パワースポットを巡って30年!植島啓司さんの「圧倒的聖地」。
【vol.1万物の根源 石】
1970年代からフィールドワークのため世界各地の聖地を巡った植島啓司さん。100カ国1000カ所以上を訪れた先達が、ひときわ大きく聖なるものを肌で感じた聖地をリストアップ。今、日本で行くべき真の聖地を、衝撃的で鮮やかな記憶とともに紹介します。
【万物の根源 石】
山中に突如として現れる巨大な自然石や、天に向けて聳え立つ一枚岩、奇妙な形に穿たれた窟……。太古から変わることなく在る姿に出会う時、誰もが見えざるものの存在を意識する。地上のあらゆるものを生み出す万物の根源にして、大地のエネルギーを凝縮した石の聖地へ。
1. 湯殿山神社【山形】
出羽三山の奥の院。古くから「語るなかれ、聞くなかれ」が貫かれる聖地で、今も写真撮影は禁止、参拝は土足厳禁という戒めが厳しく守られている。「御神体から湧き出る湯の温かさが素足に触れた時、“奇跡”という言葉を思い出しました」
2. 飯福田寺【三重】
修験道の祖である役小角(えんのおづぬ)により、飛鳥時代に開かれたとされる霊場。修験者の行場であり、伊勢山上とも称される。「寺域に広がる広大な行場には切り立った岩場や巨石が続き、一歩間違えば命の危険を伴うほど厳しい。まさに“真の行場”」
3. 唐人駄場遺跡【高知】
足摺岬のほど近く、唐人石と呼ばれる花崗岩の巨石群や、ストーンサークルと思われる痕跡が残る場所。一帯からは縄文初期から弥生時代にかけての石器や土器片が出土している。「6~7mもある巨石群は見事で、場としての力もすばらしい。縄文の優れた遺跡であり、聖なる祀りの場であったことは確実です」
4. 猪群山【大分】
国東半島北西部、標高458mと大きな山ではないが、かつては女人禁制の霊場だった。山頂一帯には巨石が点在し、1,800年前のものと推定される環状列石も。「御神体にあたる中心の磐座(いわざ)はさすがの迫力。入口に佇む陰陽石も見事。巨石群の向こうに海が見渡せます。聖地とはこういう場所なんだろうと思わせる場所」
5. 忍路環状列石【北海道】
明治19(1886)年、日本の考古学史上、最初に学会に報告されたストーンサークル。小樽の河岸段丘上、三笠山の麓の緩斜面に長径33m×短径23mの楕円に沿って大小の石が配置されている。「小樽から余市にかけては80以上の環状列石が見つかっており、その中核的存在。聖地の起源を感じさせます」
6. 押戸石の丘【熊本】
阿蘇カルデラを一望する標高845mの丘の上に位置する9組の列石遺構。「鬼のお手玉」とも呼ばれる巨大なピラミッド型の巨岩や岩刻文字が刻まれた大石などが配されており、古代の祈りの場と推定される。「緑の大地の向こうに外輪山を見渡す場所。大自然の力に圧倒されます。生きる力が湧いてきて、幸せな気持ちに」