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連載「拝啓、〈星〉へいらっしゃいませんか?」/第14回 予約半年以上待ち!?ローカルに大人気のプライベート・ダイニングへ。【元ハナコのシンガポール書簡】
第14回は、いま、シンガポールでもっとも予約が取りづらいとささやかれる広東料理店をご紹介。自宅で料理を供するプライベート・ダイニングが流行中ですが、なかでもウェイティングリストが群を抜いて長いのが〈Lucky House Cantonese Private Kitchen〉です。
今回お伝えするのは、シンガポールのごはんシーンについて。
最近、グルメなローカルの間でプライベート・ホーム・ダイニングがはやっています。自宅で料理を提供するシェフが増えているんです。なかでももっとも予約を取りづらいと言われるのが〈Lucky House Cantonese Private Kitchen 陶然居〉 。
この人気店にお邪魔することができたのは、店名のとおり、ラッキーで。友人がSNSに「おもしろい広東料理屋さんに行ってきた。おいしかったので次回の予約も取ってきた!」とアップしていたのを目ざとく見つけ、友人に速攻でメール。次回メンバーに名乗りをあげました。それが同店。ちなみにその時点で、予約日は5か月後!
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こうしてワクワクしながら向かった、シンガポール東部の住宅街。看板も何も出ていないので、友人から外観の写真を事前にシェアしてもらっていなければ、戸を開ける勇気は持てなかったと思います。
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建物はシェフのサム・ウォンさんのご自宅で、1階の2部屋がダイニング。
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玄関で靴を脱いで入ると、エントランスにはサムさんの器コレクションがずらり。「人数がそろうまで、自由にくつろいでね」とサムさん。
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なんだかレストランに来たというより、ホームパーティにお呼ばれした感覚。
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全員そろったら、食事スタート。8皿のコースが、順に運ばれます。印象としては、これは単なる食事ではなく、サムさんのオンステージ。
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どこでとれた食材なのか、どうやって作ったのか、一品ずつていねいな説明とともに(笑いの要素もあって、おもしろい)、取り分けてくださいます。
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たとえばこのスープ。金華ハムをウコンとピーナッツと合わせて炭火で8時間以上煮込んだのだそう。味つけはほぼしておらず、金華ハムの塩分のみ。が、各素材の旨みが抽出されていて、物足りなさはないどころか、奥ゆきを感じさせ、じんわりと身体に染み渡るよう。
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そのほか、エシャロットの香りのパンチがきいたチキン、獲れたての魚の蒸し物、魚醤と醤油で2日間漬けてから表面を天日干ししたローストダックなど、おいしいのはもちろん、独創性、プレゼンテーションの楽しさに圧倒されました。
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ちなみにサムさん、なんと靴の卸会社の経営者で、料理は独学。幼いころから祖母の台所に出入りし、料理に興味を持ったのだそうな。なるほど、ユニークなメニューが多いわけですね。
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惜しむらくは、コース終盤に我が子(当時5か月)がぐずり始め、最後の一品を前に帰らざるをえなかったこと……。
予約はかなり先まで埋まっています。ですので、予約が取れ次第、その日程でシンガポール旅を企画するのがいいかもしれません。わたしは、友人が次回の予約も取ったそうなので、再びメンバー入りさせてもらえるよう、アピールしたいと思います。
〈Lucky House Cantonese Private Kitchen 陶然居(ラッキー ハウス カントニーズ プライベート キッチン)〉
MRT East West Line(緑色)「Bedok」駅より137番バスに乗車し「Evergreen Garden」停留所にて降車。停留所のほぼ目の前。※市内からタクシーで約20分
■267 Upper East Coast Road, Singapore 466413
■18:30〜22:00 土日休
■+65-9823-7268
■コースSGD80(税別)のみ。コースの皿数は人数によって変動。ドリンクはお茶のみ。その他の飲み物は各自持参。
■https://www.facebook.com/LuckyHouseCantonesePrivateKitchen/
プチコラム…「ハローベビー!子連れフレンドリーなシンガポール」
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シンガポール内の移動には、MRT(電車)やバスが便利。MRTは各駅にエレベーターが設置されています。長椅子を外し、車椅子とベビーカーが広々と乗車できるようになっている新車両も登場。
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バスの場合は降車扉の方が広いので、「後ろから乗らせてください」と運転手に伝えて後ろから乗るのがお薦め。電車にせよ、バスにせよ、「手伝うよ!」と声をかけてくれる人がとにかく多いので、公共交通機関を使っての移動もスムーズです。