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寺修行に農業体験、現代湯治… 夏の旅行で自分磨き!心身共にデトックスできる体験型旅行3選
時間が取れる夏こそ、普段なかなかできないことに挑戦するチャンス。寺修行に農業、現代湯治まで、心身共にバージョンアップ・デトックスできるアクティビティ型旅行をご紹介します。
1.〈大陽寺〉気になる宿坊体験に密着!心身を解放する宿坊体験。東京から2時間の秘境へ。/三峰口
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〝天空の寺〞と称される〈大陽寺〉は15年ほど閉ざされていた。再び開かれたのは、10年前。住職の浅見さんが祖父の跡を継ぐ形で宿坊を始めた。
「前は東京にいました。電波もなく不便ですが、悩んだ時に来たら気持ちが楽になって。皆さんにもそんなふうに心をクリアにしてほしいなと」
周りには何もない標高約850メートルの敷地に、本堂や座禅堂が点在する。風で揺れる葉や清流の音が響くこの景色は、創建された700年前のままだ。宿坊ができたのは1757年。きしむ床の音や日当たりがいい縁側の、なんと心地いいこと。
「自然体で心を解放してほしい」と浅見さん。座禅や写経も細かな作法を気にせず、心と見つめ合えばいい。
1日はあっという間に終わり。夜には住職手作りの露天風呂で、満天の星が出迎えてくれる。思い悩んだら、また帰ってくればいい。天空の秘境は、そんな場所。
15:45【ヨガ】まずは座禅堂でのヨガからスタート。
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不定期開催のヨガには毎回テーマが。今回は「縁結びヨガ」と題し、インストラクターがレクチャー。ストレッチ後、初心者向けのポーズを中心に体を温める。
17:00【写経】無心で集中!
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本堂で読経を聞き、参加自由の写経へ。住職から般若心経の意味を教わり自分のペースで写していく。気がつけば1時間経過。不思議とすっとした気持ちに。
19:30【夜ごはん】住職お手製の絶品精進料理で腹ごしらえ。
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並ぶのは京都〈妙心寺〉での修行時に教わった品々。
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自家製唐辛子味噌を添えた大根や前夜から仕込む汁ものと、どれも素材の旨味が詰まった繊細な味わい。地元農家の季節野菜をたんといただこう。
21:00【キャンドル瞑想】火を見て心を静かに。
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再び座禅堂へ。インストラクターの案内のもと、数人でひとつのロウソクを囲みゆったり瞑想。ストーブの音だけが響くしんとした空間と温かな光に癒される。
6:30【朝ヨガ】太陽が昇る前に出発!朝のお目覚めヨガ。
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山々に囲まれた広場では2人で行うペアヨガに挑戦。澄んだ空気を味わっていると、山間から朝日が。ぽかぽかと照る昇りたての太陽は、ここならではの絶景!早起きは三文の徳、とはまさにこのこと。
7:15【座禅】歴史ある座禅堂で自然と向き合う。
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希望すると警策で叩いてもらえるので、シャキッとしたい人は声がけを。
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堂内での座禅後は山々を見渡す廊下へぜひ。先人が愉しんだ景色を目に焼き付けて。
8:15【読経】本堂で読経&ゆったり境内散策。
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本堂で読経に耳を傾け、朝食へ。食べ終わったら、最後は住職と敷地内をぐるり。県文化財指定の閻魔堂や子宝石など、お寺に残る貴重なモノに触れよう。
〈大陽寺(たいようじ)〉
1313年に後嵯峨天皇の第三皇子によって開山。釈迦如来を本尊とし、秩父十三仏霊場のひとつでもある。宿坊には国内外から年間約1,000人が。宿坊体験9,000円(税込)、3月以降は毎月開催。冬場は要問い合わせ。
■埼玉県秩父市大滝459
■0494-54-0296
www.taiyoji.com
(Hanako1148号掲載/photo : Tomo Ishiwatari, Akiko Mizuno, Kenya Abe text : Wako Kanashiro)
2.〈Brown’s Field〉畑のお仕事と暮らしを「まるごと体験」する。/千葉
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東京都心から約1時間半。無農薬でお米を育てる田んぼを中心とした〈Brown’s Field〉では、オーナー夫妻と約10名のスタッフが寝食をともにし、「農を中心とした心地よい循環生活」を送っている。この夏ぜひ味わいたいのは、そんな暮らしを「まるごと体験」できるプログラム。
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季節を五感で感じながら、みんなでごはんの準備をして食卓を囲み、たっぷり動いて眠る。忙しい都会の生活では忘れがちな「当たり前」を、ほっこりと思い出してみたい。
〈Brown’s Field〉
敷地内には週末営業の玄米菜食カフェも。「まるごと体験」は不定期開催のため日程はHPで。
■千葉県いすみ市岬町桑田1501-1
■0470-87-4501
■25,000円/2泊3日ほか
■brownsfield-jp.com/internship
(Hanako1161号掲載/photo : Nahoko Morimoto text : Rie Hayashi edit : Rio Hirai)
〈星野リゾート 界 松本〉一泊二日で整える。現代人のためのネオ湯治/松本
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全国に14の温泉宿をかまえる温泉旅館ブランド「星野リゾート 界」が、一昨年12月から始動した「うるはし現代湯治」。一泊二日のプログラムで、温泉の本質から入浴法、温泉呼吸法、入浴後のくつろぎ方、マッサージ、座禅・瞑想などから成る。
長期滞在はできないが、デトックスもパワーチャージもしたいわがままなわたしたち現代人にぴったりのそのプログラムを体験するため、今回おじゃましたのは現代湯治を独自に開発し、以前から導入していた〈界 松本〉。日本書紀にも記された約1300年の歴史ある名湯の現代湯治で、ココロもカラダも整える。
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お部屋に通されたら、まず荷物と一緒にココロの緊張をほどこう。お茶を飲んでひと息ついたところで、テーブルの上に用意されている「うるはし現代湯治ハンドブック」をチェック。現代湯治とは何か、その一連の流れに目を通したらさっそく浴室へ。
【15:00】チェックイン後、基本を学ぶ
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温泉呼吸法(心と体を整える呼吸法や入浴前・中・後のストレッチ)は、ハンドブックに載っているが、お願いすれば専門スタッフが無料でレクチャーしてくれる(15時30分~16時限定)。プロの指導で正しい呼吸・入浴法マスターを。
【16:00】呼吸を整え、ストレッチ
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〈界 松本〉では、実際に入浴した状態で指導を受けることができる。ベアトップタイプのワンピースのレンタルがあるので、それを着用して。
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寝湯では浮力に身を任せ、とことんリラックス。
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露天風呂には右ページの大風呂に加え、まあるい檜風呂がある。ほかにも檜おがくず風呂や立ち湯、ミストサウナなど、施設が充実しているのも魅力。
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日本では珍しいラディアントバスは体温より少しだけ高めに設定された温泉が循環する、寝椅子タイプの温浴法。寝落ち必至の心地よさ。
【17:00】湯上がり処で湯涼み
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温泉から上がるときは温泉成分を洗い流さないよう、湯口から新鮮な温泉を汲んで上がり湯を。ひきつづき8拍吐いて4拍吸う深い呼吸を意識したまま、浴衣に着替え湯上がり処でリラックス。少しのコツをつかむだけで何倍も気持ちよく、効果的に温泉を楽しめる現代湯治は温泉から上がった後も大切な時間。
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入浴中は浴室入口に常備してあるミネラルウォーターで、入浴後は地元名産の花梨を使った〈界 松本〉特製ジュース(写真)や桑の葉茶で水分補給し、体内の水分バランスも整えよう。
【17:30】地元会席料理に舌鼓
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夕食は美しい山と川に恵まれた松本ならではの地産素材をふんだんに使った和会席。先付から甘味まで計10品あるうちの3品目「四季の八寸 楽盛り」で、松本の伝統手工芸品でもある手まりを模した特注三段重に10品以上の料理が収まり、お酒好きにはたまらないラインナップとなっている。
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メインの「赤ワインしゃぶしゃぶ」。近隣エリアだけで11ものワイナリーがある〈界 松本〉だからできる逸品。〆を白米とお蕎麦から選べるのも蕎麦の名産地、信州松本ならではのお楽しみ。
【21:30】就寝前に本格マッサージ
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夕食後は温泉に入ってのんびり過ごすもよし、毎夜2回エントランスホールで開催される「ご当地楽・ロビーコンサート」を楽しむもよし。存分にリラックスした時間を過ごしたあと、就寝前のストレッチに加えオプションとしておすすめしたいのがお部屋でのマッサージ。現代湯治をスタートさせるにあたって、マッサージにも力を入れる「界」はマッサージ専門会社と提携し、全国の「界」に国家資格保有者を順次展開予定。湯治の効果をさらに高めてくれる。
【6:00】目覚めのストレッチと座禅
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目覚めたら、水分補給後あぐらをかいて深呼吸。両手を上に伸ばし、手首を交差させたら鼻から大きく息を吸い込み胸が広がっていくことを意識。今度は口から息を吐きながら胸が閉じていくことを意識。目覚めのストレッチは交感神経を高めるため、胸式呼吸でするのがポイントだ。体が目覚めるのを感じたら、次は座禅でメディテーション。両手のひらを上に向け卵型の輪をつくったら視線は1mほど先の床に。現代湯治で整いはじめた体に心もチューニングするような気持ちで行おう。
【7:30】翌日も温泉、そして和朝食
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ご当地の新鮮なジュースからはじまる朝食は、信州サーモンなどの旬の魚や信州味噌、地元産のきのこを使った焼き物をメインに、鶏肉と野菜の炊合せや蒸し物、白米、お味噌汁、香の物と、ヘルシーかつ郷土色あふれるメニューが並ぶ。
もちろん、朝食の前後は思う存分温泉を堪能。深夜1時~2時の1時間とチェックアウトとなる12時前の30分間以外、通しで楽しめる大浴場では水分補給を忘れずにスタッフの方に教えてもらった呼吸法とストレッチを復習し、最後まで現代湯治を楽しもう。
〈星野リゾート 界 松本〉
客室全26室のうち15室は専用露天風呂付き。8種13通りの湯あみが楽しめる大浴場は男女入替制で一泊二日の両日、到着してから翌日までたっぷり楽しめる。
■長野県松本市浅間温泉1-31-1
■0570-073-011(9:00~20:00/界予約センター)
(Hanako1147号掲載/photo : Chihiro Ishino text : Shizuka Horikawa)