甘くないからちょうどいい。 スタイリスト木村真紀による「ソロソロ、イイモノ。」Theme #12/ハートモチーフジュエリー
似合うものは決まってきたし、あふれるほど欲しいわけじゃない。心地がいい、具合がいい、気分がいい、品がいい。いろんな意味でバランスの「イイモノ」に、少しの特別を添えて。
ロケ撮影の日、初めましての打ち合わせの日、オフに友人と食事に行く日と、その日に会う人や予定に合わせ、変化を楽しんでいる洋服のスタイリング。一方で毎日変わらないことを楽しんでいるのが唯一つけているアクセサリーのリングです。大きめの有機的なゴールドのもので、デザインも気に入っているそれは、アシスタント時代、パリ撮影に同行した際に訪れたシャンゼリゼ近くにある〈セリーヌ〉で、またパリに戻って来られますようにと願いを込めて買った特別なリング。ジャケットやシャツにはほどよい艶やかさを、スカートやワンピースにはマニッシュさを演出してくれ、どんなスタイルとも相性が良い相棒は、お守りのような存在でもあります。
シンプルだけど印象的なアクセサリーを1つだけつけるスタイルを気に入っていたので、ほかは手が伸びなかったのですが、急にウィッシュリスト入りした胸キュンジュエリーがあるのです。
ある日食事を一緒にした際に友人がさりげなくつけていたそのリング。日本を代表するパールブランドで企画を担当しているその友人は、本物を品よく身につけるのが上手で、クラシックになりがちなパールも小さめピアスでモダンにつけこなすセンスの持ち主。気になるリングはつけていると一見何のモチーフかわからなかったのですが、外して見せてもらうとハートモチーフだったことが判明! 意外性に心をつかまれながら、甘さが苦手で敬遠していたハートモチーフのイメージが一新。フラットな細い線でシャープに描かれ、ミニマルなモダンさが大人にも似合います。
ここ数年、ジュエリー界はハートモチーフが再熱中。今っぽさを楽しむキーワードは“甘くないハート”です。すっきりとスマートだったり、抜け感のあるアシンメトリーだったりと、新しいハートらしさをぜひ楽しんでみてほしいです。
モダンアートのようにまとう彫刻的で曖昧なハート。意外性にキュンとする名ジュエラーのシャープなハート。
“ボディコンシャス”をコンセプトに、体が美しく見えるジュエリーを提案するジョージア発の〈ル シック ラディカル〉。ハンドメイドの艶やかなハートのリング&ネックレスは、アシンメトリーで彫刻的なデザインがユニーク。一見ハートとわからない曖昧なフォルムはまるでモダンアートのよう。
意外性にキュンとする名ジュエラーのシャープなハート。
本文中で紹介したシャープなリングを手がけるのがモナコ王室御用達の世界的名ジュエラー〈レポシ〉。ノルマンディー地方にある断崖絶壁のアンティフェール岬に着想を得たという先の尖ったハートデザインはミニマルでモダン。つけるとハートが曖昧になるリングはもちろん、斜めにまとうピアスも新鮮さを楽しめます。