ドリアン・ロロブリジーダのゆずれないもの
〜第6回〜固茹で卵へのラブレター。
踊り場世代のドラァグクイーン、ドリアン・ロロブリジーダさんの"ゆずれない、ゆずりたくない、でも時々ゆずっちゃってるかもしれない?!大切にしているコトやモノ”をゆるーくご紹介する連載です。
ハッシュタグは#ドリゆず。あなたのゆずれないもの、なんですか?
今月のゆずれないもの/ゆで卵は固茹でで。
Hanako WEBをお読みの皆様、ごきげんよう。ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダです。
暖冬なんですってね…。確かに今年は身を切るような寒さを感じる日が少ない気がします。こちらの原稿を書いている本日は、都内に大規模な雪が降るということで家に籠っておりますが、外では雪が降ったりやんだりを繰り返しています。この雪は積もるのかしら…。そういえば東京での積雪も暫く見ていません。あれは一昨年の年明けのある日でしたでしょうか。ちょうどお仕事中でおめかししていたアタシは、午後から強くなった雪にテンションが上がり、降りしきる雪の中に飛び出して撮影に興じたのを覚えております。とは言え都内での積雪は交通網への影響も大きいし、雪道を歩いた翌日はいつも下半身が筋肉痛に襲われるので、昔ほど手放しでは喜べないのですが。、さまざまなものを雪が真っ白に覆い隠して、音すらも吸い込んだ静謐な東京をまた見てみたい気持ちも否めません。
さて、今日の「#ドリゆず」はある食べ物についてお話ししたいと思います。
皆様は「好きな卵料理」と聞くと、どんなものを思い出すでしょうか。目玉焼き、スクランブルエッグ、だし巻き卵、卵かけご飯、オムレツ、茶碗蒸し…。世界中にたくさんの卵料理がありますが、アタシは迷うことなく“ゆで卵”を挙げます。そして大切なポイントは“固茹でのゆで卵”ということ。パッサパサに黄身が固まったゆで卵こそが、アタシの大好物なのです。今日の「#ドリゆず」ではアタシからの固茹でのゆで卵へのラブレターをお披露目させていただきます。引き返すなら今ですよ…。
さて、友人たちとゆで卵の話題になると、大半の方は“半熟”が好きという意見でまとまります。「トロッとした食感がたまらない!」「ソースのように食材と絡まるのが好きだわぁ!」など、皆さんが嬉しそうに半熟卵の魅力について語っているなか、アタシが控えめに「実は固茹でが好きで…」と言うと、「信じられないわっ!」「咽せるし舌の表面にへばりつくし、何が良いのか分からない…」など厳しい意見が飛び交うこともしばしば。その通りです。あの舌の味蕾をヌメ~ッと埋め尽くす固い黄身こそが、アタシにとっては至上の歓び。幸福の黄色いシルクローブなのです。おでんでもアタシが一番好きな具は玉子なのですが、固茹でがあまり好きではない知人は、早々に白身を割って黄身を出汁に溶かしてしまうそうなのです。なんてもったいないことを…!おでんの玉子というのは、ほんのりと出汁を吸ったホクホクの黄身をなるべく崩さないよう慎重に箸で割っていただくのが最高なのに!!(あくまでも個人の感想です)
そのためアタシはいつも家でゆで卵を作るときは、レシピよりちょっと長めに15分は茹でています。その後2~3分ほど氷水に漬けてから殻を剥くと、適度な張りと硬さを持つ美味しいゆで卵の出来上がり。その場で一つ割って、塩一つまみをかけてパクリといただくのが、日常の中のささやかな幸せな時間なのです。思い返してみると、子供の頃から母が作るサラダの上には決まって、ワイヤーでできた器具(アレの正式名称なんて言うの…)で細く輪切りにされたゆで卵が載せられていました。そんな幼いころの食生活が、今のアタシの“固茹で好き”に影響を及ぼしているのかもしれません。
とは言えアタシが半熟卵を嫌いなのかというと、全くもってそんなことはありません。基本的に卵自体が好物なので、卵料理はもちろん、生卵や半熟卵も好きです。濃い黄色をした半熟卵は当然の如く美味しいです。ただ、ただ!世間で必要以上に肩身の狭い思いをさせられている固茹でのゆで卵と、そんな固茹でを愛する少数派の皆さんのことは、“この身を挺してでもかばいたい”とアタシは勝手に使命感を抱いているのです。
ふと気になって調べてみたら、2月1日は「ゆで卵の日」なんですって。ということは、2月は実質「ゆで卵月間」です!本当は固茹でが好きなのに、恋人や家族が半熟を好むという理由でいつも短めに茹でているそこのあなた。今月くらいは堂々と、しっかり固茹でのゆで卵を召し上がってみませんか?口に入れたその刹那、ホロホロといい具合に崩れていく黄身が作り上げる極上のモーメンツをどうぞご堪能ください。心配しなくても大丈夫、アタシが見守っています。
いよいよ「#ドリゆず」連載もよくわからない方向へと舵を切っている気がしておりますが、今月はアタシの固茹でのゆで卵への溢れる愛情・偏愛を書き連ねさせていただきました。最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。またお目にかかれることを楽しみにしております。それでは、ごきげんよう。