「 だし納豆ごはん 」 児玉雨子のきょうも何かを刻みたくて|Menu #3
「生きること」とは「食べること」。うれしいときも、落ち込んだときも、いそがしい日も、なにもない日も、人間、お腹だけは空くのです。そしてあり合わせのものでちゃっちゃと作ったごはんのほうがなぜか心に染みわたる。作詞家であり作家の児玉雨子さんが書く日々のできごととズボラ飯のこと。
腸内環境模索録 その①ヤクルト1000と納豆菌。
近頃はヤクルト1000が話題だ。乳酸菌 シロタ株が一本あたり1000億個入っており、お通じはもちろん、睡眠の質の向上やストレス緩和作用が認められている。どうやらテレビでタレントさんが絶賛し、実際に飲んだ人たちが更にSNSでおすすめし……と、指数関数的に拡散したようだ。
食べ物の連載でなんだけど、私は少なくとも祖母の代より続く便秘体質だ。おまけに寝つきも悪く、つい朝方まで起きていてしまう。今回の評判には大喜びで飛びつき探してみたものの、家の近くのコンビニやスーパーは常に欠品状態。
そんなある日、実家に泊まる用事があり最寄り駅に降りると、改札を出てすぐの自販機にヤクルト1000が入っていた。試しに一本買って、その晩寝る前に飲んでみた。今夜もどうせなかなか寝つけないだろうと諦めかけていたが、いつの間にか溶けるように眠っていた。
すると悪夢を見た。私の場合、いじめっ子の同級生①が、別のいじめっ子同級生②の主導で周囲から無視をされていて、それに気づいているのは私だけ、さてどうする?と絶妙に生々しいものだった。いっそ地球滅亡くらいの過激なもののほうがよかった。夢の中、雑居ビルのトイレで頭を抱え「大人になってもまだこんなことやってんの……?」とひとりごちたのを覚えている。文字通りの悪夢だ。これも、前日に自分の学生時代を少しだけひとに話したからで、ヤクルト1000との因果関係はないかもしれないけれど……。
そんな悪夢の対価か、たくさん寝たわけではないのに、おそろしいほどすっきりした目覚めだった。不気味なくらい体調がよく、お通じもいい。あれからまた家の近くのスーパーやコンビニを探してみたが、やはりまだまだ欠品状態。売っていないのなら契約しちゃうかな?と考えてみたものの、しかしあの悪夢を連日見るのはちょっと……と思いとどまり、日々の食事から見直すことに。
やはり腸内環境には発酵食品と食物繊維でしょう!と思い、夏野菜も出回ってきたので山形のだしを自己流にアレンジし、納豆と一緒にいただく。野菜だけじゃなくタンパク質も摂れて、何より経済的だ。納豆菌はあくまで乳酸菌をはじめとした善玉菌のサポート役なので、ヨーグルトなども常食するともっといい……と、知識はあるのに体が追いつかない、この悲しさ。