リアルに「彼氏欲しいな」って思わせてくる漫画に出合ったのはこれが初めて。|熊元プロレスさんと漫画談義@新宿御苑『GRIN』

ゲスト・熊元プロレス
1990年、兵庫県出身。2014年より、稲田美紀とともにお笑いコンビ「紅しょうが」として活動。好きな食べ物は手羽中の唐揚げとでかい海老。2023年には「女芸人No.1決定戦 THE W」にて優勝。毎週月曜にはラジオ関西Podcast『紅しょうがは好きズキ!』を配信中。
X: @KumamoP
Instagram: @kumamoto.pro
2016年にテレビ朝日に入社。アイドル・アニメ・漫画好き。何かに一生懸命で、表現したいことがあるのにまだ光が届いていない女の子にスポットライトを当てたいとずっと思っている。やりがいは、一生会うこともないかもしれない、どこかにいる誰かの1日の数分でも寄り添えるような番組を作ること。現在は『あのちゃんねる』『サクラミーツ』『ホリケンのみんなともだち』などを担当する。

推薦漫画①『財閥家の末息子』(熊元プロレスさん→小山テリハさん)

作者: SK(原作)・JP(文)・BG(絵)
出版社: LINEマンガ
発表期間: 2022年〜
巻数: 1話ずつ更新、既出154話(2025年9月10日時点)
田舎出身のユン・ヒョヌは大韓民国最高巨大財閥、スニャングループの社員として13年間会社に忠誠を尽くしてきた。 しかしその時の会長の指示により、裏金の処理係として降り立ったモルドバで射殺される。 会社に都合良く利用されあっけなく死んだかと思ったが、目を覚ますと30年の時を遡って財閥一族の末の孫息子チン・ドジュンとして転生していた。
孫と祖父のラリーに痺れる。

以前お話ししたときは少女漫画やドロドロとした恋愛モノを読んでいるっておっしゃっていましたよね。
そのイメージだったので、想像と違ったものをすすめられたな、と思いました。

1年ほど前に電子漫画に手を出すようになってから、復讐や成り上がりをテーマにした作品も読むようになったんです。今回おすすめした『大財閥の末息子』は韓国の巨大財閥社員のユン・ヒョヌが裏金の処理係として車から降り立ったところで射殺されるところから始まります。

目覚めると30年前にタイムリープしていて、財閥一族の末孫息子、チン・ドジュンに転生しているという。そこからドジュンの祖父であり、会長のチン・ヤンチョルに取り入って復讐と頂点を目指すんですよね。
恋愛要素がほぼない代わりに、ずっとビジネスの話をしてるなあと思いました。

そうそう。しかも1話がとにかく長いんですよ。

何度スクロールしても終わらなくて、1話読み終えるのに5分程かかりました(笑)。
ただ、流し読みできない内容ばかりでドラマのような臨場感があるし、主人公がのし上がっていく作品にこれまで触れたことがなかったので新鮮に思えました。あと登場人物がとにかく多い。

登場人物の名前、頑張って覚えてみても、読み進めるとそこまで関係性を理解しなくても大丈夫だな、ってなりますよね。

たしかに。ドジュンは未来を知っているから、相続争いやマネーゲームで優位に進んでいきますよね。彼が勝手に動くことによって、今後どこかで未来が変わってしまうのではないかと気になります。

私以上に小山さんが時間をかけてこの作品に向き合ってくださっているかも(笑)。私はこの作品の痛快さに惹かれているので、小山さんよりざっくり読んでいるかもしれないです。


ドジュンは会長の心を唯一燃やしてくれる存在、というか。最小限の言葉でマネーゲームが進んでいて、結構痺れます。

先ほど小山さんが恋愛要素がないとおっしゃっていましたが、会長ってヒロインみたいな立ち位置なんですよ。そんな会長とドジュンのやりとりが見たくて読んでいる部分もあります。

賢い同士だから一番バイブスが合うんだろうなあ。お互い言葉にせずともそれは感じているし、ドジュンはいかに信頼されるか、ということに重きをおいている気がします。会長を転がすのがめちゃくちゃうまいですよね。

「100点取ったら馬のおもちゃじゃなくて本物の馬が欲しい」って言うところがまさにですよね。こいつは賢いと思ってもらうにはどうしたらいいかを考えて行動するところは勉強にもなる。
でも裏でニヤッとしていたり、韓国のコナンくんみたいなところがあるのも愛らしいです(笑)。

たしかに「計画通り」みたいな顔しますよね。ダークサイドに落ちないことを祈りながら私は読んでいますよ!

ぜひコメント欄にも注目して欲しいです。

コメント欄、見てなかったです!

電子コミックアプリではコメント欄で読者の皆さんが勝手に考察して盛り上がっていたりするので、ライブのように作品を楽しめるんですよ。
印象的だったのが、ドジュンへのご褒美で食べ物がたくさん並んでいる描写へのコメント。肉やお寿司、ケーキを見て「会長は子供の好きな食べ物に興味はないけど、喜ばせたいって気持ちはあるんだね」と書かれていて。ハッとしました。
推薦漫画②『いつも憂き世に こめのめし』(小山テリハさん→熊元プロレスさん)

作者: にくまん子
出版社: ビームコミックス
発表期間: 2021年
巻数: 1巻
周りからは『なんで結婚しないの?』とか聞かれるけど。 ぬるま湯みたいなこの関係が、心地いいから。いいのだ、このままで。 恋人との同棲生活をリアルに描いた作品。
リアルに「彼氏欲しいな」って思わせてくれる漫画に出合ったのはこれが初めて。

にくまん子先生の作品は、適度な下ネタと自虐、共感できる点が多くて、読むたびに「何でこの感情知っているの?!」と思います。
もしかしたら熊プロさんも好きかもしれない、と思って『いつも憂き世に こめのめし』をおすすめさせていただきました。

私が読んできた作品って“漫画だからこそ”みたいな世界観のものが多いので、ここまでリアルな日常モノを読んだのは初めてでした。
自虐もケンカもあるけれど、全編通してずっと幸せなんですよね。いろんな感情を引き出してくれる作品だなと思いました。
あの、これって実話じゃないんですよね…?

私もそこ不思議に思っていて。これは実話じゃなさそうと思える描写はあるんですけど、実話だと言われると信じられちゃうみたいな。
描き方が絶妙ですよね。

そしてとにかく主人公のカップルが理想的。漫画の中の憧れというよりは、現実で好きな人とこんな関係になれたらいいな、と思わせてくるんですよね。


分かります。いくつか短編がある中で、熊プロさんの印象的に残っている話はどれですか?

「のまど」です。
在宅仕事が捗らなくなった彼女が、土曜の昼間に作業できる喫茶店を探すがどこも混んでいて。ようやく見つけた喫茶店は何もかもが高いし、結局何も浮かばないし、みたいな。
元取らなきゃみたいなプレッシャーもあるときほど何も浮かばなくて「自分何してんねん」てなること、私もあります。

「これある!」と思わされるあるあるが散りばめられてますよね。カップ麺を食べる時の音とか。

牛丼はお持ち帰りの器で食べるほうが好きとかね。でもたしかに持ち帰りはうまく感じるよなぁ、と思いました。しかも恋愛モノとしても「むっちゃ好きやねんけど」と思える言い回しが多い。
そういやこの二人って名前ありましたっけ…?

名前ないですよね。それぞれの人の説明もほとんどないかも。よく見たら、友達だと思って見ている人も「友達」とは明言されていないです。

それを気にさせないところがすごいですよね。ちゃんと言うところと、一歩引くところと、守るところと。そのバランスが絶妙。序盤はとんでもない下ネタから始まるのでびっくりしたんですけどね。

「ちんちんはしゃべる」ですよね。こういった目線の話を漫画にしてくれたのが嬉しいし、大好き。違和感もいやらしさもないし、同じような話をしてる子が現実でもどこかにいそうだな、と思えます。

初っ端がこの話なんてカッコいいですよね。
少女漫画を読むときは、第三者として「トキメキをありがとう」みたいな気持ちになるんですけど、この作品には「ほんまに彼氏欲しいな」って思わされましたよ(笑)。
小山テリハさんから熊元プロレスさんへのメッセージカード

この日の対談場所『GRIN』





美味しい……。こんなにたくさんオクラが乗っているピザ、初めて食べました。スーパーに並ぶ一袋分くらいありそうですよね。

季節によってトッピングの野菜は変わるみたいです。オクラのシャキッとした食感が残っているのが嬉しいですね。

「マユリカ」の中谷さんとよくご飯に行くんですけど、中谷さんってピザが好きなんですよね。今度一緒に来てみようかな。

新宿の『ルミネtheよしもと』から近いから、劇場の出番がある日に重宝しそうですね。

確かに。今日いただいた料理も全部美味しいし、今度誘ってみます!
住所:東京都新宿区新宿1-6-3 新宿御苑フロント1F
電話番号:050-1807-1260
営業時間:17:00〜22:00、土〜月11:30〜15:00・17:00〜22:00
定休日:火・水
2024年6月にオープン。新宿御苑沿いに位置し、大きな窓からは外の緑を眺めることができる。店名の「GRIN」はニヤリという意味。素材の旨味や食感を存分に生かしたオリジナルのピザが人気。店内奥にはワインセラーがあり、自身で好きなワインを選ぶことができる。
photo_Hikari Koki text_Nozomi Hasegagwa illustration_Serena Nagai















