30代、人生の選択どうしよう。“好き”を仕事にするために考えるべきこと
働き方は多様化するいっぽう、“自分らしい働き方”“自分が本当に望む働き方”を見つけ、実現するのは歳を重ねるにつれて難しい問題。特に女性は、結婚や妊娠、出産などライフステージによって働き方も大きく変化します。今回は、女性が大きく羽ばたくための新キャリア事業を立ち上げた〈Ms.Engineer〉やまざきひとみさん、大岩裕和さんを講師に招き、同じ悩みを抱えたハナコラボ パートナーたちと自分が働くうえで大事にしたいこと、自分が本当にしたいことを探しながら実現するためのステップを一緒に考えました。
好き、お金、ワークライフバランス…自分を大事にしながら仕事ってどう選ぶ?
今回集まったのは、今のキャリアに悩みや不安を抱えたハナコラボ パートナーたち。最初のヒアリングでは、今の仕事に対するこんな悩みや疑問を打ち明けてくれました。
彼女たちの悩みに対し、〈Ms.Engineer〉で人事や組織開発、キャリアコーチングなどを行なっている大岩裕和さんは“好きを仕事にする可能性”について大きく3つのポイントを教えてくれました。
好きを仕事にするために
①好き(=want to)を見つける
→仕事に好き嫌いを付けるのではなく、wanto to(時間を忘れて没頭できるもの、熱中できるもの)と、have to(それ以外の外的動機で動いているもの、やらなくてはいけないこと)に分けて考えてみる。
②提供価値を広げる
→仕事において「will」「can」「must」が重なるとパフォーマンスが上がると言われているが、個人の立場で考えると、経験がないことでも自分に許可を出してwill(=want to)に重きを置いてみる
③マルチキャリアで働く
→want toが多い方が脳がクリエイティブに働くので、明確になったら1つの仕事に限定しない働き方の実践を。
特に“want to”を見つけることは、今のキャリアに対する悩みを解決する重要な一歩だと語ります。
「仕事のキャリアが増えれば増えるほど、want toは埋もれていくので、have toから見つけ出して大切に育てましょう。時間を忘れてただ没頭できること、承認がなくても作業や行動自体が楽しと思うこと、そして親や上司など権威者に抗ってでも貫いた行動はなにかを考えることで、want toを見つける近道になります」
want toを見つけるためのポイント
①没頭できる作業や時間
→時間を忘れて夢中になれることは?仕事や趣味、子供時代に好きだったことなど些細な事で良いので振り返ってみる。
②行為そのものが報酬や称賛に繋がる
→誰かのためなのにできていることにやりがいを感じたり、頼まれていないのに進んでやってしまう事、繰り返しやっていることなど。承認がなくても行為自体が楽しと思うことは?
③権威への抵抗
→親や先生、上司など権威者に抗ってでも貫いた行動は?
さらにwant toを仕事に重ねてみると、自分の提供価値を広げるきっかけに。周囲からの期待と自分の今やりたいことのズレを早期発見できるチャンスになりそうです。
「経験があるからできるけど、やりたいことではないな…と感じるものはcan、must=have toになります。この2つは、自分一人ではなく誰かに頼ったり任せたりするなど、他の人と組んで進めていけば仕事のやり方が広がってパフォーマンスも上がるはずです。実はキャリアに悩む方の多くは、canだけどwillではない仕事に時間をかけてしまっているケースがほとんど。自分が苦しくなる前に、want toからスケジュールを埋めて行き、残りの時間にhave toをこなしていく、という形が理想的ですね」
want toとhave toのバランスがうまく取れると提供価値も広がり、マルチキャリアという選択肢にも大きな幅を持たせることができる、と大岩さん。一方、ラボのメンバーからは「1つの職業に限定しない働き方ではライフワークとライスワークのバランスが難しく、収入が下がりそう…」と不安の声も上がりました。
「その時に大切なのは、バランスホイールを意識すること。これは人生や生活を見つめ直すための考え方・フレームワークで、バランスホイールを使って整理すると目標に優先順位をつけられるようになり、客観的に自分を見つめながらバランスのとれた人生を歩むことができます。いきなりwant toの仕事を本業にするのはハードルが高いので、最初は小さい所からコツコツと始めて育てていき、経済的に見合うようになったら副業と本業のバランスを切り替えるのがいいのではないでしょうか」
バランスホイール
〈人生の基盤となるもの〉
①仕事:自分の好きなことで、世の中の役に立つこと
②趣味:自分の好きなことで、世の中の役に立たないこと
③人間関係:だれとつながるか。相手にとってどういう存在でありたいか
④社会貢献:メリットゼロで、お金を投じて世の中に貢献すること
〈より豊かな人生を送るために必要なもの〉
⑤知性:生涯学習。興味関心があり、ただただ学びたいもの
⑥家族:子どもやパートナーにとってどういう存在でありたいか
⑦健康美容:ゴールを達成するために必要な健康と美容のあり方
⑧ファイナンス:ゴールを達成するために必要な資産と収入のあり方
女性のセカンドキャリアに寄り添って、楽しい仕事に変化を遂げる職業とは?
好きを仕事にする可能性を見い出しながら、自分のキャリアへの向き合い方や選択について学んだハナコラボ パートナーたち。さらに彼女たちを後押しをしてくれたのが〈Ms.Engineer〉の代表を務める、やまざきひとみさんです。日本女性たちの雇用環境改善とIT業界のジェンダーギャップを解決など“キャリアを通じて成功し、人生の水準をあげる女性を増やしたい”という想いから、日本で唯一、女性のためのコーディングブートキャンププログラムを行う会社を運営。改めて、いまセカンドキャリアとしてニーズを高めている「エンジニア」という選択肢を紹介してくれました。
「いま、女性の人気職業ランキングで事務職の次に入っているのがエンジニアなんです。その証拠に未経験者求人も3年で3倍に増えています。昨今の普及で2030年にはITエンジニア不足になると言われていて、一度手に職をつければ経済的自立が目指しやすくなるニーズの高さも人気の背景の一つになっていますね」
〈Ms.Engineer〉でも、女性のためのエンジニア育成プログラムが中心。これも働く女性の悩みはエンジニアになれば全部解決できるくらい魅力的な仕事に進化しているから、と語ります。
「コロナ禍を経て一番リモートワークが普及した仕事なので、技術と実績を積めば時間と場所を選ばず、ライフステージの変化にも対応できます。需要のある職種なので、なんと現在の年収は日本の女性給与水準より+約200万以上。産休・育休を取っても復職しやすく、転職先にも現状困らない…といった働きやすさを叶えてくれるはずです」
未経験から〈Ms.Engineer〉の育成プログラムを通じてエンジニアへ就職した人の中には、フルリモート&フルフレックスの会社に勤務し、旦那さんの転勤に合わせて地方移住をしながら働く人もいるそう。
「安定した年収と自由度が高いエンジニアへのキャリアシフトには大きな反響もあり、IT業界のジェンダーギャップ解消にも期待されています。どうしてもプログラミング=理系というイメージがありますが、アプリ開発や依頼された会社のシステムを作る仕事なので、“相手が使いやすいものを作りたい”“没頭して何かを作るのが好き”など、ものづくりの面が先ほどのwant toに入っている人にもおすすめ。セカンドキャリアの一つの選択肢として、楽しい仕事に進化しているエンジニアを選ぶ女性がもっと増えれば嬉しいですね」
キャリアチェンジで成功した体験談も。
エンジニアというセカンドキャリアを歩み始めたことで、自分の働き方について見つめ直すきっかけが生まれた人もいます。ブートキャンプを受講し、現在〈Ms.Engineer〉の開発プログラムメンバーでITエンジニアとして働く、黒澤楓さんもその一人です。
「私は東北出身で、専門卒業後は医療事務の仕事に就きました。周りの声につられて『医療事務なら安定した仕事で、歳を重ねて自分が母親になっても続けられそう』と考えていたんですが、実際は一人暮らしが続かないほど年収は少なくて…一度働き方のプランを白紙にすることにしたんです」
地元を離れ上京後も、やりたい仕事が見つからずキャリア迷子になりながら、派遣を転々としていた黒澤さん。現会社のマーケティング担当として再就職したのをきっかけに、エンジニアという職に出合ったそう。
「エクセル作業やデータ管理などの業務が好きだったので、エンジニアには少し興味がありました。セカンドキャリアの選択肢としては当時全く考えていなかったんですが、女性でも今から勉強すればなれることを知って、仕事を続けながら夜間のブートキャンプを受講してみることにしたんです。半年間、週4〜5ほど通っていたんですが、一度プログラミングの仕組みが分かると楽しくて、ご飯を食べるのを忘れるくらい没頭していました」
つまずきながらも自分で考え、選択をした結果、好きな仕事を見つけた黒澤さん。キャリアチェンジは他のモチベーションにも繋がったと言います。
「何事も長続きしなかった自分が半年間頑張れたんだから、運動、婚活、勉強…と、他のことにも目を向けてその経験を活かしてみたいと積極的に行動するようになりました。何より頼られることが嬉しくて、困っていることや必要とされる場面でも『私がやります!』と手を挙げる機会も多くなった気がします。キャリアチェンジに不安を感じる人も多いと思いますが、やってみて初めて知ったこと、興味が出たもの、好きなことを見つけて一歩踏み出してほしいですね」
〈Ms.Engineer〉
日本女性の雇用環境を改善しIT業界のジェンダーギャップを解消する」をミッションのもと、即戦力となる女性エンジニアの育成・輩出を通じ、日本経済と女性の雇用環境を取り巻く社会課題を解決することに取り組む。女性に「エンジニア」という新キャリアを提供するため、日本初、未経験から最短6ヶ月で世界に通用するソフトウェアエンジニアを育成する女性のためのコーディングブートキャンプのプログラムも開講。