ハナコラボSDGsレポート 100年の歴史を持つ和紙工房の新たな挑戦。廃棄された野菜や果物から紙を作り上げる〈Food Paper〉
ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第43回は、エディター、ライターとして活躍する大場桃果さんが、廃棄された野菜や果物から紙を作る〈Food Paper〉に取材。伝統工芸士・紙漉き職人の五十嵐匡美さんとブランディングを担当する安田昌平さんに話を聞きました。
さまざまな取り組みを通じて、和紙の魅力も伝えていきたい。
ーーホームページに「廃棄野菜を受け入れます」と書かれていたのですが、実際にどこかから相談はありましたか?
安田さん:まだ本格的な取り組みには至っていないのですが、生産者さんや流通業者さんから「こういう素材で商品を作ってみたいからサンプル紙を作ってくれないか」という相談は毎月2〜3件ほどもらっています。最近だと、コーヒーの豆かすを使って壁紙を作ってほしいとか。
五十嵐さん:うちはもともと襖紙や壁紙をメインにしていたので、実は大きいものの方が得意なんです。
ーーブランドが始まってまだ1年ほどですが、これからそういった相談がどんどん増えそうですね。
安田さん:この1年の間にも問い合わせが徐々に増えていて、社会全体としてサステナブルなものづくりへの関心が高まっているのをひしひしと感じています。
ーー現在、商品はどういった方々に愛用されていますか?
五十嵐さん:お客さまの層はとても幅広いです。学校でSDGsについて学ぶ機会があるからか、商品を買ってくれたり詳しく話を聞きたいと言ってくれる学生も多いですね。
ーー子どもたちにとっても、廃棄食材がこうやって紙になっているというのは視覚的にわかりやすいし、サステナブルな循環について想像しやすいだろうなと思います。
安田さん:そうですね。〈Food Paper〉は和紙が元になっていますが、和紙ってそもそも高価なものなんです。普通の紙と比べると高いと感じてしまう人が多いと思うのですが、そういったイメージを払拭して、「こういう背景があるからこの価格なんだな」と知ってもらえるためのきっかけにもなればいいなと思っています。
ーー今後、挑戦したいことや計画していることは何かありますか?
五十嵐さん:今は5種類の商品ラインナップがあるのですが、それをもっと増やしていきたいですね。
安田さん:あとは、使い捨てで終わらないような仕組みを考えたいなと考えています。例えば〈Food Paper〉を使ったパッケージ作りとか。包装に工夫している企業も多いと思うので、そういった部分にこの紙を使ってもらうことでより一層「捨てずに再利用しよう」と思ってもらえるんじゃないかなと。作って終わり、売って終わりではなく、その先のことまで考えていけたらなと思います。