【料理が好きになるキッチン。】#3 国際薬膳師、家庭薬膳アドバイザー・有田千幸さん LEARN 2022.12.06

キッチンに立つのが楽しければ、毎日の料理はもっと楽しい。 必要なのは収納の工夫?道具の選びかた?暮らし上手の3人の自宅キッチン訪問から、料理時間を支える目からウロコの習慣まで。 理想のキッチンを手に入れるための、「学び」をたくさん集めました。

ダイニングとフラットに融合したキッチン。

築40年超えの3LDKのマンションを建築家の夫が全面改装したこの家。壁を取り払ってワンルームに改変し、一面の壁に見えるクローゼット収納が部屋と部屋を分ける役目を担っている。まず目に飛び込んでくるのが、〝アイランド型キッチン・ダイニング〞とでも呼べそうな広々とした空間だ。
「従来のカウンターキッチンはダイニングと接していても段差や仕切りがありましたが、思い切って調理台とテーブルを地続きにすることで一体感を持たせました」

特製黒ごまダレを敷いた上に茹でた玄米麺と人参の千切りをのせた和え麺でお昼ごはんに。目の前で調理されるので家族や友人との会話も弾み、皆が積極的に手伝ってくれるという。
特製黒ごまダレを敷いた上に茹でた玄米麺と人参の千切りをのせた和え麺でお昼ごはんに。目の前で調理されるので家族や友人との会話も弾み、皆が積極的に手伝ってくれるという。

モルタル仕上げにウレタンを厚く塗った特注の大型天板にはシンクとコンロが備え付けられている。食べ手の目の前で作った料理をそのままスライドさせて「さあ召し上がれ」。作る人も食べる人も、ずっと一緒に時間を分かち合える。生活感が出てしまいがちな要素である大型冷蔵庫や食器棚、乾物や缶詰などはキッチンの向かいにあるパントリーに隠し、天板の下にはミニ冷蔵庫と電子レンジとオーブンを設置。毎日使う調理器具や調味料のみをキッチン周りに置くようにしているという。
「キッチン背面の棚はもともと主人のレコード棚として作ったのですが、今では完全に調味料や鍋の収納スペースになりました」

棚の上にはガラス瓶がずらり。容器はガラスと決めることで、メーカーや大きさが異なっていてもなんとなく統一感が生まれ、出しっぱなしでも気にならない。棚は天板の高さに揃え、それより上の壁面にはあえて棚を付けず余白を残すのもすっきり見える秘訣だ。LDKという既成概念から解放され、パントリーを別に設けたからこそ広い空間が確保でき、ダイニングとフラットに融合するユニークで温かいキッチンが生まれた。

LEARNING.1 収納場所はキッチンに限らない。

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キッチンと反対側の壁は部屋の間仕切りも兼ねたクローゼットと収納スペースになっている。左側は奥行きが深いパントリーで大型冷蔵庫とワインセラーもここへ。右は食器棚。

LEARNING.2 よく使う道具はワゴンを活用。

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イタリア〈B-LINE〉の名品「ボビーワゴン」はキャスター付きで側面すべてに回転式の引き出しやポケットがあり、香辛料やカトラリー、秤などを見た目以上にたっぷり収納。

LEARNING.3 第二のシンクを設ける。

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メインのシンクとは別にある「パーティシンク」はお酒を冷やしたりするのに重宝する場所。蛇口の後ろに備えたら野菜の水切りや洗い終わった食器を置くのにとても便利。

LEARNING.4 壁はすっきり、余白を残す。

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グレーの壁にはあえて何も飾らず、試作やオリジナルのレシピをメモした付箋だけが貼られている。「キッチンは野菜の切れ端などをとりあえず漬けてみる実験場でもあります」

photo : Keisuke Fukamizu text : Mari Matsubara edit : Tami Okano

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