パワースポットを巡って30年!植島啓司さんの「圧倒的聖地」。
【vol.2万物は流転する 水脈】
1970年代からフィールドワークのため世界各地の聖地を巡った植島啓司さん。100カ国1000カ所以上を訪れた先達が、ひときわ大きく聖なるものを肌で感じた聖地をリストアップ。今、日本で行くべき真の聖地を、衝撃的で鮮やかな記憶とともに紹介します。
【万物は流転する 水脈】
水は生命の源。古来、清らかな水は神聖なものと崇められてきた。風水でいう龍穴、大地のエネルギーである龍脈が集まり噴き出す場所には、必ずといっていいほど水流があり、滝や湧水地、川の合流点は聖域として祀られてきた。清めと祓えの力を求めて、水の聖地へ。
1. 天岩戸神社【京都】
福知山大江地区にある元伊勢三社のひとつ。高天原(たかまがはら)の神が降り立ったとされる禁足地・岩戸山の麓に鎮座し、神名に岩の文字を持つ門の神を祀る。「峡谷に流れをせき止めるように、神々が座したという御座石があり、磐座として祀られています。最近訪ねた中でも好きな場所」
2. 幣立神宮【熊本】
「阿蘇から高千穂にかけては特別な気配に満ちている。日本を横断する大活断層・中央構造線と無関係とはいえません。その真上に位置する幣立神宮は紛れもない聖地。特に龍王を祀る湧水池、東御手洗(ひがしみたらい)はすばらしい。草木をはじめとする自然のありようが違います」
3. 妙吉祥龍穴【奈良】
室生寺(むろうじ)の建立以前から水神として信仰を集めた室生龍穴神社の奥宮。平安時代には朝廷から雨乞いの使者が遣わされた。「聖地・室生の始まりの地。室生川を遡った山中の渓谷にあり、すぐ上流にかかる招雨瀑のおかげかマイナスイオンに満ちています。限りなく心地よい一角です」
4. まないたさま【三重】
伊邪那美命(いざなみのみこと)を祀る産田(うぶた)神社のほど近く、社殿はなく磐座の前に素朴な鳥居が佇む。そもそもは水神が祀られ「天の真名井戸」と呼ばれていたものが転訛し「まないた」に。「かたわらに産田川の源流である谷川が流れ、小さな滝をかけています。古くからの禊場(みそぎば)なのでしょう、清められた気持ちに」
5. 恵利原の水穴【三重】
皇大神宮(こうたいじんぐう)別宮・伊雑宮(いざわのみや)から逢坂山へ。深い森に1日31,000トンの水が湧く。実はこの奥に表からは想像できないほどの洞窟が広がり、高さ3mの滝があるのだとか。「この洞窟は滝祭窟(たきまつりのいわや)と呼ばれ、天の岩戸とも称されます。確かに神が隠れるにふさわしい神さびた雰囲気」
6. 丹生川上神社夢淵【奈良】
山深い吉野に鎮座する丹生川上神社。その神域を流れる高見川に四郷川と日裏川が合流し、翡翠色に澄んだ深淵を作る。最古の水の神様、罔象女神(みづはのめのかみ)が天降る霊境として斎淵(いみぶち)とされたが、転訛して夢淵に。「いわば水の神様の始まりの地。良い気にあふれたところです」
7. 醍醐水【京都】
真言宗醍醐派の総本山・醍醐寺の縁起にも登場する霊水。「山麓の境内から登り続けること1時間。しかし、こんこんと湧く水の清らかさ、やさしい味わいに生き返る思い。一瞬で苦労を忘れます」