晩酌をもっとおいしく!娘と父で学ぶ『お酒の学校』 いつもの一杯が最高の一杯になる、ビールの注ぎ方テクニックとは?~『お酒の学校』ビール編その1~ LEARN 2023.02.06

唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”シリーズが、さらに拡大!いつもと違ったお酒の楽しみ方やいままで知らなかったお酒の知識などを、お酒のエキスパートの方々に教えていただきます。今回は家飲みの代表格ビール編。前編は、いつものビールがグンとおいしくなる驚きのテクニックを伝授していただきます。

目からうろこの、注ぎ方の㊙︎テクニック!今日からできるコツを伝授!

ショーヘイ「では、グラスの下準備ができたら、次はいよいよ注ぎ方です!」
ひいな「楽しみ!」
ショーヘイ「注ぎ方は、基本的に瓶でも缶でも一緒です。まず、開ける時、一気に開けてしまわないようにしてください!一度、プシュッと開けて少しガスを逃がしてあげてから、全開にしてください」
テツヤ「わ、一気に開けるイメージだった!」
ショーヘイ「外との気圧差で、中の炭酸が外に出ようとするので、勢いよく開けちゃうと泡立ってしまうんです。瓶も同じでゆっくりと」
テツヤ「なるほど。じんわり開けてから、コポッと開けてあげると」
ショーヘイ「よくある一般的な注ぎ方って、グラスを傾けてどんどん立てていって、最後に泡をつけると思うんですが、実はこの注ぎ方だと、ビールをもみ込んじゃってるんですよ」
テツヤ「もみ込む?」
ショーヘイ「ビールに衝撃を与えていて、余計に炭酸を逃がしてしまっていたり、酸化の原因になる空気を巻き込んじゃってるんです。よく見ていただくとわかるんですが、ビールを注いだ時、上から下に流れて底に当たって上に上がる。つまり対流ができてるんです」
テツヤ「ほんとだ!」
ショーヘイ「これって、ビールにやさしくない注ぎ方なんです」
ひいな「ストレスがかかっちゃってる」
ショーヘイ「『三度注ぎ』って聞いたことありませんか?」
ひいな「あります!」
ショーヘイ「三度注ぎは、まず、ドボドボッと注ぐんです。泡だらけになるんですが、しばらく置くと泡と液体に分かれるのでまた注いで、それを三度くり返すと、クリーミーな口当たりの泡ができて、香りや味わいが楽しめます。それはつまり、炭酸をわざと飛ばしてるんです。炭酸ってつまりは「酸」ですよね。酸味が減って、さらにホップの苦み成分が泡の部分に集中するので、液体に麦のコクとか甘みが感じやすくなる注ぎ方なんですね。それはそれでいいんですが、ラガービールののどごしや炭酸感といった本来の味わいを楽しみたいなら、なるべく衝撃を与えずに、やさしく注いであげたほうがいいんですね。さらには、同時に泡も作れるとそれがふたの役割をしてくれて、香りが飛びにくく、炭酸も飛びにくくなる。つまり、何がベストかというと、泡をつけながら、やさしく一度で注ぎ切る」
ひいな「え!そんなことできるのかな?」
ショーヘイ「やさしく注ぐためには、グラスの側面に沿わせながら下にビールが落ちていけば、衝撃が少なくなりますよね?」
ひいな「なるほど。上から下へ…ソフトクリームみたいな?」
テツヤ「あぁ、らせん状ってこと?それはむずかしい!」
ショーヘイ「たしかにむずかしいですよね?でも、一点だけ注意すればそれができちゃうんです。普段の注ぎ方の角度はそのままに、グラスの口を外側に向けるだけ。これだけでいいです」

テツヤ「自分の方ではなく、外に向けるんですね?」
ショーヘイ「どちらでも大丈夫です。グラス側面をぐるぐる沿うように液体が回るように意識すればよいので、やりやすい方でやってみてください」

いつもの缶ビールが大変身!お家で飲める究極の一杯が完成。

美しい一杯が完成!
美しい一杯が完成!

ショーヘイ「では、缶からやってみます!」
ひいな「わ、回ってる!」
テツヤ「くるくる回ってる!」

テツヤ&ひいな「パチパチ!(拍手)」
ショーヘイ「こうやって注ぐと、さっきよりもクリーンな味わいとのどごしを感じられて、すーっと入ってくるビールに仕上がります」
ひいな「では、お先にいただきます!」

いつもの一杯が最高の一杯になる、ビールの注ぎ方テクニックとは?

ショーヘイ「どうぞ!」
ひいな「もうね、笑っちゃうくらいぜんぜん違う!ちゃんと炭酸が残っていて、のどごしがすごくいい。めちゃくちゃおいしいです!」
テツヤ「いただきます!わぁ、ぜんぜん違う!ビールの匂いがちゃんとする」
ショーヘイ「液体の中に香りがちゃんと残った状態なんですね。香りも苦みも、麦の味わいもすべて残っている状態なので、味わいのバランスよくおいしく飲めるんです」
テツヤ「たしかに、これだとずっと飲んでられるかも」
ひいな「缶ビールなのに、お店で飲んでるみたいなおいしさ!」
ショーヘイ「これらを守っていただけると、おうちでもおいしいビールを楽しめますよ。どれも簡単にできることなのでぜひお試しください」
テツヤ「ほんとにめちゃくちゃうまいです。実はビールってずっとは飲めないって思ってたんですけど、これなら飲めそう」
ひいな「最初にちゃんと炭酸を感じて、後味に風味もあるから、味に強弱がある感じがするというか」
テツヤ「そうそう、炭酸をちゃんと感じるよな。ビールって、こんなにも味にレイヤーがあるんですね」
ショーヘイ「静置させるとか、グラスを洗うとか、注ぎ方とか、ちょっとずつバランスが崩れていって、おいしくなくなってしまうんですね」
ひいな「こんなにも違うなんて思ってなかったです。びっくりしました」

いつもの一杯が最高の一杯になる、ビールの注ぎ方テクニックとは?

ショーヘイ「おうちで究極の一杯を入れるための、優先順位をおさらいします。①ビールを1日置く②グラスをていねいに洗う③やさしく注ぐ」
ひいな「瓶ビールだと、1杯飲んだ後、2杯目はどうしたらいいですか?」
ショーヘイ「そうですね。できればグラスの状態をリセットしてあげたほうが、よりおいしくいただけますね」
ひいな「はい!洗って冷やします!」
テツヤ「人に注いであげるときも、グラスの角度を変えてもらわないとね(笑)」
ひいな「そうだね。もうちょっと手前に傾けてもらって」
テツヤ「なんなら、おいしく飲むためには、手酌推奨だよな(笑)」
ひいな「たしかに(笑)」

ショーヘイ「では、三度注ぎもやってみますので、味比べしてみますか?」
ひいな「比べてみたいです!」
ショーヘイ「ゆっくり注ぐんじゃなくて、一気に上から注ぎます」
ひいな「わぁ!すごく雑に見えますね(笑)」
テツヤ「泡だらけ!」
ショーヘイ「しばらく置いて、泡がおさまってくるのを待ちます。泡と液が落ち着いたら2回目を注いで、落ち着いたらもう1回注いで、こんもりとした泡を立てたら完成です」
テツヤ「これはこれで、見た目はおいしそう」
ひいな「うん、お店とかでよく見るやつ」
ショーヘイ「さっき注いだ一度注ぎのものと比べてみていただけたら、味わいが違うと思います」

いつもの一杯が最高の一杯になる、ビールの注ぎ方テクニックとは?

ひいな「うわ、同じビールとは思えない!」
テツヤ「のどごしはさっきのほうが断然いいなぁ。泡はなかったけど、炭酸がしっかり感じられたな。これはずっとは飲み続けられないかも。見た目はこっちのほうがうまそうなんだけどな(笑)」
ひいな「絶対、一度度注ぎ派だな」
テツヤ「俺も」

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