ハナコと考えるSDGs 【ユニット「DUCK WORKS」】髙野るみ子さん・小濱香織さんのストーリー/「持っているものを全部出した先に“世界観”が生まれる。」
最近よく耳にするようになったSDGs(Sustainable Development Goals)という言葉。「持続可能な開発目標」と訳され、2030年までに“誰一人取り残さない”よりよい世界を目指して17の国際目標が掲げられています。それは政府や企業の頑張りだけでなく、私たちがもっと意識して毎日を“変えて”いくための課題でもあるのです。そこでハナコは、SDGsについて読者のみなさんと考える特集を企画しました。今回は“わたしらしく働く”ことをあきらめない、ユニット「DUCK WORKS」として活動する髙野るみ子さん・小濱香織さんのストーリーを紹介します。
信じて委ねて、お互いの得意を伸ばす。
デザインと占い。唐突な組み合わせだが、これが〈DUCK WORKS〉の二枚看板。広告代理店の同期として出会った人は、別のチームでリーダーを務め、たまたま共通の趣味だった占いをきっかけに親しくなった。「広告の仕事を続けているうちに、もっと人と向き合いたいと思うようになったんです。占いのイベントに人で参加するようになった頃で、色々な人と出会えてすごく面白かった。声を直接聞くことで、広告の仕事のインスピレーションにも繋がると気がついたんですよね」(小濱)
入社して丸10年というタイミングも後押しし、そろって退社。ユニットでの活動に可能性を感じながらも、ノープランだった2人は、まずは今自分たちにできることを書き出した。「デザインはできる、占いはできる…と、とにかく出し惜しみせずに列挙しました。右も左もわからないし、自分たちのキャパも知らないし、最初は失敗もしましたね」(髙野)「持っているものを全部出したその先に〝世界観〞が生まれると思うんです。計画して演じるブランディングは長く続けられない。だから自分にできることはなんでもやるし、顔出しもしていきます(笑)」(小濱)
デザイナーであり、数秘術やルーン占いを得意とする髙野さんと、ライター・ディレクターで、タロットや占星術を得意とする小濱さん。領域が異なるため、役割分担は明確だ。「私はバーッと話して、風呂敷を広げるタイプ。その時自分が持っている情報を開示して、相手にたくさん選択肢を提示するんです。それを、髙野さんがまとめてくれる」(小濱)「占いでは、相談の内容に応じてどちらが話をすべきか判断します。私は占う時もデザインする時も同様に、要点をピックアップしてまとめる手法をとっているのかも」(髙野)
新卒の頃から、ずっと同じ職場で働いている。人で長く続けていく秘訣を聞くと、「相手を信じて、委ねることですね」と返ってきた。「お互いにソロプレイヤーであることが利いていると思います。それぞれ自分の領域のことは1人でできてしまうからこそ、相手を信じる、任せる、という思い切りがいい」(高野)「あとは、苦手な事柄があったら、得意な方に委ねる。『相手に迷惑かけたくない』という葛藤はあるけれど、苦手をフォローするために使うエネルギーは得意なことに使った方がより前進できると思うんです」(小濱)ソロで活躍できるプロフェッショナル同士がタッグを組んで互いを補完しあう。バラバラに見える事柄も、積み重ねていくことで世界観を強固にする。引き算の美学とはよくいうけれど、足し算の強さも確かにあることを人は証明してみせてくれる。
【わたしが影響を受けたもの】『キングスマン』コリン・ファース主演
丁寧かつ緻密に造り込まれた世界観、その上ですべてを吹き飛ばしていくスタイルに憧れます。インパクトや奇抜さの演出だけでは薄っぺらくなること、堅固な基礎が大切であることを教わりました。(DVD/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/1,098円)
Profile/DUCK WORKS(だっくわーくす)
デザイナーの髙野るみ子、ライター&コーダー&占い師の小濱香織(ももねこ)による、Webを中心としたプロモーションツール制作と占いを行うユニット。占いはスカイプやメールにも対応。
■https://duck-works.com/
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について。
昨年、国際労働機関(ILO)が発表した日本における女性の管理職比率は、全世界平均27.1%に対してわずか12%。この国は女性にとってまだまだ働きにくい環境だといえます。今後、世界中が一丸となって、女性の力をもっと引き出せるような取り組みが進められていく中、私たちも自分の働き方についてポジティブに見つめ直す良い機会なのではないでしょうか。
Hanakoは“わたしらしく働く”ことをあきらめない、女性のストーリーを紹介します。
(Hanako1184号掲載/illustration:Nodoka Miyashita photo:Takehiro Goto , MEGUMI, Yoshiki Okamoto text:Makoto Tozukai, Rie Hayashi, Narumi Sasaki, Rio Hirai edit:Rio Hirai)