言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第20回~

LEARN 2020.02.14

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。今回は世間的に2月の一大イベントといえばこれ!について。

「好きな人に好きって伝える素敵な日」

 バレンタインデーなんて大っ嫌い。なくなればいい日ランキングがあったら、堂々の第1位だ。むしろ殿堂入り。

 学生の頃はまだ良かった。友達同士で手作りのお菓子を交換しあったりして、誰々ちゃんのがおいしいとか、凝ってるとか、みんなで話をしながら食べて楽しむイベントという意味合いが強かった。けれども会社に入ってからはガラリと変わった。全然違う。何が楽しくて、職場にチョコを配らなきゃいけないのだ。ありがとう(ハート)も、可愛い(ハート)も言われないし、「あ、ありがと」くらいの薄いリアクションが返ってくるだけ。あの一方通行な感じ。
 これを読んでいる紳士の皆さん。ホワイトデーにはちゃんとお返しを!ということももちろん伝えたいのだが、チョコをもらった時のリアクションをもうちょっとオーバーにしてみたらいかがだろうか。それだけでこっちは報われるのに。チョコもらったからって浮かれてないよ、みたいなポーズ取ってるほうがダサいよって言いたい。
とにかく、会社でのバレンタインは女子が大変な目に遭うだけの一日だ。日頃のお礼を込めて男性にチョコレートをあげましょう、という暗黙のルール。いや、皆さん、待ってくださいよ。私たち、平等に働いていますよ?なんで、女子が男子に配るだけなんですか。疑問だ。むしろ、欲しい。
 と思っていたって、あげないわけにはいかない。周りはあげているわけだし。私だって、それくらいの協調性と空気を読む力は持ち合わせている。現に皆さんにお世話になっているわけだし。それは否めないし。だから結局のところ、こんな風にぶうぶう内心思いながら、ちゃんと渡しているんです。こういうところは足並みそろえるタイプ。

 まず、レギュラーで担当させてもらっている番組それぞれに、みんなで分けられるような小分け包装のチョコがたくさん入っている詰め合わせをどーんと。そしてアナウンス部の皆さんに対しても、他の人とかぶらないようなちょっとしたものを。最近はあえてしょっぱいものにしたりしている(バレンタイン間近のうちの部のデスクは甘いものだらけですごいことになっている!)。加えて、個人的に一緒に飲みに行かせてもらったり、相談に乗ってもらったりとお世話になっている先輩には個々にお渡ししている。
 『ミュージックステーション』を担当していた時は、特に大変だった。なんてったって、番組に関わっているスタッフの人数が他の番組の比じゃない。美術さん、技術さん、制作スタッフ、合わせたらゆうに100人は超える。だから、100個入りの大きな箱を2つ、前々から予約して、前日にお店に取りに行って、差し入れしていた。とにかく重かったなあ。このMステ用とは別に他の番組用で50個入り×3箱を買った時は、もう手が痛くて泣きそうだった。包装紙に「これは義理チョコです。しかも大人数用です」とでかでかと書いてあるような簡単なものだったけれども、あれは果たしてみんな喜んでくれていたのか、今ではよくわからない。一度始めたらやめられないのが、バレンタインだ。

 よって、2月になってどこもかしこもバレンタインと浮かれ出すと、ため息をつかずにはいられない。ああ、今年もこの季節か。まず、どこと誰にどれくらいの値段のものをあげるかリストアップして、値段のわりに見栄えがするものを必死に探して、何個も買う。売り場を出る頃には、熱気と頭を使ったことでぐったりしている。なんだこれ。全く楽しくない。出費もバカにならないし。あらがえないバレンタインハラスメント。個人的な話だけれども、私の誕生日にものすごく近いのもムカつく。心健やかに迎えさせてほしいのに。
 本当は好きな人に好きって伝える素敵なチャンスなのだから、こんな風に思うのも嫌だなぁ。いっそきっぱりやめたいけれど、今年も勇気が出ずに何個も買いました。ちゃんちゃん。

(次回:2月28日更新予定) 

photo:moron_non
photo:moron_non

【弘中のひとりごと】
あの歌い出しが聞きたくて何度も再生しました。お疲れ様でした!

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