【兵庫県・豊岡】昭和にタイムスリップ。レトロな街で出合う丁寧に作られた鞄と、新鮮な海の幸

【兵庫県・豊岡】昭和にタイムスリップ。レトロな街で出合う丁寧に作られた鞄と、新鮮な海の幸
車にのって、手しごとが生まれる場所へ Vol.3
【兵庫県・豊岡】昭和にタイムスリップ。レトロな街で出合う丁寧に作られた鞄と、新鮮な海の幸
TRAVEL 2025.02.15PR
車旅のいいところは、好きや安心で満たした空間で、非日常に飛び込めること。そんな車旅に魅了されたひとり、写真家・表萌々花さんは、民藝品の工房を訪ねて各地に足を運びます。本連載は全国の手しごとの生まれる場所、そしてその道中に出合う心と体を満たすごはん屋さん予算2000円以内のその土地ならではのお土産を紹介する車旅日記。Vol.3は約千年の伝統をもつ鞄の産地、兵庫県・豊岡市の旅路です。(PR/兵庫県鞄工業組合 SDGs推進委員会)
表萌々花
表萌々花
写真家

おもて・ももか/「目の前の日々を留めて置く作業」をライフワークとしながら、東京を拠点に活動。2024年3月には、自身、2冊目となる写真集『traverse(r)』の出版。ハナコラボパートナー。

Instagram@fantasy_omote
HPhttps://www.momokaomote.com/

▼今回巡ったスポットはこちら

冬景色が幻想的。約千年の歴史を持つ鞄の街、豊岡

新神戸から車で二時間かけて、鞄のまち豊岡へやってきた。豊岡は奈良時代から始まった柳細工を起源とする、約千年の伝統をもつ鞄の産地。2020年に開湯1300年を迎え、近年個性あふれるお店が続々誕生し、注目を集めている城崎温泉から車で20分の立地で、多くの鞄職人が暮らす手しごとの街だ。

豊岡市内へ入ると、⽇本海へとつながる円⼭川が出迎えてくれた。この円山川に自生していたコリヤナギこそが、約千年の歴史を生んだ豊岡鞄の起源。冬の時期ならではの、霧に包まれた幻想的な風景に思わず見惚れた。

まずはこの街の鞄の歴史について知るべく、豊岡市内にある但馬地域地場産業振興センターの歴史資料室へ足を運んだ。こちらの歴史資料室には、豊岡鞄の起源であるコリヤナギを用いた柳行李、行李鞄が数多く展示されている

美しく丁寧な杞柳製品(きりゅうせいひん)の手しごとが見られるので、豊岡に来たらまずはここで鞄のルーツを探るのがおすすめ

柳行李の始まりは飯行李(めしごり)と呼ばれるお弁当箱だったということも知れて、豊岡鞄は今も昔も大切なものを運ぶための身近な生活道具でもあるのだと、かつての暮らしに親近感が湧いた

但馬地域地場産業振興センター 

住所:〒668-0041 兵庫県豊岡市大磯町1-79
営業時間:9:00~17:00
休館日:12月30日〜1月2日
電話番号:0796-24-5551
公式HPhttps://www.tajima.jibasan.jp/

豊岡鞄の魅力に、何度も出合い直す「カバンストリート」

街の至るところに昔から変わらず続いているお店や家並みが広がっていて、初めて訪れたはずのこの土地に懐古の念を抱いてしまうほど。まるでタイムスリップしたかのようなこってり昭和感が味わえる

昭和感が味わえる「ふれあい公設市場」の風景。日本最古級とされる木造市場。
「ふれあい公設市場」での出会い。
こちらも「ふれあい公設市場」。

そんな街の一角に「カバンストリート」と呼ばれる商店街がある。その名の通り、鞄にまつわるお店を中心に洋服店や美容室、飲食店など、27軒のお店が連なっている。鞄をモチーフにした遊び心あふれる仕掛けが至るところにちりばめられている。

少し歩くと、一際レトロな外観のお店を発見。1913年創業の〈カバンコンシェルジュ キヌガワ〉は鞄の修理やリメイクなどを行なっており、この街の鞄の歴史を支えている老舗クリーニング店

工房を覗くと職人さん達が丁寧に鞄の修理を行なっている様子が見える。鞄を作り続けてきた豊岡は、どこよりも鞄を大切に使い続けてきた街でもあることがこのお店を通して伝わってきた。

次に向かったのは、キヌガワの数軒隣にある〈Apartment〉。若手のクリエイターを支援する拠点として、ものづくりに必要な空間、コミュニティ、設備を備えた施設で、この場所でものづくりをする作家の作品を直接買うことができるショップが1Fに併設されている。

この場所を中心に次世代の作家が、豊岡の鞄を新しい切り口で盛り上げている

店内をまわってみると鞄の他にも小物が充実していて、気軽に手にすることができるものがたくさん。個人的には、革を何重にも重ねて作られた地層のようなキーリングにときめき

2Fのアトリエで作家さんの制作風景を少し見学させてもらうと、自然光がよく入る気持ちの良い空間で黙々と手を動かす姿がとても印象的だった。この場所がカバンストリートにあることで、鞄作りの入り口が着実に広がっているように思えた。

カバンストリートを後にする前に、〈Toyooka Kaban Artisan School〉に立ち寄った。1Fにショップを併設する鞄職人の育成スクールで、鞄職人を目指してこの学校に通うために県外から移住する人もいるそうだ。

一年間で26個の鞄を製作できる実践型のカリキュラムが特徴で、トランクケースや難易度の高い鞄も作れるようになるんだとか。この日も鞄の制作に励む生徒さん達の見学をさせてもらった。

カバンストリートをまわってみて、これまで築かれてきた産業としての豊岡鞄の歴史を次の世代のつくり手が個々に解釈して新しい形で継承していこうとしている姿を目の当たりにし、豊岡という街の「いま」を肌で感じることができた。

カバンストリートのお店

カバンコンシェルジュ キヌガワ

住所:〒668-0033 兵庫県豊岡市中央町18-8
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜日、祝祭日、第一土曜日
電話番号:796-37-8012
公式HPhttps://kinugawa-cl.jp/

Apartment

住所:〒668-0033 兵庫県豊岡市中央町18-7
営業時間:10:00~16:00
定休日:火曜日、水曜日
電話番号:070-8965-9110
公式HPhttps://www.apartment-toyooka.work/

Toyooka Kaban Artisan School

住所:〒668-0033 兵庫県豊岡市中央町18-10
営業時間:11:00~17:30 ※土日祝は11:00〜17:30
定休日:水曜日、年末年始
電話番号:796-34-8118
公式HPhttps://shop.artisan-atelier.net/

ノスタルジックな気分に浸る。時間が止まったような復興建築群

豊岡市の見所の一つである昭和初期に建てられた豊岡復興建築群が、街の至る所に点在している。時代を超えて変わらず静かに佇む姿を見て、思わずノスタルジックな気分に。

建築群を巡りながら、次の目的地である〈ヒグラシ珈琲〉へ。〈ヒグラシ珈琲〉は、1930年創業の親子三代で続く老舗珈琲店。創業者であるおじい様が造られた薪火の焙煎機で今も焙煎を行なっているそうだ。年季の入った味のある焙煎機を見せてもらうと、薪火の匂いと珈琲の匂いが混ざった独特の香りが心地良い

〈ヒグラシ珈琲〉では珈琲豆が入っていた麻袋を、地元の鞄企業に提供し、バッグや小物入れとしてアップサイクルしており、豊岡らしい活用方法で環境に配慮した取り組みを行なっている。歴史ある珈琲店も、これまで続いてきたものを大切にしつつ未来に向けてアクションを起こしている。

写真下の鞄は、ヒグラシ珈琲と提携して、麻袋の鞄を制作、販売している〈三宅株式会社〉の製品。

店内の喫茶スペースは昭和のまま時間が止まったかのような空間で、ここで頂く珈琲はより一層深みを感じることができた。

ヒグラシ珈琲

住所:〒668-0032 兵庫県豊岡市千代田町1−5
営業時間:10:00~18:00 ※coffee roomは17:00まで(L.O. 16:30)
定休日:毎週火曜日、第一・第三水曜日
電話番号:796-22-2955
公式HPhttps://www.higurashi-coffee.com/

麻袋の商品を制作、販売している三宅株式会社

住所:〒668-0057 兵庫県豊岡市弥栄町1-31
電話番号:0796-22-6368
公式HPhttps://www.miyake-luggage.jp/m-factory/jute/

自然と共生しながらこれからも。廃魚網を使った豊岡ならではのものづくり

次に向かったのは、環境に配慮した取り組みにも力を入れている鞄企業〈株式会社 足立〉の工房。こちらの工房では、海洋プラスチックごみの削減など海洋環境の保全に貢献するプロダクトとして廃漁網を活用した鞄を製作されている。

この漁網再生素材を活用した鞄作りは『Product for the Blue×豊岡鞄』として様々な企業が参加しているそうだ。

海の恵みとともに暮らす街、豊岡の鞄ならではの海を守る活動であり、鞄を買うことでより良い未来を繋いでいくことができる。

工房では、漁網再生ナイロンを用いた鞄の製作風景を見学させてもらった。漁網をチップにして、それが糸となって作られたツルッと光沢のある生地がとても丈夫そう。何かを買う時のひとつひとつの選択が、ともすると未来に大きな影響を与えるのかもしれない。そんなことを考えさせられた。

株式会社 足立

住所:〒668-0027 兵庫県豊岡市若松町1-8
電話番号
:0796-23-2068
公式HPhttps://toyooka-kaban.jp/company/adachi/

〈足立〉の廃漁網を活用した鞄を1名様にプレゼント!

今回訪れた〈株式会社 足立〉さんの廃漁網を活用した鞄を、抽選で1名様にプレゼント。女子大生発信の注目ブランド〈m_r tokyo〉とコラボした巾着ミニバッグは小物を携帯するのに便利。応募期間は【2025年2月28日(金)23:59】まで

応募フロー
①無料メルマガ「ハナコさんのオフレコでお願いします。」に登録。
②ハナコさんからメールで届いたパスワードを応募ページに入力。
応募ページの詳細を確認して【2025年2月28日(金)23:59】までに応募する。

身がぎっしり詰まった蟹に野菜寿司。地元民が推す粋な居酒屋

お昼から夜にかけて豊岡を周り、お腹もペコペコ。今晩宿泊する宿のオーナーからおすすめされた〈八百酔〉というオリジナルの野菜寿司や新鮮な魚料理が楽しめる居酒屋へ

八百酔のお二人がとても良い人柄なので、料理はもちろんお店の雰囲気も楽しんできてくださいね!」というオーナーの言葉通り、明るく気さくな大将と女将が迎えてくれた。身がぎっしり詰まった蟹オリジナル野菜寿司など、大将こだわりの料理を心ゆくまで堪能した。

八百酔

住所:〒668-0021 兵庫県豊岡市泉町10-23
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜日
電話番号:0796-24-4547

近代化遺産! 昭和モダンを感じる元銀行のブティックホテル

お腹いっぱいクタクタになって帰った先は、豊岡の中心部にある〈TOYOOKA1925〉。1934年に震災後の復興建築として建てられた「兵庫縣農工銀行豊岡支店」を改装してホテルになったそうで、昭和モダンな雰囲気が漂う素敵な宿だ。

翌朝、どこを撮っても絵になる館内を散策しながら、朝食をとりに1Fのホールへ。館内は、本当に過去に来てしまったんじゃないかと錯覚するくらい時が止まっている

朝食は、豊岡の食材を使ったシンプルなプレート。存在感のある美しいクロワッサンは豊岡市内の城崎温泉エリアにある〈PARADI〉というペイストリーさんのもの。スープとヨーグルトも付いており、まさに完璧な朝食

TOYOOKA1925

住所:〒668-0033 兵庫県豊岡市中央町11−22
チェックイン:15:00~22:00
チェックアウト:11:00
メールアドレス:toyooka1925@cycleinc.jp
電話番号:090-6371-4225
公式HPhttps://www.chillnn.com/18d1b429d3538b

チェックアウトを済ませると、宿のオーナーである中原さんのご好意でもう一つの宿に案内していただけることに。〈TOYOOKA1925〉から徒歩2分のところにある、元老舗鞄店の邸宅跡を改装して作られた宿〈willow.〉

時の余白を愉しむ宿というコンセプトの元、たくさんの手しごとを楽しむことができる豊岡の歴史を大切にした民藝宿だ。こだわり抜かれた設えに感動し、次回は絶対にこの宿に泊まろうと誓った。

まるでミュージアムのような美しさを放つファクトリーショップ

豊岡を後にする前に訪れたのは、1916年創業の歴史ある老舗バックメーカー〈マスミ鞄嚢〉のファクトリーショップだ。このショップには工房が併設されており、鞄職人たちの制作風景を見学することができる。築90年を超える母屋をリノベーションして作られたファクトリーショップは、まるでミュージアムのよう

せっかく豊岡に来たなら鞄職人たちが制作している風景を見たい!と思い、どうしても立ち寄りたかったスポット。職人たちの黙々と制作する姿は、やっぱりかっこいい。初日に見た円山川沿いに位置しているので、ちょっとしたドライブにも良いロケーション。

マスミ鞄嚢

住所:〒668-0046 兵庫県豊岡市立野町5-1
営業時間:9:30~17:30
電話番号:0796-37-8177
公式HPhttps://masumihono.com/

豊岡を後にする前に、こちらも〈TOYOOKA1925〉の中原さん紹介のお店〈割烹かわむら〉でお寿司ランチをいただくことに

ランチはお寿司、海鮮丼、日替わりの中から選べるそう。お寿司9貫に、うどん、茶碗蒸し、味噌汁が付いていて、日本海の旨みが盛りだくさん。旅の締めくくりにふさわしい至高のランチだった。

割烹かわむら

住所:〒668-0021 兵庫県豊岡市泉町14−16
営業時間:月~金 ランチ  11:30~13:30
     月~土 ディナー 17:30~22:00
定休日:日曜日・祝日
電話番号:0796-22-5777
公式HPhttps://kdhh000.gorp.jp/

【予算2000円】お土産は隠れた銘菓店の鹿饅頭

帰りがけ、お土産に鹿饅頭を買うために老舗銘菓店〈一柳堂〉へ。鹿饅頭は、昔ながらの製法で着色料、保存料を一切使わず作り続けている白あんの小ぶりな饅頭

鹿饅頭 箱入り10個 1,350円(税込み)

こちらも〈TOYOOKA1925〉の中原さんに「おすすめです!午前中で売り切れちゃうことが多いので、電話で予約しておきますよ!」と勧めていただいたもの。地元では誰もが馴染みのあるソウルフードであり、贈答品としても人気のある銘菓だそうだ。

なぜ鹿なのかは諸説あり、明確には店主を含め誰も知らないというところも面白い。昔ながらの味を守ってきた鹿饅頭は程よい甘さでやわらかく、ぬくもりを感じる味わい。お土産に10個入りの箱と、帰りのドライブ用にも数個購入した。

一柳堂

住所:〒668-0026 兵庫県豊岡市元町3−19
営業時間:9:30〜18:00 
定休日:不定休
電話番号:0796-22-2473
公式HPhttps://toyooka-cci.jp/shop/783/

歴史ある豊岡の鞄作りや、変わらず続いてきた暮らしと街の姿に触れ、この景色がこれからも変わらず続いてほしいと強く願った。古き良きものが息づいている街、豊岡。きっとまたすぐに訪れる気がしている。

NEWS!!
【イベント情報】
【イベント情報】
大阪・関西万博 ひょうごフィールドパビリオン「SDGs体験型地域プログラム」

万博をきっかけとしてスタートし、県全体を一つのパビリオンに見立てて、地域の現場(フィールド)の魅力を伝える取り組みである「ひょうごフィールドパビリオン」。

豊岡市では、「豊岡鞄」の技術を活かした 鞄・革小物製作が体験いただけるプログラムを用意。

このプログラムでは、鞄の素材である牛革について学び、その素材の良さと、豊岡鞄の技術を活かした鞄の製作や、鞄生産で出た端材を利用した革小物の製作を体験できます。廃漁網を再利用した鞄制作の取り組みも紹介予定!

INFORMATION
兵庫県鞄工業組合 SDGs推進委員会

〈兵庫県鞄工業組合〉並びに〈一般社団法人豊岡鞄協会〉は、兵庫県豊岡地域一円として同業者の事業の発展を図るとともに、豊岡の鞄産業の品質・ブランドの維持向上を理念として活動しています。

text&photo_Momoka Omote

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