発酵バターのさくさくクロワッサンも。 【八丁堀】“かわいい”が詰まったベーカリー・コーヒースタンド〈Cawaii bread & coffee〉へ。
多様性が広がり、様々な層が混ざり合っているのがEATSの魅力。Hanako特別編集『East Area of Tokyo Station Magazine』「これからのEATSを彩るキーパーソンたち。」より、八丁堀のベーカリー・コーヒースタンド〈Cawaii bread & coffee〉を手掛けるお二人に、このエリアを語ってもらいました。
“カワイイ”がなかった街に、新たななごみスポットを。
「この街にあったらいいのに、と自分たちが思う場所をつくったんです」とエディターであり〈Cawaii bread & coffee〉主宰の原田環さん。阿佐ヶ谷の一軒家をオフィスとして活動していたが、打ち合わせのたびに都心に出向くのが苦痛で、2008年に八丁堀エリアに拠点を移した。
「そのころは港区っぽいキラキラした場所は皆無で、クロワッサンを買うにも日本橋や銀座まで行かなくてはならなかったんです」と中山真理さんも当時を振り返る。ちょうどそのとき編集したのが岡山県の吉田牧場のチーズに関する書籍。「うちのチーズを挟んだら売れるよ!」と牧場長の吉田全作さんも後押ししてくれた。
都内の人気ベーカリーとのネットワークも築き、これならいけると具体化。「お店の企画や運営は本づくりに似ているところがありますね」と原田さん。46 m2 の印刷工場跡を西沢立衛建築事務所がリノベーションし、ロゴマークはワビサビが手掛けるなど空間としても「編集」し、国産小麦100%自家培養発酵種のベーカリーを2014年に開業。八丁堀の空気を一新した。
街をカラフルにしたベーカリーは、地域も育てる。
街も様変わりし、清澄白河からアートエリアも広がり、人口も増えはじめたころだった。
「不動産会社に声をかけられ、パンフレットに近隣のいい店として掲載されたのでマンション購買者も増え、地域の活性化に貢献できたかも」と原田さんは笑う。
スター職人に頼った時期もあったが、職人の独立を機にパンづくりの素人だった原田さんが猛烈な特訓を受け、8週間ですべてのレシピを受け継いだ。取材を通じて多くのパンの味を覚え、とことんこだわる質の原田さんは、試行錯誤を重ね、ノウハウを習得。ワンオペではなくチーム一丸で成形も焼き場も回す態勢を整えた。今も編集業と二足のわらじで毎日、パンづくりに励む。
川床をつくる構想を行政と交渉するなど、新たなこの地の可能性を求め、地元との連携にも積極的。「オープン時、マンションを見学に来ていたご夫婦も常連に。赤ちゃんだった子がおつかいでバゲットを買いに来られるまで成長するのを見守るのが理想ですね」と原田さん。
いいパン屋さんはいい街を育てるのだ。
〈Cawaii bread & coffee〉
焼きたてのパンは川沿いの席でも食べられる。
■東京都中央区八丁堀2-30-16 T&Yビル1F
■03-3523-5040
■7:00~18:00(日~16:00) 月休
■12席/禁煙
Hanako特別編集『East Area of Tokyo Station Magazine』では、東京駅イーストエリアの楽しみ方を多数ご紹介しています!
(Hanako特別編集『East Area of Tokyo Station Magazine』掲載/photo : Satoshi Nagare text : Noriko Maniwa)
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