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花井悠希の朝パン日誌 vol.32 ハロウィン狂詩曲…〈BOULANGERIE KEN〉と〈MAISON KAISER〉
去年もハロウィンなパンを紹介した気がしますが、今年もしちゃいますよ!?だって何を隠そう私、ハロウィンの飾り付けやモチーフが全てのイベントごとの中で1番好きなんですもの。お化けに黒猫、コウモリや指(最近リアルな指パンによくギョッとしてる…)、様々に仮装したパンを見つけるとお家に連れて帰りたくなってしまうから、このところ毎日お化け達を食べている気がします(笑)。ハロウィン狂…。
愛嬌たっぷりなゴースト揃ってます…〈BOULANGERIE KEN〉
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これこそ、憎らしいほど愛らしいというやつか。ハロウィン狂な私を小馬鹿にするような(←被害妄想)ひょうきんな表情は絶妙にイラッと感も煽りつつ(笑)、絶妙な可愛げがあって、一目見て連れて帰ることを決めました。
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こういうイタズラ顔って、ハロウィンくらいしか見られない気がするからハロウィンチェック、やめられないんです。
こちら紫芋とホワイトチョコのベーグルとなっております。一口入れたら、およよ?モチモチ感とほんのり塩味…どこかで食べたことのある味に似ている……。そうか!紫芋の風味も相まって、鬼まんじゅうだ!!確かにベーグルの弾力性なのだけど、それに気づいてしまってからは和を意識させられます。
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でも、真ん中のホワイトチョコ部分がとろけ出すと(レンジで30秒くらい温めました)、ホワイトチョコならではのとろりとした丸みを帯びた甘さが和のテイストを絡めとり、カスタードクリームのような滑らかさでお口全体を包みます。ホワイトチョコレートのこの、黒いチョコレートほどガツンとまっすぐチョコ主張をしない控えめなキャラクター嫌いじゃないんだよなぁ。分かる、分かるよ。ホワイトチョコレートだから紫芋に寄り添えるのよね(誰)。
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顔!!どうした!?と思わずツッコミを入れたくなる破茶滅茶フェイス。イッチャッテマス。
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この子は中にキャラメルチョコを抱えたかぼちゃベーグル。こちらも甘さ控えめなモチモチ生地。温めるとさらにバウンドするような跳ねっ返りで、兎にも角にも活きがいいです(笑)。かぼちゃ感は控えめながら中のキャラメルチョコがすべての甘さを請け負います。
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キャラメルがつく食べ物はだいたい好きな私(好物多すぎってツッコミは受け付けません)、口内をキャラメルがたゆたう時間をしばし目を閉じ楽しみます。この胸の奥にクンっと届く甘み、キャラメルだ。秋だ。カフェオレに合うやつだ。
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(仮)は私がつけたのではありません。店頭にてそう書いてあったのです。"クロワッサンのミルフィーユ風"とのことで「クロフィーユ」。いいネーミングではないか。
こちらのクロワッサン生地がちょっと個性的。基盤のようにしっかりめのパン生地がドンと構えつつ、その層の上下をクロワッサンらしいパリパリ食感の層がサンドするという、初めてのクロワッサン体験です。だから見た目よりもずっしり。でも間にぎっしり色んなものがこぼれ落ちうなほど詰められているから、その全てをまとめるにはこれくらい生地がしっかりしていなきゃなのだなと納得。だってね、ラムレーズン・くるみ・アーモンドクリーム・ベリーヨーグルトのアーモンドクリーム・ブルーベリー・ストロベリー・クランベリー・チョコチップが入っているんですよ。この体でこの子たちを支えているんだもん。そりゃあ基盤がしっかりしているわけです。味がそれぞれ違う方向いったりとっ散らかったりしそうなのに、大黒柱的に生地がいるからちゃんと皆が同じ美味しいに向かっています。最後まで印象に残るのはベリーヨーグルトのアーモンドクリームの層。穏やかな酸味を伴って、大きなクランベリーなどのドライフルーツと生地の橋渡し役を買って出ています。「一人はみんなの為に、みんなは一人の為に」そんな昔聞いたフレーズを思い出しました(パンにもいえるとは偉大な言葉だ…)。
デパ地下に潜む怪物…〈メゾンカイザー〉
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百貨店の中を通り抜けている時、視線を感じたんですよね。控えめに、でもギラギラとした視線。サッと左を向くと、いました。不敵な笑みを浮かべ真っ赤な目をしたこの子が1人ポツンと。最後の一つだったからか、顔はひび割れていて、さらに怖さパワーアップ。連れ帰りましたとも。
こんなに小さいのになにげに秋の味覚てんこもりなところも気に入った!外側クッキー生地はかぼちゃ、トップは紫芋の生地、内側はフランボワーズのフランジパンヌ。あ、てんこ盛りといったけどかぼちゃと紫芋だけだった。まぁまぁ。
この外側クッキー生地、そこだけ食べればちゃんとかぼちゃ感があってニンマリ。ワタクシ、かぼちゃ感と芋感には厳しいのです。
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一口齧れば露わになる真っ赤な生地。外見では気づかなかった真っ赤に、吸血鬼よろしく血が騒いだ私がいます(何者?)。この真っ赤なフランジパンヌはケーキ生地のようなしっとり感。フランジパンヌとは、カスタードとアーモンドクリームを混ぜて焼いたものだそう。色だけじゃなくしっかりとラズベリーの味わいが隅々まで行き渡り、底にはラズベリーコンフィチュールがこんにちは。ラズベリーがちゃんと個体で残っているからつぶつぶした種の感じも出てきて、妖しさが光ります。
トップの紫芋のケーキ生地は表面さっくりとしつつ内側はしっとり、ラズベリーのフランジパンヌに寄り添います。手の平サイズのモンスターは三度美味しいニクいやつでした。
え、次の更新では、もうクリスマスのパンのシーズン!?いつも10月31日を過ぎた次の日から、クリスマスに様変わりする街になかなか慣れない私です。今日ご紹介したものはもちろんハロウィンの10月31日まで。皆様も街に隠れた可愛いモンスターパン達を探してみてくださいね。