〈+CEL〉インタビューvol.5 (後編)
自然の原理原則に従って、子育てについて考える
造園家の齊藤太一さんのルール。 MAMA 2024.01.19PR

ランドセルブランド〈+CEL〉と子どもたちへ受け継ぎたいものについて話を聞くインタビュー企画、シリーズ5回目に登場するのは、神奈川県川崎市にある〈SOLSO FARM〉などを手がけた造園家の齊藤太一さん。前編では、自身が子どもに受け継ぎたいものについてのエピソードをお話いただきました。後編では、4人いるお子さんのうち、すでに小学生の子どもたちのランドセルをどう選んだのか。そして、父親としての“仕事”とは何かを一緒に考えます。前編の記事はこちらから。

Hanako +CEL 齊藤太一

ランドセルは自身の成長を感じる大切なツール。

――現在、小学校2年生と5年生のお子さんがいらっしゃるそうですね。ランドセルを選ぶときにはどんな話をされましたか?

「何事においてもそうなんですが、我が家は基本的にやりたいことをやればいいというのが子育てのベースにあります。なので、ランドセル選びも同じことで、個性尊重で基本的に自分で選んでもらいました。小学生になるのって、親からみたらひとつの通過点の一つに過ぎないかもしれませんが、子どもたちの中では“大人になること”への大切な一歩なんじゃないかと思うんです。ランドセルは、心の成長を実感したり、新いフェーズに入るんだというワクワクやドキドキを感じさせてくれる大切なツール。それをより強く、しっかり実感してもらうためにも、背負う本人の意見を聞いて選んであげられたらと思いました」

――実際に選ぶときは、どんな様子でしたか。

「見ていて面白かったですよ。細かな柄やポイントも意外としっかりみているんだとか、色の選び方もちゃんと自分の好きなファッションと合わせて考えるんだとか。僕が小学生の頃なんて、当然、ランドセルは赤と黒しかなかったですし、ランドセルの中身だって、何が入っていたか覚えてないくらい(笑)。教科書なんかいれてなかったと思いますよ、石ころとか葉っぱとか、それこそ虫とか入っていたタイプだったから」

――〈+CEL〉のランドセルは、今日は25年度モデルから新登場するブラウンとグリーンを持ってきました。

「土と緑の色でいいですね。ランドセルは大きくて存在感のあるもの。毎日使うものだから、しまうことはなく、家に置いておくときもそのままドンと置いてある感じですよね。だからこそ落ち着いた深みのあるアースカラーはありがたいなと思います。子ども部屋の家具も今、おしゃれなものが増えていますから。そういうものと合わせて自然と馴染むものだといいなと思います。それに、男女どちらでも選ぶことができる色味なのもいいと思いました。ランドセルの色をどうするかと悩むとき、まだまだ男の子は黒か紺どちらか二択、みたいなところがある。男の子だって、他の色を選んでいいし、それこそ赤や紫だって選んでもいいはず。選択肢の幅があることで、自由に、色選びを楽しく考えられるようになるのは、とてもいいことだと思います」

子ども部屋のそれぞれのベッドサイドには小さな窓が。「寝ながら星や月を眺めてほしくて」と、ここでも自然を感じる仕組みを考えていた。
子ども部屋のそれぞれのベッドサイドには小さな窓が。「寝ながら星や月を眺めてほしくて」と、ここでも自然を感じる仕組みを考えていた。

迷ったときは、自然の原理原則に立ち返る。

――今回、このインタビューシリーズでは初のお父さんの視点で、子どもへ受け継ぎたいものや、ランドセルについてのお話を伺いました。齊藤さんは、4人の子育てをする中で、父親としてどんなことを大事にされていますか?

「僕は、仕事をはじめクリエイティブなことも、自分自身の人生をどう進むかについても、考えるときには自然の原理原則に従って動く、というのをとても大事にしているんです。それが基本にあると、なんでもしっくりと納得いく答えがみつかります。子育てについてもそうです。動物として人間を捉えると、僕たちは猿とだいたい同じです。猿のいちばん大切な仕事はなにか、と考えると、安全な巣を作って、群れをつくり、餌をとってきて食べる。そして、子孫を繁栄する。それがいちばん大事な仕事だと理解すると、動物としての自分のもっとも大事な仕事は“子育て”なんだって気づくんです。今、現代人が何より時間をとってとらわれてしまっている“ビジネス”なんて、それこそ大人の遊びのひとつでしかない」

――子育てをそういう視点で捉えている人は少ないかもしれません。

「そうかもしれません。仕事とプライベートという区分けをするときに、育児はプライベートの側に入れられがちです。でも、生き物としてプライオリティが高いのは、餌をとってくることと子育てをすることですよね。だったら、子育てだって仕事のほうに区分けしていいはずです。僕は、かなりスケジュールをかっちり決めて動くタイプですが、その中に必ず子どもたちとの時間を仕事と同じレベルで組み込んでいます。例えば、朝は日の出と共に起きて少し仕事をして、子どもたちが起きたら一緒に朝食をすませて7:30には出社をして……という感じ。大変だと言われるかもしれませんが、だって、それが僕の仕事だからと思うから、当たり前だよな、という感じ。その意識があれば、外で仕事をしているからということを理由に家庭のことを顧みない……なんていうことはできないと思います」

――実際の子どもたちとの関わり合い方についてはいかがですか。

「先にも言ったとおり、やりたいことをやらせてあげるのが基本です。親だからと頭ごなしに上からモノを言うよりも、ちょっと先輩の人間として好きなようにやってみたら、とアドバイスをする立場でいたい。山の家に行ったときなんかは、だいたいゲストファミリーも一緒ですから、友人家族の子どもたちも入れて、みんなを本当にほったらかします。朝の9時から夕方5時まで、好きなように時間を使えばいい。寝たければ寝ていればいいし、ずっと漫画を読んでいたいならそれもOK。遊びたいなら一緒に遊びます。ほったらかされてどう過ごすのか考える、自分たちの世界でどんな遊びをすると楽しくなるのか考える。それが大事なんじゃないかと思います。子どもはさまざまな可能性を秘めているから、大人が余計なことを言って、その芽を摘むようなことだけはしたくない。ランドセルを自分たちで選ぶように、何事も自分でみつけてほしい。あまり望むことはないですが、何においても自分で見つけられる子になってほしいというのが、唯一ある期待かもしれません」

Hanako +CEL 齊藤太一

〈+CEL〉25年度モデルが登場。「PLAIN(プレーン)」はブラック、ネイビー、キャメル、レッドの4色に加え、新色のブラウンとグリーンが登場し全6色に。各66,000円(無地)、77,000円(かぶせ裏柚木沙弥郎デザイン)公式サイトはこちら

photo_Shinnosuke Yoshimori text & edit_Kana Umehara

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