きゃりーぱみゅぱみゅの大人なLADYになるわよコラム ~第60回 母の干渉がすごすぎてキレたわよ~
きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。今回は人生史上で上位に入るほど激しかったという親子喧嘩について。
第60回 母の干渉がすごすぎてキレたわよ
皆さま、ごきげんよう。妊娠後、母が心配のあまり口うるさく干渉してきて、思わずブチギレてしまったきゃりーぱみゅぱみゅです。
名づけて「親子喧嘩レベル3」。
これまでの人生で3本の指に入るほどの大喧嘩でした。
事の始まりは、夫のしょーのさんは俳優業をやっているんですけど、ロケで2週間くらい留守になると私の両親に伝えたことです。
「妊婦さんってメンタルが不安定になったりするし、一人じゃいろいろ大変だろうから私たちが行って助けてあげるよ」
今思うと、そのとき母親が言っていたこの言葉は完全にフラグだったわけですが、こうして両親が2週間にわたってうちに泊まり込んでくれることになりました。
両親とこんなに長い時間一緒に過ごすのは、たぶん18歳でデビューして以来初めてのことだと思います。
でも久しぶりに暮らしてみて、だんだんとお互いがストレスを抱えてしまうという結果になってしまったんですよね…。
この連載でもたびたびお伝えしてきましたが、お母さんは昔からほんと、しつけに厳しい人です。
なので、一緒に暮らしているうちにだんだんと“お母さんチェック”が炸裂するようになってきてしまったんです。
例えば、棚の引き出しを開けて、中がちゃんと整頓されてるか見て回ったり…。
もはやお母さんが看守で私が囚人みたいですねw
まあ、うちは昔からこれなので私とお父さんはある意味もう慣れっこなんですけど、でも嫁としては、それが夫に向いてしまうのだけはなんとしても避けたいなあと…。
そもそも結婚とは、それぞれ違うカルチャーの寄せ集めです。
いろんなことが自分ちと違うのが当たり前だし、それを認めずに義理の息子にも自分ちのカルチャーを求めるのはマイルールの押しつけになっちゃうと思います。
それに、それで仲違いとかされたくないんですよね。
とはいいつつも、でもやっぱりお母さんはその違いが気になってしまう。
最初のうちはぐっと堪えて黙っている様子でした。
でも同居生活が長くなるにつれて、だんだんと我慢ができなくなっていって、ついに恒例のお母さんチェックが始まってしまったというわけです。
もうすぐ生まれる初孫のために、若い夫婦に教えられることは今のうちに自分が教えておかないといけない!という気負いもあったと思います。
こうして母と娘の間に静かに火花が散り始めました。
「夫には口出ししてほしくない娘」VS.「若い夫婦を指導したい熱血母親」という対立バランスは、
「…これ、しまったほうがいいんじゃない?🤗」
ロケ先から一時帰宅したしょーのさんに、ものすごくやんわりとお母さんが注意する形でギリギリをせめぎ合っていました。
ところが「洗濯機を回しすぎ」と注意されたときは、さすがにマイルールの押しつけだと思ったんですよね。
「少しは洗濯機を回しなさいよ」と、不潔さを注意するならわかるんですよ?
でも、うちはきれい好きな夫の影響で1日2回洗濯機を回しています。
おそらくお母さんが言いたかったのは、「電気・水道・洗剤の無駄遣い」とか「芸能人だからって贅沢するな」ってことなのかなと…。
でも一度使ったタオルは必ず洗うようにしたり、お洋服も大切に着たいのでタオル類と分けて洗濯するとなると、どうしても1日2回になっちゃうんですよね。
それをお母さんに説明したあとに、
「まあ、しょーのさんもちょっと潔癖症なところがあるんじゃない?」(だから大目に見てよ)
と付け加えて、母の猛攻を受け流そうとしたんですけど……それがよくなかった。
「潔癖症とは?」
お母さんはいきなりスマホを取り出して、Siriに聞き始めてしまいました。
「潔癖症トハ、電車・バスニモ乗レマセン。オ風呂屋サンニモ行ケマセン」
それを聞くや「え、サウナ行ってるじゃん? 電車も普通に乗れるのに潔癖症なの??」と、鬼の首でも取ったかのような顔に。
見かねたお父さんが口を挟んできます。
「あのね、潔癖症と一言でいってもOKなライン、ダメなラインは人それぞれなんだから」
そのときはそれでお母さんも「ふうん」と一言、矛を収めてくれたんですけど、これはまだほんの前哨戦。
次の日の早朝、再び激しく火花が飛び散りました。
まだこっちは寝ぼけ眼なのに、いきなりトップギアで「なんであなたたちはこうなんだ?」と、またうちの家事のやり方を注意してきたんですね。
「いや、だからさ、それについてはこの1週間ずっと説明してきたよね? 覚えてないの?」
と言ったところでついにスイッチが入ってしまった私。
「もし覚えてないんだとしたら、一回病院で診てもらったほうがいいんじゃない?」
勢いで言ってしまいました。
「え…」とびっくりしたあとに、どこか悲しげな表情をしていたお母さん。
それを見て、さすがに言いすぎたなと反省した私は、午後になって「さっきはごめんね」と謝ったんですけど…
「ぜんぜんぜんぜんぜんぜ~~ん!」
妙に明るい声で謎のリアクションが返ってきて、今度はこっちがびっくりしてしまいました。
いやいや、そこは「私も自分のルールを押しつけすぎたかもしれない。ごめんね」とかでしょうよ。
なので私はこう言いました。
「お母さんもちゃんと謝ってください」
(間をワンテンポ置いてから)
「正論を言ってるのに、なんで謝らないといけないの?」
いやいや、いくら正論だからといって、TPOもおかまいなしに自分の好きなときにそれを振りかざすのはおかしいだろ。
うちの親って家族に対して昔からこういうところがあるんですよね…。
今、これを言ったら相手はどう思うんだろう?とか、あえて遠回しで言うとかがまったくないんです。
思ったことをそのまま相手にぶつけすぎだから、むき出しの魂と魂のぶつかり合いに発展して、以前この連載でもお伝えしたようにいつも喧嘩になってしまうんだと思います。
私たち夫婦はいつも伝え方にすごく気をつけてるんですけど、歴史が長くなるとだんだんそういうのが面倒くさくなってくるものなんですかね?
まあ、そんなわけで第2ラウンド「絶対謝らせたい娘」VS.「絶対謝らない母親」のゴングが鳴ってしまいました。
「お母さんさ、ここに来てる理由をちょっと忘れてない?」
またもや見かねたお父さんが割って入ります。
「俺たちは妊娠中の娘をサポートしに来てるんじゃないの? なんで逆のことばかりするの?」
「うるさ~い! お父さんもそうやって私を悪者にするのね!」
思わぬド正論返しを受けて、お母さんは大噴火。鹿児島出身ということでまるで桜島のようです。もう手がつけられません。
そのヤバさをたぶん誰よりもわかっているのでしょう。すかさず「ごめんなさい」と、すっごいちっちゃい声で謝ったお父さん。
一方の娘はそのとき、三夜連続で観まくった映画『猿の惑星』での光景がフラッシュバックしていました。
力がすべての猿の世界——。
たとえボス猿がどんなにひどくても、みんなはそれに従わざるをえません。従わないと殺されてしまいます。
我が家もお母さんがボス猿で、お母さんの帝国にお父さんと私という平民猿が住んでいます。
お母さんこそがルールです。
いくら理不尽であろうとそれを受け入れるしかなくて、お父さんに「こんなお母さんの言いなりみたいな人生でいいの?」と聞いても「それでいいんだ」としか言いません。
娘として、それがただただ悲しい。
やっぱり私はこんな理不尽、認められない。
許 さ ん ぞ 😡
結果、大暴れしてしまいました。
わめきながらお母さんに向かってクッションや靴下を投げつけたり、お母さんの荷物を蹴り散らかしたりと、それはもうゴリラみたいな暴れっぷりでしたね。猿だけに。
で、いったん距離を置こうということになり、両親はそそくさと実家へ帰還。2週間いるはずが1週間の滞在になってしまいました。
私はその後も妊婦特有のメンタルのせいなのか、感情のアップダウンが続いて大変でした。
怒りが収まったと思ったら、今度はお腹の赤ちゃんに対して申し訳ない気持ちになってわんわん泣いて、ほんとジェットコースターみたいな荒れ方で…。
なんとか気持ちを落ち着かせたくて、ロケ先のしょーのさんに事の顛末を電話で話したんですけど、途中でそれもなかなか難しいことに気づきました。
私からの話だと、私のフィルターがかかってしまうので、どうしてもお母さんが悪く見えがちになります。
嫁としては夫に自分の母のことを嫌いになったり、苦手意識を持たれたりしたくないんですよね。
だからそのさじ加減が難しい。話は聞いてもらいたいんですけど…。
今、振り返ってみると、お母さんはもうすぐ母になろうとしている私に対して、“母の教え”の最後の総仕上げをしてくれていたんだろうなと思います。
結果的にそれが口うるさいチェック魔になって、過干渉になり、「親子喧嘩レベル3」で娘がゴリラになるという残念な形で終わってしまいました。
そして誰よりも泣きたかったのは、お父さんだったんだろうなと…(ごめんね、お父さん🙏)。
今でも本音では、お母さんに謝ってほしい部分はあります。
ついでに裏金を作ってた政治家にも謝ってほしいし、悪いやつら全員謝ってほしい気持ちです。
だけど、それが難しいこともわかってます。
人間、歳を取ると、どうしても謝ることができなくなっちゃうんですよね。
性格や考え方が変わることを期待できる年齢でもありませんし、むしろ期待するほうが酷なのかもしれません。
これはもう自分のほうの見方や考え方を変えていって、どこか折り合いを見つけていくしかなさそうだなと…。
私にとってお母さんはずっとお母さんですからね。
ちなみに、お父さんに「こんなことなら一人で産んでやる!」って言ったら、お母さんはきっと娘はそう言うと見越して「生まれたら教えて」とお父さんに言ってたみたいで、そこに親子のDNAを感じましたw
最近はお互い少しは冷静になれたせいか、それぞれ適度な距離を見つけあって、平和でいい関係性を保てている気がします。