星空のような空間で出会う奇跡。京都の住宅街に煌めくカフェ〈STARDUST〉｜寺社につき喫茶。絵になる京都ご多幸散歩 Vol.3 喫茶編 TRAVEL 2023.12.28

〈久我神社〉の裏手にある東の鳥居から見えそうなほどに近い場所にあるのは、乳製品・卵不使用の植物性原料のみでつくられたヴィーガンフードがいただけるカフェ〈STARDUST〉。その名のとおり、京都・紫竹の閑静な住宅街に煌めく一粒の星のような存在です。この場所への再訪が決まり、店主の清水さんにお会いできることをもう何日も前から心待ちにしていたのでした。

You are stardust on the earth - a beautiful piece of the universe.
「宇宙の星がその命を終えた時、うまれたその星屑はあなたになった。あなたは美しい宇宙のひとかけら。」

〈STARDUST〉には、夜空を漂う煌めきのようなメッセージが添えられています。清水さんから穏やかに紡がれる言葉を旅して、私は数々の情景を目にしました。

ショップスペースには、それぞれがこの場所に惹かれて、自ずと集まってきたかのような陶磁器やお洋服、本などの美しい品々が並べられ、おのおのが異なる輝きを放ちながらも共鳴しあい、まさに星座が織りなす星空のような空間になっています。

築90年にもなる細長い京町家を奥に進んだカフェスペースには、冬の澄んだ空気が穢されることなく其の儘そこに在り、ここは聖域なのだとすら感じられる佇まい。

置かれている全てのモノたちから息遣いが聞こえてきそうなほど大切に育まれた空間は、ここに従事されている方々によってより一層、純度の高い場所に昇華されているように感じます。みなさん健気で真っ直ぐな笑顔を向けてくださりました。

砂糖を使わずドライフルーツやメープルシロップだけで甘みをつけたロウケーキには、生きた酵素とミネラルが凝縮されており、カラダの内側から調律されていくような心地よい感覚に。加えるものをその時々でアレンジされているロウケーキ。この日のケーキは珈琲の程よい苦味とラム酒が甘く艶やかに香ります。口の中でひんやりと心地よくほどけていったかと思うと、胸の奥でポッと火が灯るようなあたたかさ。

「順子さんをイメージした紅茶をご用意しましたよ」と清水さんが微笑みと共に運んでこられたのは「Amour」。フランス語で“愛”というフレーバーティー。日々、夫や家族に愛の言葉を口にする私にとっては日常的でとても身近な「愛」。ですが、思いがけなく“私”に運ばれてきた「Amour/愛」を口にした時、もっと自分に目を向けて自分自身を愛で満たす・大切にすることを、華やかな香りと温かさをもって伝えられたような気がしたのでした。

「人間の身体を形成する細胞を素粒子レベルまで辿っていくと、星を形成する成分とまったく同じなんです。だから私たち人間も同じ星屑なんですよ。」
清水さんはとある宇宙物理学者から受け取られた言葉と、印象深い旅の経験をインスピレーションにこの場所を「STARDUST」と名付けられました。

日々を懸命に暮らしていると、自分がわからなくなってしまったり目の前が真っ暗になる瞬間があるかもしれません。しかし、どんな時でも空の向こうには必ずたくさんの星が瞬いています。自分の中にも瞬く一粒の星を感じられたなら、目に映る全てのことがじんわりと輝きだすような、そんな奇跡のような出来事がここにはあります。