全国の温泉ファンが待ちわびた足元湧出の極上湯。 南阿蘇の秘湯・地獄温泉 〈青風荘.〉 が日帰り入浴を再開。大自然の中で交互浴を楽しめる〈すずめの湯〉とは。
熊本地震本震から3年目の2019年4月16日、熊本県南阿蘇村の地獄温泉 〈青風荘.〉が日帰り入浴を再開しました。今回は一部リニューアルして生まれ変わった〈すずめの湯〉をレポートします。
3千人以上のボランティアの協力の元再開となった〈すずめの湯〉。
〈地獄温泉〉は阿蘇五岳の一つ、烏帽子岳の山麓に湧く温泉です。200年以上の歴史があり古くから湯治場として人々を癒してきました。
しかし、2016年の熊本震災とその後の豪雨による土砂崩れで大きな被害を受け道路は寸断。宿泊施設や温泉のほとんどが土砂に埋もれ、8つあった温泉のうち唯一無事残ったのが〈すずめの湯〉でした。
その後、3千人以上のボランティアの協力も得ながら土砂撤去に尽力、崩れた施設の解体作業を続けてこられました。
周辺の道路はまだ復旧工事が続くものの、8:30~18:00の通行が可能になり日帰り温泉〈すずめの湯〉の再開に至りました。営業時間は10:00~17:00(最終受付16:00)です。
再開にあたっては「水の苦労を避けたい」との思いから〈清風荘〉の屋号からさんずいを取り〈青風荘.〉に名前を変更。青く爽やかな風が吹き抜けていくような屋号は、山々に囲まれた静かで美しい土地にふさわしく感じられます。
魅力は泉質の素晴らしさ。全国でも珍しい足元湧出で人々に親しまれてきた〈すずめの湯〉。
日帰り入浴は大人1,200円。受付で料金を支払うとバスタオルとロッカーのカギを渡してくれます。混浴なので水着か湯あみ着の着用が必須。湯あみ着は男性用600円、女性用1,100円で販売されています。
木のぬくもりと清潔感が感じられる脱衣所。元からあった施設に繋げる形で新設されました。
脱衣所の横には内湯があります。ここで身体を流してから外の混浴露天へ行く流れです。
露天には「あつ湯」「ぬる湯」「冷泉」の3つの浴槽があります。まずはぬる湯やあつ湯で身体をしっかり温めてから冷泉へ行くのがおすすめです。温泉からは硫黄の香りが濃厚に漂っています。
〈地獄温泉〉が長く人々に親しまれてきた大きな理由の一つが泉質の素晴らしさです。〈すずめの湯〉は全国でも珍しい足元湧出で、ぷくぷくと湯船の底からお湯が湧き続けています。さらに源泉の温度が41.8度と適温なので、ほとんど薄めることなく新鮮なお湯を堪能できます。調節のために少し加える水も冷泉(冷たい温泉)という徹底ぶり。
美肌成分であるメタケイ酸が豊富な泉質なので湯上りは肌がしっとりします。さらに、湯船底の泥を肌に塗ってパックのように利用できます。
太陽の光が水に反射してきらめく冷泉。眺望が抜群です。イメージは北欧サウナだそう。湖のそばでサウナをしてそのまま水に飛び込む北欧のように、自然の中でリフレッシュして欲しいとの思いから新設されました。
休憩所には自由に飲める水が置いてあるので、水分補給しながらゆっくり過ごせます。この水は名水で有名な白川水源のもの。口当たりがまろやかですっきりとしたおいしい水です。
売店でボトル(110円)とお茶パック(150円)が販売されているので、自分で水出し茶を作れます。温泉に浸かって、冷泉でさっぱりして、お茶を飲んで…と繰り返して過ごしているとあっという間に2時間くらい経ってしまいます。
〈青風荘.〉を運営する『地獄3兄弟』。
〈青風荘.〉を運営するのは河津さん3兄弟。地獄温泉にちなんで地獄3兄弟と呼ばれています。
「災害で打撃を受けても変わらずこんこんと湧き続ける温泉の姿に力を貰いました」と河津さん。
3年という長い歳月復旧に尽力してこられたのはたくさんのボランティアが駆けつけてくれたおかげ。そして、施設の解体工事をする中でここを作った人たちの足跡に触れたからだそう。
「湯治場は痛みや病気を抱えた人が救いを求めてやってきた場所です。そんな人たちに寄り添うように、遠い昔先祖たちは苦労してこの場所に旅館を建て営業してきたことが改めて実感できました。これからも湯治場としての役割を守っていきたいです」
2019年4月の旅館再開に向け、〈青風荘.〉は新たな一歩を踏み出しています。
〈地獄温泉 青風荘.〉 「すずめの湯」
■熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽2327
■080-2784-6671(9:00〜18:00)
■10:00〜17:00(16:00最終受付 火休 (祝祭日は営業) ※別途振替休日(HP、FB等で告知)
■日帰り入浴のみ
■〈地獄温泉 青風荘.〉公式サイト(http://jigoku-onsen.co.jp/)
日帰り入浴が再開されたとはいえ、まだ周辺では道路の復旧工事や旅館の再建作業などが続いています。
特に、地獄温泉に続く道路は道幅が狭くなっており工事車両が作業中のこともあるため、誘導員の指示に従ってゆっくり安全運転で訪問してください。
道路状況などの最新情報は〈青風荘.〉facebookページ(https://www.facebook.com/jigokuonsen/)から確認できます。