憧れの〈富士屋ホテル〉には、あえてひとりで|まろが行く、ひとりホテルのすゝめ

TRAVEL 2023.05.16

ひとり時間の楽しみ方を提案するメディア「おひとりさま。」を運営する“まろ”が、ひとりホテルステイならではの魅力を伝える連載。第5回は、神奈川県・箱根にあるクラシックホテル〈富士屋ホテル〉です。

今回、宿泊するホテルは…神奈川県・箱根〈富士屋ホテル〉

憧れの〈富士屋ホテル〉には、あえてひとりで|まろが行く、ひとりホテルのすゝめ

第5回目は、神奈川県・箱根にある〈富士屋ホテル〉。言わずもがな日本を代表する、1878年創業のクラシックホテルです。

実は私、最近クラシックホテルにハマっていて。ディテールが凝っているので、じっくり堪能するために必ずひとりで泊まりに行っているんです。

〈富士屋ホテル〉は、そんな“クラシックホテル界の王様”といってもいい存在で、ずっとずっと行きたかった憧れの場所。でも、いつまでも憧れで終わらせちゃいけない。いま行かねば!と、昨秋、思い切ってひとりで行ってきました。

いまもなお愛され続ける“クラシックホテル界の王様”

まず、わくわくが始まるのはお部屋選びから。約7,600坪(!)の広大な敷地内に、「本館」「西洋館」「花御殿」「フォレスト・ウイング」の4つの宿泊棟があって、棟ごとに、お部屋タイプごとに趣が異なるので、どれにしようかな~と相当悩みました。

公式サイトの説明を読んでいくうちに、最もよく創建時の姿が残されているという、1906年建築の「西洋館」に決定。

お部屋は「ヒストリックデラックス ハリウッドツイン」にしました。こちらもお部屋ごとに意匠が異なるようなのですが、私のお部屋はかわいらしい桃色の壁(なぜ桃色なのか、この謎は後のバーで明らかに!笑)。ヨーロピアンなしつらえでまとめられていて、最高にお姫様気分が味わえました…!この淡い色彩が、夢心地にさせてくれるんですよねえ。

天井も高く、カーテンから差す朝陽の美しさと言ったら。となりの花御殿ものぞくことができます。しばらく何もせず、この景色をずっと眺めてしまいました。

憧れの〈富士屋ホテル〉には、あえてひとりで|まろが行く、ひとりホテルのすゝめ

実は、お部屋の決め手のひとつは猫足バスタブ!クラシックホテルに興味を持ち始めてからずっと夢に見ていたので、憧れの〈富士屋ホテル〉で、晴れて浸かることができて感激です。

しかも、全室に箱根・宮ノ下の天然温泉がひかれているので、本当にゆったり寛げました。最高です!

ひとりで〈富士屋ホテル〉に泊まってよかった、本当の理由

〈富士屋ホテル〉に泊まってよかったと心から感じたのは、〈レストラン・カスケード〉でのディナータイムからでした。

私はいつものように、真剣にメニューを選んでいたのですが、スタッフさんにオーダーすると「最高のセレクト、通ですね!」と。そんな風に褒められて、ちょっと得意げになる私。単純です(笑)。

そして、これまたいつものようにディテールに目を凝らしていたら、ストロー袋に「FUJIYA HOTEL」のロゴが刻印されていて。この緑といい、フォントといい、最高じゃん!とオタク心が発動して写真に収めていたら、スタッフさんが「こんな細かいところにまで気づいてくださって、ありがとうございます。ロゴ、いいですよね~。お皿などにも、歴代のロゴがあしらわれているので、ぜひ見つけてみてください」と声をかけてくださったのです。

側から見たら不審な行動なのに(笑)、ここに共感してくれたのがとてもうれしくて。ひとりだからこそ気づけたディテールだったし、スタッフさんとの間で生まれたさりげない、温かいコミュニケーションで、胸がいっぱいになりました。

身も心も満たされた後は、館内散策がてら、館内にある〈ホテル・ミュージアム〉へ。クラシックホテル内にはこういったミュージアムが併設されていることがあるのですが、さすがの〈富士屋ホテル〉。ここだけ別で入場料払う必要あるのでは?と本気で思うくらい、濃い~内容でした。

引き継がれる創業時の思いや、直近の大規模改修工事のことなどが事細かに記されていて、自分が館内で感じていた点と点がつながる瞬間もあり楽しかったです。そんな自分だけの発見をしながら時間をかけられるのも、ひとりならでは。

ちなみに、私が特に感動したのはホテルマニュアルで、冒頭に「仕事を積極的に“科学”してください」という一文があり、大変感銘を受けました。ここに〈富士屋ホテル〉のすごさがつまっているというか、先のホスピタリティもさりげないけど、マニュアル通りに動くだけでは決して生まれないんだよなあ。

ミュージアムでの感動が冷めやらぬまま、一日の締めに〈バー・ヴィクトリア〉へ。バーはクラシックホテルの醍醐味と言っていいほど、ロマンチックでクラシカルな雰囲気をたっぷり味わえるので、欠かさず行っています。

ここでもまた、カウンターでそこかしこを眺めていたら、マスターがバーの歴史をたっぷり教えてくださいました。

天井にはビリヤード台を彷彿とさせるデザインがあしらわれていること、毎日カウンターの席がここ(写真1枚目)から見たときにピシーッと美しく並ぶように揃えていること、昔使われていたコルクのダーツボードのこと…。

憧れの〈富士屋ホテル〉には、あえてひとりで|まろが行く、ひとりホテルのすゝめ

楽しい時間はあっという間に過ぎ、閉店の時間に。お部屋づけにしてもらおうと鍵を渡したら、「もしかしてお客様が泊まっているお部屋は淡い桃色の壁ですか?実は、改修工事前は白で、工事中にもともとは桃色だったことが分かり、当時の色に染め直したんです」と教えてくださいました。

お部屋に入ったときからずっと気になっていて、そうだったのかー!と。その夜は、当時に思いをはせながら、ぐっすり眠りについたのでした。

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