晩酌をもっとおいしく!娘と父で学ぶ『お酒の学校』 ワイナリーだからこそ楽しめるテイスティングで、長野ワインを飲み比べ!〜『お酒の学校』ワイン編その2〜
唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”シリーズが、さらに拡大!いつもと違ったお酒の楽しみ方やいままで知らなかったお酒の知識などを、お酒のエキスパートの方々に教えていただきます。今回は進化し続ける日本ワイン編。広大なブドウ畑に佇む、長野県上田市にある〈シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリー〉を訪問しました。後編では椀子産のワインを中心に長野ワイン6本をテイスティング!
出汁のような赤ワイン!?特徴的な、椀子の赤ワインをいただきます!
では、赤ワインを2本連続でいただきましょう!
5本目は、赤ワイン⑤「長野メルロー 2018」(ワイナリー販売価格4,700円)。長野県産の棚式メルロー主体。6本目は、赤ワイン⑥「椀子メルロー 2018」(ワイナリー販売価格6,000円)。椀子産の垣根式栽培のメルローを使用。産地、栽培方法によって同じ品種のメルローでも味わいが大きく異なります。
田村ワイナリー長「赤ワインは2種類ありまして。どちらもメルローです。産地はここ椀子と、もうひとつは長野県全域になります。あとは、ブドウの栽培方法である、棚式と垣根式でも大きく違うので、その味わいの違い感じながら飲んでいただくとおもしろいですね」
テツヤ「品種は同じでも、栽培方法によっても違いが出るんですね」
田村ワイナリー長「⑤『長野メルロー』が棚式で、⑥『椀子メルロー』は垣根式になります」
テツヤ「違いはそこだけですか?」
田村ワイナリー長「そうですね。他の醸造的なテクニックや樽の違いはないですね」
テツヤ「それはおもしろいですね」
ひいな「長野全域と椀子、地域は違うけど、醸造年も一緒なんだ」
テツヤ「あぁ〜!ぜんぜん違うぞ!これは好みがわかれるかも?」
田村ワイナリー長「そうですね。かなり雰囲気が違うと思います」
テツヤ「好きなワイン、もう決まった!」
ひいな「せえので、教えて」
テツヤ「いいよ!」
ひいな&テツヤ「せえの!おぉ!!!!」
ひいな「分かれたねぇ」
テツヤ「俺は椀子派だなぁ。椀子産のほうは、なんか出汁っぽいというか…」
ひいな「うんうん、わかる気がする!」
テツヤ「⑤『長野メルロー』は、時間が経つと味がどんどん変化していく気がするな。俺は椀子産に一票!」
田村ワイナリー長「1本の木からたくさん採れる棚式が長野産のメリットなんです。同じ面積でも⑤『長野メルロー』が14トンなら、⑥『椀子メルロー』は8トンぐらいにしかなりません。なので、そのブドウの凝縮度の違いが味に出ているんじゃないのかなと。⑤『長野メルロー』はやわらかくて、タンニンがやさしいんです。一方、⑥『椀子メルロー』は酸もタンニンもしっかりしています」
テツヤ「やっぱり俺は酸味が好きなんだなぁ(笑)。今回はひいなと好みが分かれたね。白ワインなら③『北信シャルドネ アンウッデッド』だな」
ひいな「私は、②『椀子シャルドネ』が好きだったな。⑤『長野メルロー』はね、おつまみがいらない気がしたの。ワインの中に苦みも渋みもあってブドウの旨みが凝縮しているというか」
テツヤ「そういう考え方か。ワイン単体で完結してるってことだな」
ひいな「そう。ワインだけでいい気がした。でも出汁っぽい⑥『椀子メルロー』もよかったよ。赤ワインは2本とも2018年じゃないですか?5年寝かしたのは何か理由があるんですか?」
田村ワイナリー長「棚で作ったブドウは青臭い香りが残りやすいんです。2020年に瓶詰めしているので、3年経って多少収まってきています。造りたての頃はピーマンとかゴボウっぽい感じがあるというか」
ひいな「それは癖がありますね」
田村ワイナリー長「当時は、『筑前煮と合わせてください』って言ってましたね」
ひいな「ワインの味わいが変わったら、合わせるメニューも変わりますもんね」
田村ワイナリー長「⑥『椀子メルロー』は少しスパイシーさがあるんです。普通、メルローってスパイシーにはならないんですが、ここ椀子のメルローはスパイシーになるんです。風のせいなのかなと思っているんですが」
ひいな「飲み比べ、とってもおもしろかったです!」
テツヤ「シャルドネだけで3種類も飲めるなんて!」
ひいな「全然味が違いました!」
テツヤ「おいしかったですし、すごく勉強になりました。ここまでお話がたくさん聞けることってなかなかないので、時間が足りないです!」
ひいな&テツヤ「今日はどうもありがとうございました!」
田村ワイナリー長「次は、ブドウの収穫時期にぜひいらしてください!」
【ひいなのつぶやき】
ぶどうの品種や育て方、樽の使い方で味の幅がここまで変わるのかと驚きました!気になるワインを選び、少しの温度変化で感じ方も変わるワインの繊細な面を楽しめたら、日々の食事がもっと豊かになりそうです!
★ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中
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