高級ベーカリーが続々。二子玉川〈BLUE POPPY Bakery〉&〈Mallorca〉/池田浩明のまだ見ぬパン屋さんへ。
人気のパン屋が多い世田谷の二子玉川に高級ベーカリーが続々。インスタ映え必至のパンや世界を見たシェフのパン。とびっきりのパンを食べたいなら二子玉川を目指そう。パンラボ・池田浩明さんによる、Hanako本誌連載「まだ見ぬパン屋さんへ。」からお届け。
〈BLUE POPPY Bakery〉オープン直後から人気のNYスタイルベーカリー。
コロナ禍がなかったら、この人が日本でパン屋を開くことはなかったかも。「世界一(ミシュラン)星を持つ料理人」と呼ばれた、故ジョエル・ロブションの片腕として、NYで活躍していた山口哲也さん。コロナ禍で店は次々閉鎖となり、日本に帰国、独立の道を選んだ。
日本のバンシーンを長く牽引してきた恵比寿や渋谷ヒカリエの〈ロブション〉でキャリアを積んだ。当然、フランス一筋。バンも料理もフランスが最高だと信じてきた。ところが、NYでの暮らしが山口さんを変えた。「フランスが一番だと思ってたんですけど、もっとおいしいものも、もっとおもしろいやり方もいっぱいあるんだってわかりました」
自由で、多様で、エネルギーがあって。そんなNYの空気感にインスパイアされたコンセプトは「ブレッドバザール」。NYで食べられているパン、のみならずNYで出会ったいろんな国の人から教えられたパンこの店で再現する。もちろん、口プション仕込みの高い技術で。
「僕のベースはフランス。そこはぶれない」
たとえば、メロンパンのようなメキシコのバン「コンチャ」。豊潤なココアビスケットを、口溶けを極めブリオッシュ生地にのせる。菓子パンをここまでアップグレードさせるとは。
モーニングバンやポップオーバーのような、いかにもアメリカなパンの横に、弾けそうなぐらいぱんぱんにふくらんだパン・オ・ショコラ。こんなにソフィスティケイトされたバンのバザールは、世界のどこにもないだろう。
〈Mallorca〉スイーツ研究家が生んだ、見た目のかわいいパン。
スペインはマドリードからやってきた、パンとお菓子と食料品の店。名物の菓子パン「エンサイマーダ」はふわふわエアリーでじゅわじゅわジューシー。オープン直後はメディアで話題となり、一世を風靡した。安類直宏(あんるいなおひろ)シェフは、「スペインパンスイーツ研究家」として彼の地の伝統を深掘りしていたはずだった…が、数年後、「再創造」。大胆なアレンジを加えた新作を次々バズらせている。
最たるものは「バスクチーズケーキサンド」。まさか、バスクチーズケーキを食パンではさんでしまうなんて。口の中でとろとろが炸裂するチーズクリーム爆弾。とろけるやわらかさにこだわりがある。
「ミルキーでやわらかいスペイン産クリームチーズを使ってます。会社には企画を却下されたんですが、どうしてもやりたくて。最初売れなくて、もうやめようかと思っていたところ、インスタで火がつきました」
まるでドキュメンタリー番組のような開発秘話。ほかに、甘じょっぱい塩クロワッサンを使った「十勝産粒あんバター」や、はみだすほど大きなピスタチオクリームをはさんだ「ピスタチオバター」など続々誕生。いまも、次のバズりに向けネタを仕込み中だ。