『笑うマトリョーシカ』『新宿野戦病院』なども。オラリーの今期気になる地上波ドラマ~2024年7月期~
『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』(毎週金曜24:12/テレビ東京)
錦糸町を舞台に、ハウスクリーニング店「整理整頓」として働く大介·裕ちゃん·一平とルポライター·蒼を取り巻く、多様な人々の人生模様を描くストーリー。プロデュースは自身も裕ちゃん役で出演している柄本時生さんと、俳優としても活躍する今井隆文さん。
メインキャストは賀来賢人さん、柄本時生さん、落合トモキさん、岡田将生さんと何とも豪華…!4人はコロナ禍に結成された「劇団年一」のメンバーでもあり、10年来の友人という仲。2020年に限定公開されたオールリモート·一発撮りの作品『肌の記録』は話題になりましたね。
過去の「汚れ」を掃除する掃除屋と、過去の「過ち」を暴くルポライター。人々との出会いを通じて、それぞれが自らの過去と向き合っていきます。錦糸町は私が所属するバンド·片想いのメンバー、片岡シンさんが営む銭湯「御谷湯」があり、とても身近な場所です。馴染みのロケーションで、ますます楽しみです!
『笑うマトリョーシカ』(毎週金曜22:00/TBS系)
若き政治家と有能な秘書の奇妙な関係に気付いた新聞記者が、彼らを取り巻く闇に迫っていく政治サスペンス。43歳の若さで初入閣を果たした政治家·清家一郎を櫻井翔さんが演じます。メインヴィジュアルの櫻井さんの笑顔、「家族ゲーム」というドラマに出ていた時の不気味さを思い出します。それから清家のブレーンとして高校時代から彼を支え、今もなお有能な秘書として活躍している鈴木俊哉役に玉山鉄二さん。その2人に違和感を感じ、彼らの隠された過去を探る新聞記者·道上香苗役に水川あさみさん。メインキャスト3人の鉄壁感!
第1話では2人を調べていた香苗の父·兼髙の乗る車にトラックが突っ込む、という衝撃的なシーンから。これは清家の指示…?と思いきや、清家はブレーンである鈴木に操られていて、実は助けを求めている…?謎だらけのまま2話視聴、黒幕だと思っていた鈴木も交通事故に遭い負傷、エッ!?となっていると今度は清家の元恋人が不審な人物として浮上し…?伏線だらけで次回が待ち遠しい!考察も楽しみつつ完走します!
『新宿野戦病院』(毎週水曜22:00/フジテレビ系)
新宿·歌舞伎町にひっそりと佇む病院を舞台に、多種多様な人々が交錯する救急医療エンターテイメント。『季節のない街』につづき、宮藤官九郎さんのオリジナル脚本です。どんな人々にも平等に与えられた「命」というものについて、改めて考え直すドラマになりそうで楽しみです。
世の中的にタブー視されている設定が多く、放送前からたくさんの意見が飛び交っていました。ドキドキしながら視聴した第1話、最初こそ「これ笑って良いのかな…?」となってしまうところもありましたが、後半からはすっかりストーリーにのめり込み、あっという間に見終わってしまいました。あり得ないほどコメディな病院でのやりとりと、移民問題、トー横キッズ、ホームレスなど様々な社会問題が隣り合わせになっていて。これって現実そのものでは…と思いました。アメリカ国籍の元軍医役に小池栄子さん、美容皮膚科の医師役に仲野太賀さんと、深刻過ぎず、でも芯のある演技が見られそうで期待。最後まで見届けます!
『量産型リコ-最後のプラモ女子の人生組み立て記-』(毎週木曜24:30/テレビ東京)
シリーズ3作目、そして今回が最終章となる「量産型リコ」。前作もすごく好きだったので嬉しい!テーマは”ひと夏の家族”。祖父の死をきっかけに久しぶりに集まった家族が、それぞれの想いと向き合っていくストーリー。主人公の小向リコ演じる与田祐希さん始め、前回から引き継いだキャスト陣が全く異なる役を演じるという、なかなか攻めたドラマです。その設定に無理を感じさせないのは、リコ役·与田祐希さんのフラットな”量産型”演技のたまもの!”量産型”というフレーズのマイナスイメージを覆す、しみじみと元気になれるドラマです。
第1話は、リコが4年ぶりに実家へ戻ってくるシーンから。亡くなった祖父の遺品から、作りかけのプラモデルを見つけます。祖父の意外な一面を亡くなった後に知っていくリコ。第2話は、クールな甥っ子の思い出作りのために奔走します。プラモが出来上がっていくASMR的心地よさは癒しそのもの。オススメです!
『あの子の子ども』(毎週火曜23:00/関西テレビ放送)
”高校生の妊娠”を真正面から描き、予想外の現実と必死に向き合う2人の未来を追うストーリー。それぞれの立場によって見え方も変わってくるテーマですね。私の場合はかつて高校生だった自分として、それから子どもを持つ親として。2人がこれからどんな未来を選んでいくのか、様々な目線で見守っていこうと思います。
主演は細田佳央太さんと桜田ひよりさん。フレッシュだけどどこか陰りのあるキャスティング、とても良いです!すでに視聴していますが、2人の空気感と普遍的な景色、それにharuka nakamuraさんの音楽がばっちり合っていて、かなり心掴まれています。同じ場面でもそれぞれの目線で語られる演出があり、静かにもがく2人と、それにうっすら気付いている家族、友人などの表情が泣かせます。。今後も楽しみです!
illustration:Misa Itoi edit:Kei Kawaura