きゃりーぱみゅぱみゅの大人なLADYになるわよコラム
〜第51回“母の教え”がありがたいわよ〜 LEARN 2023.09.27

きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。第51回は「しつけに厳しい母の教え」について。

第51回 “母の教え”がありがたいわよ

皆さま、ごきげんよう。30歳になってやっと “母の教え”っていいな〜と思えるようになってきた、きゃりーぱみゅぱみゅです。

きゃりーぱみゅぱみゅの大人なLADYになるわよコラム〜第51回“母の教え”がありがたいわよ〜 写真1

過去にこのコラムで何度かお伝えしてきたように、私のお母さんはめっちゃしつけに厳しい人です。

例えば、「嘘をつかない」とか「人様の家に行くときは手土産を持っていけ」とか。

さらに、「手土産には必ず手紙を添えろ」とか「出された飲み物は飲まないと失礼」とか。

そういう道徳や礼儀についての教えを、私はお母さんから叩き込まれてきました。

以前、Perfumeのライブにお呼ばれしたので、差し入れとしておまんじゅうを3つ持っていこうとしたら、お母さんにぶん殴られたことがあります。

「スタッフさんの分も持っていくんだよ!」

私がまだ20歳になったか、なってないかくらいのときの話です。

今思うと、差し入れにおまんじゅう3つだけって、『はじめてのおつかい』かな?というレベルですよね…。

マジで世間がわかってない赤ちゃんすぎて、そりゃお母さんの教えも厳しくなるわ〜と納得です。

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あと、マナー系以外だと、こんな教えもあったりします。

「人とお金の貸し借りをしない」

これがあったせいで、私が友達と出かけるときは、いつもきっちり使い切る分しかお金を持たせてくれませんでした。

当時は「ケチババア〜」としか思っていなかった私。

だけど、そうすることで、我が子が勝手に友達とお金を貸し借りできないようにしていたというわけなんですね。

口頭で禁止するだけじゃなくて、それができない状況を作り上げている点はさすがです。

大人になって、ようやくそのすごさに気づくことができました。

「お金は人を狂わせるから気をつけなさい」

今でもお母さんは、たびたび私に言ってきます。なので私は、全部割り勘にしています。

もちろん、どこかへ出かけるときに車を出してくれた人にはごはんをおごったり、何かの記念日を迎えた友達にごちそうしたりはします。でも、基本はずっと割り勘です。

そして「ちょっとアレ買いたいからさ〜、…お金貸してくんない?」と言ってきた人に対しては、

「消費者金融へどうぞ!」

母直伝の結界の呪文を言うつもりです。

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前回のコラムでも書いたように、私の本来の姿は、いまだにサウナで小銭をばら撒いたり、映画館でポップコーンをばら撒いたりする“鈍臭女”です。

だからこそ、そんな自分にいろんな教えを叩き込んでくれたお母さんには本当に感謝していますし、そのおかげで少しはまともな方向へ向けたのかなと思っています。

まあ、当時はただただ「うっせーな」って思うだけでしたけどね。

それに30歳って、母の教えを自分で実践してみるのに、ちょうどいい年齢のような気もするんですよ。

例えば、ツインテール頭の原宿のデカリボン20代前半女が粗品を持ってお宅にあがる姿を想像してみると、なんだかぎこちない感じがします。

なんなら、むしろ手ぶらなほうが、その人らしさがあっていいんじゃないか?とすら思えてくるほどです。

だけど今は、そういう手土産みたいなちょっとした気遣いがナチュラルにできそうです。

気遣いを通して心を通わせ合う、楽しさや美しさ。それがだんだんわかるようになってきた気がするんですよね。

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でも私のレベルはまだまだひよっこ。お母さんから教えてもらうことばかりです。

つい先日も、とある入院中の方のお見舞いから帰ってきたら、こんなことを言われました。

「まさか病室にお花を飾ってきてないでしょうね?」

ギクッとしました。

「…え、お花が好きって聞いていたから、飾ってきたよ」とおそるおそる答えると、お母さんは言いました。

「お花は枯れちゃうでしょ? 病室に枯れちゃうものを持っていくのは、マナー的にも運気的にも悪いから今すぐ抜いてきなさい」

「たしかに!」って思いましたね〜。いやはや目からウロコでした。

こういうことって誰か教えてくれる人がいないと、一生わからないままです。だから本当にありがたい。

しかも、お母さんって注意をするときに、「それはすごく素敵なことだね」っていう前置きを必ずするんですよ。

要するに、私が実践してみた気遣いに対して「それは違う」みたいにいきなり否定したりはしないんです。

「それはいいことをしたわね」でいったん認めてからの、「でも、それをされた側の人はどう思っているかな?」

こう問いかけることで、私の顔を潰さずに改めて反省を促してくるというわけなんですね。マジで気配りのプロやで…。

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とはいいつつも、その一方で、時には「いや、それは今の時代ではやりすぎでしょ」みたいな教えも全然あるんですけどね。

ちょっと古風すぎるというか、私が自分の子どもにそれを教えるかと言われると、「どうかな?」ってなるようなものも中にはあります。

「それが常識よ。特別じゃなくて普通のことなんだから」

私にいくら「古い」と言われても、いつもそう言うお母さんは鹿児島県出身。

鹿児島の女こと、“薩摩おごじょ”です。

さっき調べてみて初めて知ったんですけど、実際に鹿児島では、薩摩おごじょのあるべき姿を定めた「婦人心得百ヶ條」が昔から代々伝えられているらしく…

「あらい言葉つかいをせぬこと」
「腹を立てぬ稽古をすること」
「老人の前では死人の話をせぬこと」

といった教えが100個も続きます。

マジで「これ、まんまうちでも同じことやってるやん」という感じですw

「毎日先祖佛前に礼拝すること」
「夫の機嫌をとる稽古をすること」
「道ばたで立ち小便をせぬこと」

さすがにここらへんの教えは時代錯誤すぎてお母さんですら言いませんが、こういうカルチャーの中で育ったからこそ、お母さんはああなのかと妙に納得してしまいました。

そして、そんな薩摩おごじょが叩き込む“普通”や“常識”に反発して、派手な服を着て原宿に行くようになった一人娘。

結果、それがきゃりーぱみゅぱみゅになったのだなあ…と。

歴史や風土って、令和に生きる自分とは一見関係のないことのように思えるけど、実は意外と深くつながってて面白いです。

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