寒いけどエアコン苦手…。乾燥させずに部屋を温める方法
気温が低く、室内ではヒーターやエアコンなどの暖房器具を使う機会が増える冬。特に室内の空気の乾燥はピーク状態。体調不良、肌トラブルを引き起こす前に、万全な対策をして備えよう。
illustration_Shoko Takahashi text_Ami Hanashima
ひびの・さわこ/再生医療・アンチエイジングの第一人者として、基礎研究から最新の再生医療の臨床にいたるまで幅広く国際的に活躍。テレビ出演や雑誌掲載なども多い。
〈LIFE HACK1〉乾燥対策=健康面でいいことずくめ。
乾燥のメカニズムを知れば、湿度を上げる以外にも、より快適な解決策が見つかるはず。健康面のリスクの予防にもつながる、今から始めたい乾燥に負けない環境づくりとは。
冬本番を迎え、気温が一気に下がると気になり始めるのが、湿度の低下による空気の乾燥だ。乾燥によって引き起こされるトラブルも多く、肌荒れ、脱水症状のほか、昨今流行しているマイコプラズマ肺炎のようなウイルスによる感染症のリスクを高めるなど、あらゆる面で人に与える影響は大きい。そもそも、冬になると乾燥するのはなぜなのだろうか。そのメカニズムを、医師の日比野佐和子さんに聞いた。
「空気には、飽和水蒸気量(1立方メートルの空気に含むことができる水蒸気量)というものがあり、温度が低くなると含まれる水分も少なくなる性質を持っています。秋冬は気温が低いので飽和水蒸気量も低くなり、湿度も低下しやすくなるんです。さらに、冬は室内で暖房器具を使う機会が増えますよね。そうすると、室内の水蒸気の量は変化しないまま気温だけが上がるので、飽和水蒸気量は増えますが相対湿度(空気中に含まれる水蒸気の量)が下がってしまう。これがいわゆる乾燥という状態です。実は厚生労働省による労働安全衛生法でも、労働者が働く環境における気温と湿度の基準が定められていて、気温は18度以上28度以下、相対湿度は40%以上70%以下となっています。冬の時季は、室温18〜22度、湿度は50〜60%をキープできるといいですね」
最近では保湿や加湿の機能を搭載した家電も増えているが、それ以外にも室内で簡単にできる乾燥対策を積極的に取り入れよう。
「洗濯物の室内干しや、濡れタオルを椅子やソファに掛けるほかに、私もよく実践するのがバスタブにお湯を溜めて、浴室のドアを開けておくこと。加湿器を使っている状態でも、物足りない時は霧吹きを使って空気中に水分を直接いたり、加湿能力の高い観葉植物を置いて、自然加湿を促すのもおすすめです」
一方で、エアコンなどの暖房器具を使う際は、健康のために換気にも気をつけたい。
「換気をすることで、部屋の乾燥を防ぐだけでなく、湿度を一定に保てる場合があります。長時間家を空けた後は、まず換気をしてから加湿、という順番を徹底しましょう。風の入口と出口を作って、最低1日1回は空気の入れ換えをするか、24時間換気システムや換気扇などを活用して、空気の滞留を防ぐことが重要です。窓が一つしかない場合は、換気扇+扇風機を使うなど、空気の流れ道をしっかり作りましょう」
CAUTION!
温低湿は、建物や家具に含まれる水分量が減り、暖房器具よる引火を引き起こす可能性も。さらに、ウイルスにとっては格好の環境、と日比野先生。「湿度が40%以下の空間は、ウイルスが長時間空気中を漂うことになります。これが感染リスクを高めてしまうのです。喉痛やドライアイ、ドライマウス、バリア機能が低下して起こる肌荒れや炎症にも注意を」
そこで、盲点になる対策がインナーケア。粘膜のダメージを補うビタミンBやタンパク質、アミノ酸などのミネラルを摂取する食生活の見直し、温活なども有効だ。「意外と大切なのが、一日に必要な水分量をしっかり摂ること。健康な成人の場合、体重1㎏あたり平均35㎖といわれています。こまめに摂取することを心がけてみてください」
CLINIC DATA
高度な治療技術を提供。
エイジングケアとQOLをコンセプトに、再生医療、美容皮膚科治療、がん治療(免疫療法)などを主に行う。
住所:東京都港区南麻布5-10-26 ヒューリック広尾ビル4F
電話番号:03-6447-7605(予約制)
HP:https://yss-clinic.jp/
〈LIFE HACK2〉ヒーターで部屋を乾燥させずに暖める。
オイルヒーターの先駆け〈デロンギ〉。乾燥しにくい最新のオイルレスヒーターについて、マーケティング部の西岡祐子さんに聞いた。
乾燥の大敵、暖房器具。注目したいのは、温風を出さず部屋全体を暖める“ゼロ風暖房”だ。「加湿されている部屋でも、直接温風が当たると肌の水分が奪われ乾燥してしまいます。ゼロ風暖房は壁や床、天井などに当たって伝わるで風を出さずにじんわり部屋全体を暖めるので、肌や喉の乾燥を和らげ、質の良い睡眠にもつながります」
①風を出さずに部屋全体を暖める。
②肌も喉も乾燥しにくい。
③ホコリを巻き上げず、空気を汚さない。
④やけど、火事が起きにくい。
⑤睡眠環境を整える。
“気になる!”をチェック。
[ Q1 ]選び方のコツは?
基本的には、部屋の広さに合ったものを選ぼう。速暖性やタイマー付きなど、置く場所の環境で決めるのもあり。
[ Q2 ]使う際のポイントは?
暖かい空気は上に上がるので、熱のカーテンを作るように冷気をブロック。窓が2つある場合は大きい方を優先。
[ Q3 ]電気代、高くない?
同じ部屋の広さで同じ温度で温める、となるとエアコンでも普通のヒーターでも、電気代はほぼ変わらない。
[ Q4 ]メンテナンスはどうすれば?
ゼロ風の場合は、ホコリも溜まりにくい。シーズンオフのタイミングで軽く拭いたり、掃除機で吸う程度でOK。
〈LIFE HACK3〉加湿器で部屋の湿度を上げる。
温度と湿度のバランスを上手に保ち乾燥を防ぐには? 暖房・空調製品を中心に扱う〈ダイニチ工業〉に聞いた。
大切なのは暖房器具との上手な併用と広報室の佐藤日那さん。「加湿器には4タイプありますが、水を含むフィルターに風を当てる気化式と、温風で気化を早めパワフルに加湿する温風気化式のハイブリッド型がおすすめ。加湿ムラが少なく過加湿も抑えられます。家にいる間は基本つけっぱなしに。水を使うのでメンテナンスが簡単なものを」
加湿器はメンテナンスが大事。
毎日すること
タンクは水道水で振り洗い。水の入れ替えも忘れずに行うこと。
定期的にすること
2週間に1回、フィルターとトレイは水洗いをする。
シーズン終わりにすること
タンク、トレイなどを水洗い&完全に乾かした状態でしまう。
“気になる!”をチェック。
[ Q1 ]選び方のコツは?
目安よりもひと回り大きいサイズを。
部屋の広さに対しての加湿量不足は、避けたいところ。推奨よりひと回り大きいサイズを選ぶと、より安心だ。
[ Q2 ]使う際のポイントは?
エアコンとの併用は、さらに効果的。
できれば加湿した空気にエアコンの風が当たる場所、無ければ部屋の真ん中に設置して部屋中に水分を。
[ Q3 ]電気代、高くない?
ecoモードがある場合は活用するべし。
加湿量が担保された後は、ヒーターを使わない気化式のみで運転する「ecoモード」に切り替えると節約に。
[ Q4 ]メンテナンスはどうすれば?
水を使う製品なので入念に掃除を。
特に気化フィルターは、臭いが気になったら重曹、水アカはクエン酸でつけ置き洗いを。使い捨てフィルターも便利。
〈GOOD STUFFS〉まずは身近に取り入れやすいものから。
内側からも外側からもケアできる、高機能かつハイセンスなアイテムで、毎日の乾燥対策を楽しく。