野菜の王様・ケールより栄養が摂れる!? 日本のスーパーフード“緑茶”の力、知ってた?
日本茶ブームも去ることながら、普段から何気なく飲んでいる「緑茶」は“嗜好”と“健康”が両立したスーパーフード。野菜と同等以上の栄養価に加え、シングルオリジン(単一農園・単一品種)の緑茶は、コーヒーやワインのように産地の特徴に根付いた個性的な味わいを楽しめるとあり注目されています。今回は、自身も日本茶の奥深さに魅了され、シングル・オリジンの粉末緑茶ブランド〈ALL GREEN〉代表・吉原慶太さんに、緑茶の効果や味わい方について教えてもらいました。
サラダの代わりに緑茶!? 知られざる粉末緑茶の栄養価。
海外を中心に、今改めて注目が集まっている緑茶の魅力。そこで、今回は、日本茶インストラクターの吉原慶太さんを講師に招き、ハナコラボパートナーと一緒にその効果効能や、楽しみ方を教えてもらうことに。
かくいう吉原さんも、アドバンスドコーヒーマイスターの資格を持つほど以前は“コーヒー派”だったそう。しかし、緑茶飲料の技術開発をきっかけに日本茶コンテンツの奥深さと可能性に魅了されたといいます。
「1つは、スペシャルティーコーヒーのように各地の嗜好文化に根付いたフレーバーの多様性があること。そして、産地に足を運ぶのが難しいコーヒーやワインと違って、静岡や鹿児島など産地に行くことができるという体験価値が付随することです」
「その中でも今回紹介する緑茶は、ツバキ科の『チャノキ』という葉を乾燥させたもの。日本には様々なお茶の種類がありますが、基本はこのお茶(チャノキ)の葉が原料となっています。生のお茶の葉には酵素が入っていて、そこから少し発酵させたものがウーロン茶、完全に発酵させたものが紅茶、そして発酵させずに用いたのが緑茶と分類されているんですよ」
さらにおいしさだけでなく、栄養価の部分でも健康習慣として飲み続けたいスーパーフードと吉原さん語ります。
「緑茶には、高い栄養価が摂れる野菜・ケールを超える体にいい効果が含まれています。野菜にはないカテキン、テアニンなどの健康成分も入っているので、美容や生活習慣病の予防にもなりそうです」
緑茶に含まれる主な栄養素と効果
①野菜と同等以上の、高い栄養価
→栄養価の高いケールと比較すると、ビタミンE・鉄は約7倍。亜鉛、葉酸、食物繊維も約2倍
②カテキン
→抗酸化作用による日焼け回復効果や、内臓脂肪を減らす効果
③テアニン
→リラックス効果、睡眠改善効果なども
これほど栄養価が高いのに、その効果が一般的に知られていない理由。それは、吉原さんが開発に従事する〈ALL GREEN〉開発のヒントにもなっていました。
「急須を使ってお湯で入れる抽出方法では、カテキンやビタミンなどの大部分が茶殻に残ったまま捨てられてしまうんです。さらにリーフのお茶もペットボトルのお茶もほとんどがブレンドで、個性を楽しむお茶というのは、まだ日本にそれほど浸透していないのが現状。
そこで、緑茶の栄養素を丸ごと摂取できるよう世界初の粉末化技術、ソリュブル・リーフ製法で粉末状にして、シングルオリジン・ティー(単一品種で、一つの農家が作ったもの)にフォーカスしています。これから行う利き茶体験では、シングルオリジンならではの香りや味わいの違いを楽しめるはずです」
シングルオリジンの緑茶を楽しむ3つの要素
①製法
→「蒸し製」と「釜炒り製茶」の2種類。「蒸し製」はさらに細分化され、一般的な製法で作られる煎茶や、萎凋茶(煎茶となる前に少し発酵させて花の香りをつける)、かぶせ茶(お茶の葉を育てているときに日光を遮り旨みを増やす)、玉露、抹茶など。
②品種
→日本には100種以上あるが、約70%は煎茶としての品質にも優れ、栽培がしやすい「やぶきた」が主流。
③産地
→山間部で育ったお茶は、寒暖差があるため香りが高く甘みが強い。平地で育ったお茶は日照量が多いことから、苦みが強めで栄養が多い。
※個性ある香りや味わいは、製法>品種>産地の順で影響する。
同じ緑茶でもこんなに違う! 利き茶体験で知る、緑茶の奥深さ。
利き茶の文化は、元々は鎌倉時代に中国から日本に伝わり、主に武士や貴族の間では闘茶(とうちゃ)と呼ばれ流行していたそう。吉原さんはこれをヒントに、シングルオリジンのおいしさを知ってもらえるよう5種のお茶を飲み比べて銘柄を当てるという、五感をフルに使ったお茶遊び文化の体験を提案しています。
まず1ターン目は、5種の銘柄の名前と味を覚えるための試飲タイム。今回利き茶を予想する5つの種類はこちら。
利き茶体験の銘柄
①煎茶「やぶきた」(静岡・小瀬戸)
→さわやかな香り適度な苦み、バランスの取れた味わい
②煎茶「静7132」(静岡・静岡市)
→桜餅の葉っぱを連想させる香り
③萎凋茶「さやまかおり」(静岡)
→クチナシを思わせる花の香り
④抹茶「おくみどり」(福岡・八女)
→濃い緑色が特徴。旨味、控えめな苦み
⑤釜炒り茶「あさつゆ」(鹿児島・日置)
→きな粉のような香ばしさ、大豆のような香り
そして2ターン目は、いよいよ利き茶予想をスタート。銘柄を隠して、順番をシャッフルしたお茶をもう一度試飲してみます。吉原さんから教わった味わいや香り、色の特徴を頼りに全問正解を目指すメンバーたちからは「思ったより難しい!」「一番飲み慣れているはずのやぶきたが分からない!どれだろう…」と悩む声も。
そして、5分間真剣に考えて出した答えを合わせてみると…11人中3人が全問正解という結果に。「初めての利き茶体験で、この正答率は素晴らしい! 実は、先日同じ規模で開催したときは全問正解者がいなかったんです。みなさんもお茶マイスターへ一歩前進ですね(笑)」と吉原さん。ハナコラボのメンバーからも、利き茶体験を通してシングルオリジン・ティーへの興味と理解がより深まったようでした。