カラダを「整える」 女性ホルモンに大切な食。日常に取り入れやすいハーブでセルフケアを。
常に変化しているカラダの中のホルモンバランス。バランスが変わるたび、何かしらの影響を受ける私たちのカラダとうまく付き合うには、ハーブやスーパーフードなどを食に取り入れるのもひとつの手です。ホルモンバランスの変化で不調を感じるのは、カラダの自然な反応だと言う橋口玲子先生。効果的なセルフケアのポイントを教えてもらった。
自分のカラダをいたわって、不調をうまく乗り越える。
西洋医学に、漢方やアロマセラピー、ハーブを取り入れた診療を実践している橋口玲子先生。食生活を含めたセルフケアの指導も行っている先生によると、女性ホルモンのバランスは、変化するのが当たり前なのだそう。
「月経終了後から排卵日にかけての時期は卵胞ホルモンのエストロゲン、排卵が終わると黄体ホルモンのプロゲステロンがたくさん出ます。黄体期に入りエストロゲンが相対的に減ると、脳に不安や抑うつやイライラが出やすくなりますが、そういう症状はホルモンが正常に分泌されバランスがきちんと取れているという証拠。カラダの自然な変化であって、ホルモンの〝崩れ〞や〝乱れ〞ではありません。その時に体調や感情が変化するのは当たり前なんです。病気と捉えるのではなく、不快な症状を軽減してやりすごすために、セルフケアが大切になってくるわけです」
病気が原因の場合や日常生活が困難な場合は、もちろんきちんとした治療が必要だが、ホルモンの自然の変化に伴う不調なら、セルフケアで対処をと橋口先生。では、セルフケアで心がけることは?
「充分な睡眠をとり、過食やダイエットを避け、食べるものに気をつけて自分のカラダをいたわることです。自分に対してねぎらい、いたわる行為をしているという事実が脳には重要なんです。優れた抗酸化作用とさまざまな薬効があるハーブは、ハーブティーなどで手軽に取り入れられるセルフケアの方法としておすすめ。自分にご褒美をあげる気持ちで、カラダがホッとするものを取り入れることを習慣にしてください」
不調に対応するために知っておきたいこと。
POINT#1.女性にはホルモンに変化が生じる時期が3回ある。
月経が始まる思春期(10代)、生殖能力が高まる性成熟期(20~40代)、女性ホルモンの分泌が急激に落ちる更年期(40代半ば~50代半ば)。女性の心身はライフステージごとに、女性ホルモンに大きな影響を受ける。現代の女性は妊娠・出産の回数が大幅に減り、その分一生に経験する月経の回数が格段に増えたため、女性ホルモンの変化の影響を受ける回数も増加。それに伴う不調とどう付き合っていくかが課題となっている。ホルモン変化は自然なことなので、セルフケアなどで不調を緩和するのも大事。
POINT#2.月経前には変調があるのが当たり前。
「黄体期に起こる、イライラや不安、抑うつ、倦怠感、眠気などの症状は、妊娠するかもしれないから安静にしておけというカラダからの自然なサインです」と橋口先生。その時期は夜に人と会う予定を入れない、早寝するなどの対処もセルフケアのひとつ。女性ホルモン分泌量の変化による不調なのか、病気が原因なのか判断に迷ったら、迷わず婦人科に相談を。
POINT#3.PMSで心がけること。
PMS(月経前症候群)は、月経開始の3~10日くらい前から始まる、心身の不快症状で、月経が始まると症状が軽減もしくは消失するもの。「脳がホルモンの変化にしっかりと反応しているということ。病的なものかどうかは、自分の日常生活に支障をきたすかどうかで判断し、不安だったら医師に相談して」。その時期はいつもより長く寝るなど、先回りの対策を。
POINT#4.精神的にうつになることも?
女性ホルモンや自律神経をコントロールする脳の視床下部はストレスの影響を受けやすい。抑うつ状態や気分の落ち込みが激しく精神的な不調がひどい場合はPMDD(月経前不快気分障害)の可能性が高く、治療の対象になる。出産直後はエストロゲンが急激に減るので産後うつになる場合も。更年期でエストロゲンが劇的に減ると、うつ症状が出る人もいる。
POINT#5.手軽にできる不調のケア、セルフケアとは。
「黄体期はむくみやすいので、塩分が多いものや甘いものは避けたほうがいいですね。だしを効かせたおいしい和食などでカラダを喜ばせてあげてください」。カラダを温めてホッとするものは、不調緩和に効果的と橋口先生。夜の活動を控え、不安、不眠、緊張などを和らげるハーブを使ったハーブティーをゆっくりと飲んで、家で静かに過ごすことを心がける。