作家や漫画家、編集者など。 業界人4人に聞いた、都内のお気に入り散歩コースとは?グルメ・スイーツスポットも要チェック!
幼い頃からなじみのある道、ふらっと入って見つけた小道。外を歩いて出合えた自分だけの“好きな道”を、作家や漫画家、編集者など業界人4人に教えてもらいました。グルメ・スイーツスポットも要チェック!
作家・山内マリ子さん…吉祥寺のはずれの住宅街「なんてことのない住宅街こそ貴重な散歩道」
東京に来てはじめて住んだのが吉祥寺のはずれの、なんの変哲もない住宅街でした。改めて思い返すと、ここがすごく素敵なところだった!人でごった返す駅周辺から、自転車で数十分ほど離れた静かな一角。畑が多く雑木林もちらほら残っていて、とにかく自然が豊か。春は武蔵野市役所前の道に植わった桜の街路樹がとてもきれいで、5月は千川上水沿いの小径が青々した新緑でむせ返るようになり、そこだけ空気がもわっと濃くなる。
そして秋は成蹊大学のケヤキ並木が本当に美しい!周辺の住宅街には個性的で可愛い家がたくさんあるので、きょろきょろしながら散歩するのも楽しいです。
山内マリ子/作家。1980年富山県生まれ。主な作品に『ここは退屈迎えに来て』『アズミ・ハルコは行方不明』『皿洗いするの、どっち? 目指せ、家庭内男女平等!』『あのこは貴族』など。
まんが家、コラムニスト・渋谷直角さん…五本木交差点辺りの小径「祐天寺の街を支えている逆パワースポット!」
五本木交差点の脇道を入った先の〈海新山〉は、相当昔からあるラーメン屋。
店内は異様なムードで、祐天寺の逆パワースポットのような場所。宇宙の話ばっかりしているオヤジさんがやっていたんですけど(数年前に亡くなられてしまった…)、僕が行ったとき、そのオヤジさんになぜか「横尾忠則の弟子なのか」とカンチガイされ、「ええ、まあ…、はい…」となぜか頷いてしまい、引くに引けなくなってしまったのが思い出。コラーゲンがウリなので女性に良いかも(責任は取れず)。この店が無くなると、ここ一帯の磁場がオカシくなってしまうんじゃないかという不安にかられます(笑)。
渋谷直角/まんが家、コラムニスト。雑誌などで連載多数。原作を手がけた映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』など。
漫画家・松本ぷりっつさん…馬場大門のケヤキ並木「今でも心が癒される、思い出のケヤキ並木」
高校生の頃からよく遊びに行った府中。好きな通りは府中駅前から大國魂神社へ続く馬場大門のケヤキ並木。とても大きなケヤキで、夏も涼しく、歩いていて気持ちがいい道です。再開発が進む駅周辺は整備されてお店も増えましたが、この通りには歴史や風情を感じることができて、なんだか心が癒されます。
その先にある大國魂神社の境内ものんびりお散歩するにはオススメ。自然に囲まれた大好きなパワースポットです。
神社からすぐの〈モナムール〉というカフェは、高校生の頃にダンナと入った思い出のお店。スイーツバイキングもあるので、今度は家族で行ってみたいなあと思います!
松本ぷりっつ/漫画家。1974年埼玉県生まれ。子育ての実体験ブログを書籍化した『うちの3姉妹』で注目を集める。最新作は食べ歩きコミックエッセイ『ぶらりうまいもの散歩』。
編集者・若菜晃子さん…八王子の加住丘陵「都心から離れて、のんびりと歩ける穴場です」
八王子市にある加住丘陵は人に教えたくない散歩道の一つ。以前、東京周辺の丘歩きがテーマの本をつくったときに見つけた、特にお気に入りの場所です。
クヌギやコナラの雑木林に囲まれた緩やかな小道には、鳥のさえずりが聞こえることから「しじゅうからの小道」「かわせみの小道」などの鳥の名前がついています。
ひよどり山まで登り切ると抜けが良い草原にベンチがあって、お昼寝スポットとしては秀逸。アウトドアは“気楽に行ける”ことが何よりも大事。この丘はスニーカーでオッケー。
好きなパンと、家の冷蔵庫に入っていたハムとチーズを持って行く、くらいのノリでどうぞ。
若菜晃子/編集者。大学卒業後、山と溪谷社に入社。『山と溪谷』副編集長を経て独立。現在はリトルプレス『mürren(ミューレン)』を定期的に発行。著書に『東京周辺ヒルトップ散歩』などがある。
(Hanako1133号掲載/photo : Asami Minami text : Satoko Muroga, Shin Francis Miyagi)