥石にあてた角度と同じくらいの傾斜でこすって、出過ぎたまくれを反対側に折り返していくイメージですね。それを両面行い、数回ずつやったら刃先を確認し、"まくれ"が取れているかを確かめます。"まくれ"が取り切れていないと切れあじは上がりませんし、このままの状態で食材を切ってしまうと、食材に金属が紛れ込んでしまうこともありますから」
小谷「"まくれ"って、そんな繊細なものなのですね」
林「そうなのです。あとは、一気に取ろうと強くこすってしまうと、せっかく砥いだ刃先が潰れてしまうこともあるので、少しずつ丁寧に進めていくのがポイントです」
さて、彼女は今回の砥ぎ体験から何を感じたのでしょうか。
小谷「最後に自分で研いだ包丁でトマトを切らせていただいたのですが、切れ味が今まで体験したことがないくらいスムーズでした!力を入れずにすっと滑らせるだけで、透けて先が見えるくらい薄いスライスができたのです。切れ味が良い包丁でする料理って、きっと気持ちいいものなんだろうなぁって思いました。包丁は道具だから、使いたい用途に合ったものを選ぶことや、カスタマイズをしていったほうがいい。あとはちゃんとメンテナンスをすることで発揮される性能もある。道具を育てることでさらに広がる世界があるんだなぁと感じました」
(photo : Natsumi Kakuto , listener : Yuya Uemura)
【陶芸】電動ろくろで味のある器をつくりたい。
今日は土のあたたかみを感じる多彩な器が並ぶお店〈at Kiln AOYAMA〉が開催する陶芸教室を訪ねました。
土橋美緒さん(以下、土橋)「陶芸にはいろんな技法がありまして、球状の粘土から器の形を作る玉作りや、ひも状の粘土から形を作るひも作り、板状にした粘土と石膏型を使うタタラ作りなどががあります。そして今日おみゆさんに体験していただくのは、電動ろくろを使った作り方です」
今回、おみゆさんが作る器は注ぎ口のついた“片口”。食器として使うなら、ドレッシングやソース入れにするのがおすすめだとか。仕上げの釉薬の色は、深みのあるブルーが美しい“なまこ釉”を選びました。
土橋「まずはろくろを使って成形し、乾燥させた後は、750度で素焼きします。それから釉薬につけて、今度は1,230度で本焼きしたら完成です」
おみゆ「はい!姿勢はどうしたらいいですか?」
土橋「中央にろくろがくるように足を広げて座ったら、かなり前傾姿勢になります。目線は回転の中心の上です。まず、粘土が乾くと歪みやひび割れの原因になるので、手を水でしっかりと濡らすことがポイントです。両手を伸ばしたら、粘土を包みこんでみてください。まず左手の親指で真ん中に穴をあけます。」
土橋「今度は今真ん中が凹んでいるのを平らにしましょう。右手の中指と薬指を中心に当てて、自分の方に向かって左に沿わせます。ここが一番亀裂が入りやすいので水で十分湿らせてくださいね」
おみゆ「いつの間にかだんだん大きくなってきました!」
土橋「うん、いいろくろ目がつきましたね。厚みもいいです」
おみゆ「よかった!格闘した跡ですね!」
“ろくろ目”とは、粘土を引き上げ形を作っていく際に、ろくろの回転につれて付く指の跡のこと。このでこぼこが表情豊かな味わいになります。
土橋「最後に注ぎ口を作りましょう。お好きな場所をつまむようにして口を作ります」
おみゆ「うーん、ここかな…!」
土橋「あ、最後はけっこう大胆ですね…(笑)」
土橋「それでは、仕上がった器をろくろの台から切り離します。シッピキという糸を底の部分に一周回したら、素早く右に引き抜いてください」
おみゆ「…着地!できました!わーい、ちょっと肉厚だけど大満足!」
土橋「ろくろ目もきれいだし、すばらしい仕上がりです。焼き上がりが楽しみですね!」
おみゆ「なんだか、今日は声を出したなぁ……(笑)。初めての電動ろくろ、緊張しました。もっと粘土がぐにゃぐにゃに柔らかいと思っていたんですけど、しっかりどっしりとしていてびっくり。気をぬくと回転の流れにのまれてしまうから、踏ん張りつつ、でも力を抜いて……というバランスが難しかったですね。憧れの花瓶が作れるようになるまで修行しないと!」
土橋「花瓶のような背の高い器は、腕まで使って粘土を引き上げるので、やっぱり難易度が高いですね。でも、自分で作った器や花器のある生活は素敵だと思いますよ」
おみゆ「そんな生活できたらいいな…。今日自分で作った器も大切に使います!」
(photo : Natsumi Kakuto, text : Renna Hata)