作家や漫画家、編集者など。 業界人4人に聞いた、都内のお気に入り散歩コースとは?グルメ・スイーツスポットも要チェック!

LEARN 2019.06.11

幼い頃からなじみのある道、ふらっと入って見つけた小道。外を歩いて出合えた自分だけの“好きな道”を、作家や漫画家、編集者など業界人4人に教えてもらいました。グルメ・スイーツスポットも要チェック!

作家・山内マリ子さん…吉祥寺のはずれの住宅街「なんてことのない住宅街こそ貴重な散歩道」

JR吉祥寺駅から五日市街道を西にしばらく歩いて、成蹊大学の美しいケヤキ並木を抜けると、カラフルで可愛らしい家が並ぶ住宅街へと辿り着く。近くには桜の街路樹や千川上水など豊かな自然もあり、近所の人がのんびりと散歩を楽しむ姿も多く見られる。
JR吉祥寺駅から五日市街道を西にしばらく歩いて、成蹊大学の美しいケヤキ並木を抜けると、カラフルで可愛らしい家が並ぶ住宅街へと辿り着く。近くには桜の街路樹や千川上水など豊かな自然もあり、近所の人がのんびりと散歩を楽しむ姿も多く見られる。

東京に来てはじめて住んだのが吉祥寺のはずれの、なんの変哲もない住宅街でした。改めて思い返すと、ここがすごく素敵なところだった!人でごった返す駅周辺から、自転車で数十分ほど離れた静かな一角。畑が多く雑木林もちらほら残っていて、とにかく自然が豊か。春は武蔵野市役所前の道に植わった桜の街路樹がとてもきれいで、5月は千川上水沿いの小径が青々した新緑でむせ返るようになり、そこだけ空気がもわっと濃くなる。

地元の子供たち御用達の立野公園。春には桃の花が咲く中国式の庭園や大きな噴水など、見どころが多い。■東京都練馬区立野町32-1
地元の子供たち御用達の立野公園。春には桃の花が咲く中国式の庭園や大きな噴水など、見どころが多い。■東京都練馬区立野町32-1
成蹊大学のキャンパス内にあるケヤキ並木。美しい景色はもちろん、木々が奏でる心地よい音に耳を澄ませながら歩くのもいい。
成蹊大学のキャンパス内にあるケヤキ並木。美しい景色はもちろん、木々が奏でる心地よい音に耳を澄ませながら歩くのもいい。

そして秋は成蹊大学のケヤキ並木が本当に美しい!周辺の住宅街には個性的で可愛い家がたくさんあるので、きょろきょろしながら散歩するのも楽しいです。

〈pâtisserie A.K Labo〉のケーキは見た目も美しく味も絶品。手土産に喜ばれる焼き菓子もそろう。■東京都武蔵野市中町3-28-11
〈pâtisserie A.K Labo〉のケーキは見た目も美しく味も絶品。手土産に喜ばれる焼き菓子もそろう。■東京都武蔵野市中町3-28-11

山内マリ子/作家。1980年富山県生まれ。主な作品に『ここは退屈迎えに来て』『アズミ・ハルコは行方不明』『皿洗いするの、どっち? 目指せ、家庭内男女平等!』『あのこは貴族』など。

まんが家、コラムニスト・渋谷直角さん…五本木交差点辺りの小径「祐天寺の街を支えている逆パワースポット!」

東急東横線の祐天寺駅と学芸大学駅のちょうど真ん中辺りに位置する五本木の交差点。にぎやかな駅前の商店街から少し離れたこのエリアは、小学校や保育園もある住宅街で、穏やかな空気が流れている。店主のこだわりが光る、こぢんまりとした飲食店がちらほら。
東急東横線の祐天寺駅と学芸大学駅のちょうど真ん中辺りに位置する五本木の交差点。にぎやかな駅前の商店街から少し離れたこのエリアは、小学校や保育園もある住宅街で、穏やかな空気が流れている。店主のこだわりが光る、こぢんまりとした飲食店がちらほら。

五本木交差点の脇道を入った先の〈海新山〉は、相当昔からあるラーメン屋。

コラーゲン豊富な「上上ラーメン」1,500円と「餃子」400円(各税込)。スープは飲み干すのが〈海新山〉流。■東京都目黒区五本木2-53-8
コラーゲン豊富な「上上ラーメン」1,500円と「餃子」400円(各税込)。スープは飲み干すのが〈海新山〉流。■東京都目黒区五本木2-53-8

店内は異様なムードで、祐天寺の逆パワースポットのような場所。宇宙の話ばっかりしているオヤジさんがやっていたんですけど(数年前に亡くなられてしまった…)、僕が行ったとき、そのオヤジさんになぜか「横尾忠則の弟子なのか」とカンチガイされ、「ええ、まあ…、はい…」となぜか頷いてしまい、引くに引けなくなってしまったのが思い出。コラーゲンがウリなので女性に良いかも(責任は取れず)。この店が無くなると、ここ一帯の磁場がオカシくなってしまうんじゃないかという不安にかられます(笑)。

レーベル兼レコードショップ〈Jazzy Sport〉。2010年に渋谷から移転。店のオリジナルグッズも展開。■東京都目黒区五本木3-17-7
レーベル兼レコードショップ〈Jazzy Sport〉。2010年に渋谷から移転。店のオリジナルグッズも展開。■東京都目黒区五本木3-17-7

渋谷直角/まんが家、コラムニスト。雑誌などで連載多数。原作を手がけた映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』など。

漫画家・松本ぷりっつさん…馬場大門のケヤキ並木「今でも心が癒される、思い出のケヤキ並木」

府中駅前から大國魂(おおくにたま)神社まで約500m続く馬場大門のケヤキ並木は、国の天然記念物指定の、府中市のシンボル。四季折々で葉の色を変えるケヤキのトンネルを通るたび、都会の喧騒を忘れる美しい景観。これからの季節は、青々とした新緑を楽しめそう。
府中駅前から大國魂(おおくにたま)神社まで約500m続く馬場大門のケヤキ並木は、国の天然記念物指定の、府中市のシンボル。四季折々で葉の色を変えるケヤキのトンネルを通るたび、都会の喧騒を忘れる美しい景観。これからの季節は、青々とした新緑を楽しめそう。

高校生の頃からよく遊びに行った府中。好きな通りは府中駅前から大國魂神社へ続く馬場大門のケヤキ並木。とても大きなケヤキで、夏も涼しく、歩いていて気持ちがいい道です。再開発が進む駅周辺は整備されてお店も増えましたが、この通りには歴史や風情を感じることができて、なんだか心が癒されます。

ケヤキ並木を抜けたら大國魂神社がお出迎え。縁結び、厄除け・八方除けの神様、パワースポットとしても有名。■東京都府中市宮町3-1
ケヤキ並木を抜けたら大國魂神社がお出迎え。縁結び、厄除け・八方除けの神様、パワースポットとしても有名。■東京都府中市宮町3-1

その先にある大國魂神社の境内ものんびりお散歩するにはオススメ。自然に囲まれた大好きなパワースポットです。

洋菓子とイタリアンの〈モナムール清風堂〉。苺を贅沢に使用した「モナムール」は500円(税込)。■東京都府中市宮町2-1-1
洋菓子とイタリアンの〈モナムール清風堂〉。苺を贅沢に使用した「モナムール」は500円(税込)。■東京都府中市宮町2-1-1

神社からすぐの〈モナムール〉というカフェは、高校生の頃にダンナと入った思い出のお店。スイーツバイキングもあるので、今度は家族で行ってみたいなあと思います!

フードコートも充実の〈東京競馬場〉は競馬初心者でも安心。休日に家族で出かけることも多いそう。■東京都府中市日吉町1-1
フードコートも充実の〈東京競馬場〉は競馬初心者でも安心。休日に家族で出かけることも多いそう。■東京都府中市日吉町1-1

松本ぷりっつ/漫画家。1974年埼玉県生まれ。子育ての実体験ブログを書籍化した『うちの3姉妹』で注目を集める。最新作は食べ歩きコミックエッセイ『ぶらりうまいもの散歩』。

編集者・若菜晃子さん…八王子の加住丘陵「都心から離れて、のんびりと歩ける穴場です」

八王子駅から10分ほどバスに揺られ、さらに歩いた先にある加住丘陵。都立小宮公園として整備され、ヒヨドリやシジュウカラの鳴き声が聞こえる雑木林の散歩道が広がっている。標高は約160mで、1時間ほどあれば1周できる。ほぼ地元の人しか訪れない穴場。
八王子駅から10分ほどバスに揺られ、さらに歩いた先にある加住丘陵。都立小宮公園として整備され、ヒヨドリやシジュウカラの鳴き声が聞こえる雑木林の散歩道が広がっている。標高は約160mで、1時間ほどあれば1周できる。ほぼ地元の人しか訪れない穴場。

八王子市にある加住丘陵は人に教えたくない散歩道の一つ。以前、東京周辺の丘歩きがテーマの本をつくったときに見つけた、特にお気に入りの場所です。

山頂からの帰りは「かわせみの小道」を通り、せせらぎに耳を澄まして。木立の中を流れる小さな沢は、弁天池へとつながっている。
山頂からの帰りは「かわせみの小道」を通り、せせらぎに耳を澄まして。木立の中を流れる小さな沢は、弁天池へとつながっている。

クヌギやコナラの雑木林に囲まれた緩やかな小道には、鳥のさえずりが聞こえることから「しじゅうからの小道」「かわせみの小道」などの鳥の名前がついています。

見晴らしの良い山頂の草原に佇むコブシの木。ベンチで昼寝するもよし、お弁当を広げるもよし。時間を忘れてのんびり過ごせる場所。
見晴らしの良い山頂の草原に佇むコブシの木。ベンチで昼寝するもよし、お弁当を広げるもよし。時間を忘れてのんびり過ごせる場所。

ひよどり山まで登り切ると抜けが良い草原にベンチがあって、お昼寝スポットとしては秀逸。アウトドアは“気楽に行ける”ことが何よりも大事。この丘はスニーカーでオッケー。

駅から約5分の〈伊勢屋本店〉は創業80年超の老舗和菓子店。お団子や細巻きを買って丘歩きに出発!■東京都八王子市八日町10-3
駅から約5分の〈伊勢屋本店〉は創業80年超の老舗和菓子店。お団子や細巻きを買って丘歩きに出発!■東京都八王子市八日町10-3

好きなパンと、家の冷蔵庫に入っていたハムとチーズを持って行く、くらいのノリでどうぞ。

20170411wakana

若菜晃子/編集者。大学卒業後、山と溪谷社に入社。『山と溪谷』副編集長を経て独立。現在はリトルプレス『mürren(ミューレン)』を定期的に発行。著書に『東京周辺ヒルトップ散歩』などがある。

(Hanako1133号掲載/photo : Asami Minami text : Satoko Muroga, Shin Francis Miyagi)

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