スイーツ好きにオススメ! 古き良き喫茶文化が根付く【銀座・浅草】の愛され続けるレトロ喫茶2軒
古き良き喫茶文化が根付く銀座と浅草で、スイーツ好きが行きたいお店とは?文豪をはじめ、多くの人々から愛され続ける純喫茶2軒をご紹介します。
1.おいしいものを、いい環境で。ヘルシー系喫茶の先駆〈Flor de Café 銀座 樹の花〉/東銀座
内装は1970年代に流行した地中海風。
1970年代、日本はコーヒーブーム。店主の成沢弘子さんはそのまっただ中にコーヒー専門学校で学び、79年にお店をオープンした。開店4日後には元ビートルズのジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻が来店するという幸せなハプニングも。
「仲良く半分ずつ描いてくれた」お2人のサイン。ヨーコさんが運転手に渡したメモも宝物。今でも大切に飾ってある。
「夏休みでフロアを担当していた息子が、『僕、手が震えてコーヒー持っていけない』って。いい思い出です」
健康を考え、早くからメニューに反映。オープン数年後に始めたカレーはインド・マドラス出身の知人がレシピを考案。化学調味料不使用で、鶏もも肉の脂身を丁寧に取り除いているため、胃がもたれないと好評だ。15年前には思いきって禁煙化。オーガニックのコーヒー豆も時代に先駆けて取り扱い始めた。
ハンドドリップで1杯ずつ注文を受けてから。
「お客さんも私も、いい環境でいいものを食べて、が一番。それが店を長く続ける秘訣でもあるんです」
2.【閉店情報あり】昭和の“かわいい”を堪能できる名建築〈アンヂェラス〉/浅草
今や国際的な観光地になった浅草で、終戦の翌年、1946年から続く店。ドイツやオランダの木造建築を思わせる建物は当時のオリジナル。
2階は腰の高さの窓からやわらかい光が。
初代店主の奥様はクリスチャンで、教会の礼拝堂をイメージして吹き抜けに。
鐘のマークのステンドグラス。最近この席で婚姻届を書くカップルが増えてきているのだとか。
手すり部分にご注目。この細工は今や貴重。
壁の木製細工は「鳩とかチューリップとか。私は鳩と聞いた記憶があります」と孫にあたる3代目の関田仁子さん。名物のダッチ(水出し)コーヒーの進化版、梅酒割り〝梅ダッチ〞は、「祖父はお酒が好きだったから」。ハイカラだった祖父母の美意識は、そこかしこに。
椅子も昔のまま。
メニューはなるべく変えず〝シンプル・イズ・ベスト〞だが、ときにはアレンジも。春には定番バナナボートのイチゴ版「イチゴボート」も登場。でも佇まいは昔のまま。この唯一無二のかわいさが、昭和の乙女も、平成のインスタ女子も虜にしてきたのだ。
壁の絵画がヨーロッパのサロンのよう。かつての常連客には池波正太郎や手塚治虫なども。
(Hanako1150号掲載/photo : Kenya Abe text : Hiroko Yabuki)