【副業女子に突撃インタビュー】第5回 大手電機メーカーに勤めながら“社長”&“大学の先生”!?副業女子・正能茉優さんのパラレルワーカーとしての生き方。

LEARN 2019.06.19

働き方改革で脚光を浴びている、“副業”。収入アップが見込めるのはもちろん、キャリアアップにつながって起業することだって夢じゃない!ただ、興味はあるんだけど、何をすればいいのかわからない……なんて人も多いはず。そこで、副業をエンジョイしている女性たちにインタビューしてきました。この記事をヒントにして、副業を始めてみませんか。

副業は、普通の人でも好きなことを仕事にできる唯一の手段。

大手電機メーカーに勤めつつも、“社長”そして“大学院の特任助教”としても働く、正能茉優さん。そんな彼女に副業の魅力について聞くと、「副業は、普通の人でも自分の好きなことにチャレンジできる働き方だと思います。好きなことだけを仕事にして生きていくって、なかなか勇気のいること。だから普通の人はできないんです。でも、好きなこと“も”仕事にする副業なら、そんなに構えずに好きなことに挑戦できると私は考えています」という答えが返ってきました。正能さんが複数の職を持つパラレルワーカーになった経緯や、副業についての考え方を教えてもらいましたよ。

副業_正能茉優2

■本業と副業の内容について教えてください。
「勤めている会社は、正社員として、週5日勤務で働いています。と同時に、学生時代に立ち上げた〈ハピキラFACTORY〉という会社の代表取締役を務めています。このお仕事は、平日の夜や、週末にしている感じです。また、去年の4月から慶應義塾大学大学院特任助教として、長野県小布施町で学生たちと新事業創造プログラムも始めました」

■3つも仕事があると、混乱したりしませんか?
「混乱はしませんが、毎日が“夏休みの最終日”みたいな感じです。(笑)『今日中にこれをやらなきゃ』ということが毎日、登場します。これらの仕事以外にも雑誌の連載を持っていたりするので、それは会社のお昼休みに書いたり。テレビやラジオに出演させて頂くときは、出社前の時間に出るといった感じです」

商品のパッケージや売り方、販路までを徹底的にプロデュースする!

■〈ハピキラFACTORY〉では、どんな事業をされているんですか?
「地域にある“パッケージはいまいちだけど中身は素敵な商材”を、女性の目線で可愛くプロデュースしています。ただ、それだけでは確実な売り上げにはつながらないので、その商品とお客様の接点づくりも同時に行っています。その商品のターゲットに合った販路を、メーカーさん一緒に開拓したり、というイメージです」

正能さんが商品化をサポートした、石井食品の「どこでもミートボール」
正能さんが商品化をサポートした、石井食品の「どこでもミートボール」

■最近のイチオシの商品を教えてください。
「最近お手伝いさせて頂いた商品では、千葉県船橋市に本社がある石井食品さんの『どこでもミートボール』がイチオシです。このミートボールは、もともとお弁当用のおかずとしてお客様に選ばれる商品だったのですが、このミートボールのいいところは「あたためなくてもおいしいところ」。だったら、新幹線の中で飲むときのおつまみや、おにぎりを食べる時のおかずとしてもおいしいのでは?と思い、商品化しました。
従来のおいしい味はもちろん、どこでも食べやすいことを心がけました。いろいろなケースに詰めて食べてみたり、ソースの量を調整してみたり。本当においしくて食べやすい商品なので、私も出張帰りに、ビールと一緒に買っています。(笑)この石井食品さんでは、東京・恵比寿にある恵比寿ガーデンプレイスの三越さんにオリジナルショップをオープンしたのですが、そのパッケージやコンセプトも弊社でお手伝いしました。メーカーさんは商品づくりに一生懸命で、外見にまで手が回らないことも多い。そこで、私たちが代わりに魅力的な箱を作って、売り方を考えていくお手伝いをさせて頂いています」

小布施町を盛り上げるために作った栗菓子を売るために起業!

■起業をしたきっかけは?
「大学生のときに、長野県小布施町に行ったことがきっかけです。そこで出会った、小布施に住んでいる人たちが、『小布施に住んでいることを、誇りに思っていること」に衝撃を受けました。私は東京で生まれ育ったのですが、そんなことは一度も思ったことがなくて。こんな精神的に豊かに暮らせる場所があることに、驚きました。そこで、もっといろいろな人に小布施のことを知ってほしいなと思って“小布施若者会議”というイベントを開催したんです。
このイベント自体は、全国から240人の若者が集まってくれて、大盛況に終わったのですが、女性の参加者が圧倒的に少なかった。どうしたら、女性にも小布施のことを知ってもらえるのかな?と考えた時に浮かんだのが、『かわいい」というキーワードでした。かわいいものを手に取って、それが結果として、小布施のものだったという形で、町のことを知ってもらおうと。最初に作ったのは、小布施の特産物である『栗鹿の子」をバレンタイン商品にした『かのこっくり』という栗菓子でした。これを販売したのが、私たち〈ハピキラFACTORY〉の始まりです」

オンリーワンの存在になって、自分の価値を高めたかった。

副業_正能茉優

■社長を務めながら、本業を続けている理由は?
「兼業という道を選んだ理由は、オンリーワンの存在を目指したかったから。私たちミレニアル世代って、仕事も、家族も、友達も、自分の時間も、全部大事にしたい世代なんですだから人生のすべてを仕事に使わずに、いろいろなことに時間を使いたい。
でも、日常のちょっとしたことで我慢はしたくないんです。大金持ちになりたいという気持ちはないけれど、紅茶を飲む時はロイヤルミルクティーを飲みたい(笑)。そうすると、他の人より短い時間しか働けないのに、1.3倍くらいお金がかかる人生なんですよね。だから、1時間当たりの自分の価値を最大化するにはどうするかを考えて、オンリーワンの存在になろうと思いました」

仕事を作るという経験が、将来のキャリアの選択肢を増やす。

小布施でのゼミ合宿での写真
小布施でのゼミ合宿での写真

■3つ目の仕事である、大学院の特任助教の内容について教えてください。
「2018年の4月から慶應義塾大学大学院にて特任助教をしています。学生たちと取り組んでいるのは『長野県小布施町での新事業創造プログラム』です。学生たちの好きなことや得意なことを小布施という町で活かして、仕事にしていくというプログラムになります。私自身の経験を考えた時、自分の手で仕事をつくるという経験、自分のやったことがお金になるという成功体験をすることは、人生の選択肢を増やすことにつながると考えています。
その選択肢をもったうえで就職したら副業という働き方になりますし、それ1本でいくとなると起業という選択肢にもつながってきます。私はこのプログラムで、そういった活動をしたい学生たちの相談と一緒に、事業のアドバイスをしたり、人を紹介したりする係りです。今年は、学生たちの取り組む全6プロジェクトを事業化していこうとしています」

副業であれば、好きなこと“も”仕事にできる。

■副業の魅力はどんなところにありますか?
「副業であれば、好きなこと“も”仕事にできることですかね。最近よく『好きなことで生きていく』なんて言われていますが、それって普通の人にとってはなかなかハードルが高い。『もし失敗したらどうしよう』と思っているうちに、やりたい気持ちも減ってきて、時間ばかりがたってしまうっていう人がほとんどだと思います。ただ副業なら、失敗しても戻る場所がある。中長期的に成功を目指せばいいし。好きなこともやりたいなって思ったら、両方やったらいいじゃないかなと思います」

■副業の収入面のメリットはありますか?
「結果論ではありますが、そこももちろんあると思います。私はいまのところ、会社員、社長、特任助教、と3つの収入源があるのですが、どれかがうまくいかなくなっても食べていけるからそこはありがたいですね。ただ、かといって、もっとお金持ちになりたいわけではないんです。ラーメンには煮卵つけたいチャーシューつけたいとか、ちょっとした贅沢を迷わないくらいのお金があればうれしいです」

お金よりも、自分の好きなことを活かして副業をした方がいい。

■副業をするうえで注意することはありますか?
「今やっている仕事が好きなことじゃない場合、お金を稼ぐことだけを目的に副業する“売れない芸人さんのバイト”モデルの副業は、あまりおすすめしないです。お金が第一義にくるのであれば、本業でお金をもっともらえる方法を考えた方がいい。
だって、アドオンの考え方で収入を増やすとなると、両方やりたいわけじゃないのに、ずっとその働き方をすることになってしまいますから。私のおすすめは、まずはお金をとりあえずおいて、好きなことをやってみること。それが結果として収入アップにつながったり、その仕事だけで食べていけるようになったりしたら幸せかなと思います。」

(edit:yuma tsujino text:osamu sasaki)

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